4時起きで見える景色
朝4時に目を覚ますと、そこには平和な異世界が広がっている。
窓の外はまだ暗く、街は深い眠りに包まれている。
まるでこの時間を知るのは自分だけ、そんな感覚になるぐらい静寂が支配している。冷たい空気は11月の気配をまとい、鋭い刃のように肺に刺さる。それが心地よく感じられるのは、この時期の特権だ。
外に出ると、人の気配はまったくなく、どこまでも手つかずの風景が続いている。誰もいない道を歩くと、普段は気づかない小さな音が耳に届く。風が木々を揺らす音、遠くで目覚めた鳥のさえずり。街が動き始める前のわずかな静けさは、世界の時間が止まったかのように錯覚させる。
この時間には、自分の心とじっくり向き合う余裕がある。誰にも邪魔されない贅沢なひとときが、思考を深め、心の奥へと少しずつ踏み込む感覚をもたらしてくれる。静まり返った朝の空気の中で淹れるコーヒーは、その香りと湯気が心の奥まで温め、眠りから覚める意識と一体になる。
4時に起きる生活で最も大きく変わったのは、時間の捉え方だ。一日の始まりを他の人よりも早く迎えることで、いつもより長く深く、一日を味わっている気がする。この「特別な時間」を持つことで、充実感や自己肯定感が自然に高まっていくのを感じる。
やがて空がほんのり明るくなり、暗闇が少しずつ後退していくと、新しい日が生まれる瞬間を目の当たりにする。その特別な景色を味わうことで、自分の一日が他の誰とも違うと実感できる。普通の生活から少し外れたこの朝の時間は、僕にとってかけがえのないものだ。