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スピッツ個人的15選

前回は秋の夜長に聴くといいなと個人的に思ったビリージョエルの15選をやりましたが、邦楽ならスピッツがなんか個人的には(春も結構多いですけど)秋に合っているような気がしたので今回はスピッツで失礼します。スピッツを初めて知ったのは彼らが世間的に広く知られるようになった大ヒット曲「ロビンソン」からで、高校2年の昼休みとかに校内放送で放送部のブースから流れてきて、当時はミスチルとかB’zとか邦楽しか聞いてなくて、だから余計にこの新しいバンドのサウンドが思春期の胸刺さりました。周りは一足先に洋楽とか聞いていた友人とかがいて、「エアロスミスは~」とか言っていて、あんまり邦楽のことを自信をもって「これいい曲やで」とか言っても当時はやはり洋楽の方がアドバンテージを持っていた時代だから「スピッツよりな、こっち(洋楽)のこのバンドとかの方がいいで」みたいなマウント取られるのが嫌であんまり大きい声では言えなかったような気もします。気にしすぎか。元来の見栄っ張りな性格の影響大ですね笑。まあでもスピッツはあれからいろいろ洋楽やらジャズやら一通り聞いた耳でもってしても、かなり音楽的にはレベルが高いこと、メロディの良さは全ジャンルでも相当なところにあるのでは、と思うに至っております。だからあの当時「スピッツが凄い」と思った感性は間違ってなくて、90年代に登場した才能の中ではミスチル桜井さんと並んで巨大な存在だなあと思っております。切なくてちょっと毒もあり(隠れすぎてよく分かりませんが)それがいい塩梅でメロディ化されて、あの珠玉の作品群となっているのかなと思ったりします。そんな感じですが早速どうぞ。


君が思い出になる前に (1993年)
1993年10月発売の7枚目のシングルで、ロビンソンでスピッツを知る前からどこかで聞いたことのあるメロディだなと後年出たベスト盤で知って思ったりした彼らのバラードの名曲です。優しくて秋の風が肩を撫でて、切ない男の恋心を歌っていて、恋愛の疑似体験させてくれます。高校の頃とか若い頃はこういう邦楽の優れた曲の歌詞でよく連れて行かれてましたね。まだ彼女とか出来ていない頃やいない時に。モテる人はこういう体験ばかりしているのかなあ、と大量に生産されまくる恋愛ソング聴きまくって、正直しんどかったですが、メロディとかが良くて聞かざるを得ないというか。僕が洋楽にハマっていったのもそういう「疑似体験」に食傷気味だったということもあったのかなと思います。洋楽は英語の響きがロックとかに合っているし、何より歌詞に持っていかれないし、自分には丁度合ってましたね。


空も飛べるはず (1994年)
1994年発売の8枚目のシングルですが、僕ら世代には1996年のフジテレビのドラマでTOKIOの長瀬智也主演の「白線流し」の主題歌として認知しております。余談ですが長瀬智也とは同じ1978年生まれで誕生日が一日違いであります。パッケージは違い過ぎますが笑。いやそこまで悪い男でもないんやけど、相手が長瀬やと分が悪いなあ笑。すいません、余談でした。このドラマは結構見ていて、さすがにもう四半世紀も前なので内容は忘れましたが、青春、あ、この当時まだ長瀬も僕も高校3年とかやったか、高校を舞台にしたドラマで、長野県やったかな、そんな感じの恋愛群像劇でした。これくらいしか覚えてないですが。この曲はてっきり新曲でこの年に出た「チェリー」よりもいい曲やわ、とか思っていたら音楽に詳しい友人が「これもう前に出てたやつやで」と教えてくれて驚いた記憶があります。スピッツらしいふんわりとした手触りの恋愛ソングで憧れしかなかったので、より洋楽に傾いていったややこしい少年でしたね笑。


青い車 (1994年)
すいません、これは夏ソングですね。スピッツは秋っていうにはちょっと無理があったみたいで、まあいいか。たまたま秋の季節にスピッツやりたかっただけでして、秋ソングもそこそこあるし。「君の青い車で海へ行こう」って歌詞がバックのギターサウンドで余計に映える夏ソングで、結構好きです。色とイメージが合っていて爽快感があって共感覚がたまらないですね。いつかの「夏のうた【邦楽編】」でも取り上げましたが、今回も失礼します。


