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Photo by
sebastianphoto
猫を追って
人並みをかき分けて
孤独な総体を
崩しながら
ネオンの下を
くぐり抜けた先
猫が横断歩道を
横切っていった
信号はまだ
赤だというのに
関係ないさ
生きるも
死ぬも
自己責任
とでも言うように
車を避けて
走り抜けていく
ああ
僕もあんな風に
走ってみたい
大人の階段は
どこまで行っても
不透明で
何をしたのか
いちいち覚えていない
通過儀礼なんて
人それぞれで
信号無視程度で
大人になれたら
苦労はないな
渡り切った先で
さっきの猫を見かけて
後を付いていった
路地裏の奥
開発され切っていない
古びた商店街
穴の開いた
アーケード
廃墟に似た
寂れた感じが
いいなと
しばらく佇んでいた
猫はもういない
連れてこられた場所で
僕は穴の開いた
ところから
夜空の星を眺める
終わりのような
始まりのような
何とも言えない
感情が堰止められたまま
奥の方でずっと
くすぶっている
何かになっていく
物語が
誰のものでもないと
星は語る
廃墟に似た
寂れた感じが
昔から好きだった
誰にもなりたくない
何にもなりたくない
そんなもので
僕を計らないでくれ
星の光が
そのまま降りてきて
くすぶったままの
奥の方を満たしていく
猫のように
そのままに魅せられて
赤信号を渡る
生きるも
死ぬも
自己責任
お前が正しいよ
こっちがおかしいんだ