ロビンソン (1995年)
冒頭で紹介したようにスピッツを知るきっかけとなった1995年、僕が高校2年の時の大ヒット曲です。記憶が確かなら150万枚以上売れていたような、もっとだったかな、それくらいまた息が長くチャート圏内にも居続けて、あ、そうそうTBS系列の「カウントダウンTV」のチャートとかにも本当に毎週のように顔を出していて、こんな売れ方した曲ってそれまでなかったからそれでも余計に覚えていたりします。やっぱり何というのでしょうか、とんでもないポテンシャルを持った今時の言い方で表現したら「神曲」だったのでしょう。メロディがちょっととんでもないレベルというか、素人でも玄人でもどっちにも響く稀に見る音楽といいますか、僕が今現在通っている大学の1回生の時授業を受けたフランス語の先生、音楽に精通していたその人も「スピッツの『ロビンソン』って曲はこの30年の日本の音楽史の中ではぶっちぎりトップやな」とちょっとアカデミックな物言いで言っていて、妙に納得したりしていました。それくらい「特別」な曲なんだっていう説得力がこの曲にはあるように思ったりします。


愛のことば (1995年)
スピッツの1995年発表のアルバム「ハチミツ」に収録されている曲でシングルではなくアルバム収録曲という形だったので、後年のシングルベストとかには入っていない、知る人ぞ知るというか「ハチミツ」が確かミリオンセラー以上売れていたので、相当有名なこれまた「神曲」ですね。僕もこの曲が聞きたくてよくTSUTAYAで「ハチミツ」のアルバムを借りたりしておりました。カセットテープに録音したりしていて、毎回「愛のことば」まで早送りして再生するほど聴いていた記憶もあります。CD買えばいいのに、何故か買わなかったですね、何でやろう。高校生でお金が3000円とか結構高かったのかな。たぶん。「ロビンソン」同様にちょっとあの当時の邦楽の中では頭一つ抜け出たメロディーラインで、洋楽邦楽関係なく、名曲の部類に入る90年代の奇跡のような曲だと思ったりします。草野マサムネさんが相当な才能を持った天才だということが天下に知らしめた、そんな1995年、1994年のミスチル桜井さんに続く2年連続邦楽からとんでもない天才が現れた驚きがリアルタイムで経験していた分、なんかやたら懐かしいですね。


チェリー (1996年)
記憶が確かなら彼ら最大のヒット曲でしたか。1996年の春、まだそういや関西のFM802とかは聞いていなかったですが、後年かな、何年経ってもやたらこの曲がかかったりしていて、ちょっと食傷気味になっていた記憶もある個人的にはやや苦い感じの曲です。ラジオで聞きすぎて苦手になったといいますか。いい曲だとは思いますが、ロビンソンとかの方が好きだったので「なぜチェリーなんだろう」と思ったり。まあでも彼らの代表曲のひとつなのでミスチルの「終わりなき旅」的なやや苦手だけど世間的には入れておかないといけない一曲みたいな感じですか。ややこしい感想ですいません。好きな方がいたらごめんなさい。


冷たい頬 (1998年)
これはかなり秋っぽい曲で今回のテーマに合っていると思います。スピッツが秋をイメージさせるという。でも発売日は3月18日とかなので、僕個人の思い込みなのかも。でも春というかやっぱり秋ですかね。この曲がヒットしていた時はほとんど邦楽を聴いてなくて、ラジオからFM802から「スピッツの新曲です」みたいな感じで流れていたのをかろうじて覚えているくらいで。後年ベスト盤でこの曲の存在に気が付いてMDとかに入れたのかな。スピッツのシングルでは地味な方ですが、捨てにくいいいものを持っているからなんやかんやでこういう特集とかに入って来たりしております。好きなんでしょうね、たぶん。


楓 (1998年)
少し前のたしか午後の紅茶のCMでしたっけ、そこで女優の上白石萌歌がこの曲を歌ってカバーしていて話題になっていた、そんな記憶があります。スピッツのバラード的なナンバーでは個人的には一番好きな曲で、一般にも人気がある曲ですよね。90年代のスピッツの名曲みたいな立ち位置だったかな。これこそそのまま秋ソングでして、名前も発売日も……あれ7月7日やわ。うーん、ヒットする時期を秋にして早めに発売ソングなのかな。たまに夏のヒットを想定して4月にシングル発売とかあったりするので、それ系かも。まあでもかなりの名曲で、久々に聴いてもいいですね、やっぱり。


ホタル (2000年)
楓からスピッツというよりも、邦楽自体ほとんど聞かなくなってレディオヘッドなどの洋楽しか聞いてなかった時代の曲で後年ベスト盤で知って「いい曲だな」と思ったりしました。それまでのふんわりとしたポップロックソングとは異なり少しダークでいながら彼ら独特のセンスや品の良さも兼ね備えていて、世紀の変わり目の時代の空気感みたいな、レディオヘッドがとらえたものと同じようなものが草野さんとかにも見えていたのかな、と個人的にですが思ったりします。


水色の街 (2002年)
これまたこの当時人生で最も底にあった精神状態で、全くもってスピッツがこの時代に何をしていたのか記憶になかったです。長年一緒に暮らしていた祖母が亡くなり、また引きこもり5年目とかで23歳とかでしたが、いよいよもうどうしようもないってところまで追いつめられていたので、宗教にすがるようにレディオヘッドの音楽しか聴けなかったですね。個人的にですがこの時代は表向きは明るいかもしれなかったですが、20世紀と21世紀の分かれ目みたいな凄い澱みがあって、精神的な何か無意識のしんどさが時代の根底にあり、それをまあ僕なんかは(引きこもっていたから余計にかもしれませんが)若くてまだ直感も鋭かったから、何かもろに浴びていた、それはたぶん、レディオヘッドのトムヨークとか他の感性の鋭い人たちも見ていた、そんな時代の見えないランドスケープだったのかも。それはたぶん今に至るまでまだ解消されていない部分なのでしょう。二極化なんて言われたりするそんな分岐点な時代だったのかなと個人的に思ったりします。ほんとどうなるんでしょうね、世界はこれから。音楽に触れてなかったですが、そんな内省の時代に草野さんも静かな祈りのようなシングルを出していました。


スターゲイザー (2004年)
時代が21世紀に向けて開かれたそんな始まりのような一年だった、と個人的に思ったりする2004年。僕個人も7年におよぶ引きこもりから抜け出すきっかけをつかみ始めていて印象深い年ではあります。スピッツのこのシングルも当時やたら流行っていたフジテレビ系の恋愛ドキュメンタリー番組「あいのり」の主題歌で、見知らぬ男女数組が主にアジアだったかな、忘れましたが、そこで初めて会って一緒に旅をしていく中で恋愛関係になってカップル成立とかになったら日本に帰国する、みたいな内容でしたか。そこまで「そんなに眩しい恋愛もの」が見れなかった時期なので、うろ覚えで申し訳ないですが、かなり話題になっていたことはよく覚えています。


正夢 (2004年)
これはこのnoteでも何回も紹介している引きこもりから脱出した一番初めの友人の塗装工場のラジオから流れていた人生の子守り歌みたいな曲で、凄く印象に残っています。あの当時はまだ洋楽オンリーな耳で、「絶対洋楽の方がいい曲多い」というかなり偏見野郎でしたが、あのラジオから流れて来る当時の邦楽のヒットソングの出来の良さに相当衝撃を受けていて、「スピッツの新曲もヤバいな」とか思ったりしていました。たしかCMで1985年に白血病で亡くなった伝説的な女優、夏目雅子が写真か、カメラのCMとかでしたが出ていて、それがとても印象的でもありました。それまで抑えていた感情が一気にプラスの方へ解放されていく、そんな時代背景といいますか、個人的にもここから、このどん底から這い上がっていく、そんなスタートを切った時代の、大きな後押しな風、みたいなパワーも感じたりします。ほんと、不思議なくらいこの時代に邦楽は名曲多いですね、個人的な印象かもしれませんが。


春の歌 (2005年)
個人的にスピッツの曲の中で一番好きな曲かもしれないです。時期的に、僕の人生のという意味ですけど、それまでの「冬」のような日の当たらない引きこもり人生が終わって、本当に「春が来た」ような生命力あふれる歌で、前年の友人の塗装工場(身体的にも精神的にもきつくて3か月ほどでやめてしまいました。でも暗闇から抜け出すきっかけをくれた幼なじみには今も本当に感謝しております)をきっかけとして、次に見つかった新聞配達を一人でやり始めて、これが本当に引きこもり明けの仕事としては最高のリハビリでもあり、一部一部配達するごとに何か、それまで自分にくっついていた「マイナスのカルマ」みたいなものが剥がれ落ちて行って、生きて行く力や希望を与えてくれた、そんな仕事でしたね。自分の力で生きて行く、お金を稼ぐって、ごめんなさいですけど、どんな精神療法よりも効果がありました。どんな施設よりも。それは体験談やこれまでの人生から言えることではあります。稲盛和夫さんじゃないけど、仕事はやっぱり己の魂を磨いてくれるものなんやなあ、って思ったりします。そこからいろいろな仕事はやってきましたが、仕事に関してはずっと真面目にやって来たりしております。塗装業やっていた恩人でもある幼なじみも「俺は元不良のどうしようもない人間やけど、仕事だけは真面目にやるで」って本当に仕事の出来る人間になっていたし。引きこもりや元暴走族でも、仕事を頑張ることでそれまでの人生を変えることが出来るって感じですかね。すいません、説教臭くて笑。それくらい思い入れのある曲なのかも。あの頃「もう一度」人生やり直すぞ、って前しか向いてなかった時の人生のサウンドトラックでしたから、この曲は。


魔法のコトバ (2006年)
スピッツも何か吹っ切れたみたいな感じで、90年代の安定のソングライティングみたいなこの曲を生み出したりですね。ミスチルもこの辺りから90年代の安定のソングライティングみたいな感じでシングルやアルバム連発していましたし。やっぱり天才たちは時代背景の奥にある「揺らぎ」みたいなものを的確に表に出してくるのかなと思ったりします。遠く離れた「天才達」とは違いますけど、僕の人生もここから「安定」の軌道に入って行きましたし、何か時代の流れみたいなのがあるのかな、いややっぱり個人的な印象に過ぎないのか。でもなんかこの辺りはいろいろ時代的に安定期に入っていたような気もします。少なくとも今の混沌よりは、かなり安定していたんじゃないでしょうか。映画「ハチミツとクローバー」の主題歌っていうより、今の世代には「silent」の挿入歌って言った方が通じるみたいですかね、わかんないですけど。すいません、ウィキペディアで今初めて2年前に大きな話題となった目黒連や川口春奈主演のドラマ「silent」に使われていたって知りました。観てないのであんまり詳しくないですけど、かなりいいドラマらしいですね。また機会があればチェックしたいです。


醒めない (2016年)
8年前とかの曲ですが、個人的に最近では一番好きなスピッツの曲です。まるで90年代から2000年代の全盛期みたいな勢いのある楽曲だなあって久しぶりに思ったりしました。草野さんの枯れなさ具合が凄いです。この曲出した時点でもう50代に差し掛かろうかって感じなのに、ロックバンドとかでずっと第一線に立っていたら、感性がやっぱり「ロック」なままで「醒めない」のでしょうね。僕自身自分ではほとんど楽器とか弾いて音楽とかやったりはしないのですが、こうやって音楽の記事書いたり、聞いたりしていつまでもずっと好きでいられるってことは、やっぱり「ガツン」とやられたままの「ロック少年」な感受性が、いい歳してますが枯れないんでしょうね。前向きに生きている限り、建築家の安藤忠雄氏も言ってましたが「一生青春」なのかもしれないので、いつまでもいろいろ悩んだり落ち込んだりする人間ではありますが、根本の部分では「前向きな」気持ちを忘れずに生きて行きたいと思ったりします。そんなことを思わせてくれる名曲だと思います。


90年代に少し「秋っぽい」曲があった程度でそんなに秋をイメージさせる曲はなかったですが笑、スピッツを一回はやりたいって思っていたので出来て良かったです。やっぱり日本の音楽史に残る偉大な才能ですよね。世代的にミスチルの桜井さんと双璧だと思ったりします、草野さんの才能は。そしてバンドとしての力量とかも。それくらいずっとインパクトあったし、名曲が途切れることなかったし。90年代から2000年代にかけての曲がやっぱり自分の10代20代と重なるから、その時代の曲に思い入れは入りますね。今の音楽もいい曲多いとは思いますが、人間ってやっぱり一番感受性豊かな時期に心に響いた曲にいろいろ思っていること書いたりできるんやなあ。同じいい曲聴いてもたぶん、たとえば髭ダンとか、米津とか藤井風とかなかなか書けないと思います。まあいいか、これまでにいい音楽たくさん聴いてきたから。それだけはこれまでの人生で後悔していない数少ないことのひとつですかね。音楽と出会って本当に良かったと思います。何回も書いているとは思いますが笑。そんな感じですが、また秋が終わらないうちに今度は洋楽の秋っぽいイメージがするアーティスト、個人的にですが、やりたいと思います。ではまた何かの10選とかで。

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