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JAZZ個人的10選Ⅱ
1年以上前に「JAZZ個人的10選」をして以来の第2弾です。少し前に「夏のうた【JAZZ編】」でJAZZをやったりしましたが、正式なシリーズとしてはかなり空いてしまい、何とかまたやっていけたらと思ったりします。まあ最近は秋の夜長に合う音楽やっており、ジャンル的にはJAZZはかなりピッタリと来ると思ったので、洋楽邦楽を少し止めて、こっちで失礼します。前回1年前とかなどに書いたりしておりますが、僕とJAZZの出会いについても少し。初めはほとんど縁がなくて、邦楽洋楽ばかり聴いていた10代とかでしたが、洋楽もある程度聴いてきた10代の終わりくらいに、先を入っていたハードロックに詳しかった友人や、ロックバンドとかで音楽やっていた小中学校の同級生とかが「JAZZが一番いい」とか言っていたので、見栄っ張りな性格の僕は「洋楽よりJAZZ聴いているのがさらに上なんか」と、あまり乗り気ではなかったのですが、頑張ってその当時はCMで使われた曲中心のコンピレーションアルバムとか買って「へえー」って感じで聴いたりしていました。まあその当時はまだそこまで「渋く」浸れるような精神年齢でもなかったのでやっぱり洋楽やハードロック中心の音楽に戻りましたが、それから10年ほど経過あしたある日、たまたまテレビコマーシャルで今も通販といいますか、週刊「○○」とかでいろいろサブカルチャーの特集しているたぶんアメリカの出版社「ディアゴスティーニ」か「クールジャズコレクション」というJAZZの音楽の雑誌が出て「これは」と思って、そこからずっと後続のシリーズ「ブルーノートジャズコレクション」まで8年くらい毎月2回のペースで購入し続けて、今現在も合計で1枚で5曲くらい入っているCDが全部で160枚も家の棚にならんでいたりします。でもこれは本当に買ってよかったシリーズで、このシリーズのおかげでJAZZの世界に触れることが出来たので、全部で1枚1250円×160枚とかなので20万円くらい費やしましたが、満足しております。まあ前振りが長くなってしまいましたが、JAZZはやっぱり大人の音楽でこういう秋の夜長に聞くにはこれ以上ない雰囲気に満たされて、頑張っていろいろ買ってよかったなと今にして思ったりします。このシリーズはたぶん来年からやる「CLASSIC個人的10選」シリーズ(クラシック音楽も小学生の時初めて母親に90枚の全集買ってもらって、そこから音楽好きになったジャンル)と同じように全集を前からこれまで使用して紹介した曲を覗いていいなと思った曲を書いていく感じになると思います。まあそんな感じですが早速どうぞ。
Someday My Prince Will Come / Miles Davis (1961年)
この曲がこの僕がJAZZにハマるきっかけとなった通信販売の雑誌、ディアゴスティーニの「クール・ジャズ・コレクション」のテレビCMで渋く流れてきて「あ、これ絶対買いやわ」って思わせてくれたマイルスデイヴィスの名曲です。ジャズの持つ魅力をこの一曲に集約したかのような気品、穏やかさ、大人な世界、わびさびさえも感じさせた一曲でした。そして第1号がこのマイルスデイヴィスでそこからビルエヴァンス、ジョンコルトレーンといったレジェンドたちが毎号(月2回発行)で続編の「ブルーノートジャズコレクション」まで160回分買い続けて今でも家にあります。一生ものの買い物でためらわずに即定期購読したのは人生で10本の指に入るファインプレーだったかなと思ったりします。ジャズを知ったことでより何か柔軟に音楽に向き合えると言いますか、最高地点を知ったがゆえにアドバンテージが生まれたみたいなそんな精神のゆとりを僕にもたらせてくれたような気もします。すべてはこの曲との出会いから始まったと言えます。
On Green Dolphin Street / Miles Davis (1958年)
「クールジャズコレクション」の第1巻「マイルスデイヴィス」のCD全5曲の3番目に収録されていて、ピアノのイントロからマイルスのトランペットに流れていく感じがもうこれまで聴いたどの音楽よりも気品に満ち満ちていて、洋楽や邦楽には出せない落ち着きと言いますか、静かな世界観、でもどこまでも豊かで決して退屈させないそんなジャズの魅力にこの曲でさらに加速され「間違っていなかった」と即定期購入した自分の選択の正しさを確信したのでした。この解説書も充実していて初心者向けでもありますが、かなり専門的なところまで書いてあり、やっぱりいろいろジャズの勉強にもなったしありがとうございますとしか言えなかったですね、しばらくは。
Waltz For Debby / Bill Evans (1961年)
「クールジャズコレクション」の第2巻は白人のジャズピアニストの巨匠「ビルエヴァンス」で、これまた気品のあるヒーリングサウンドといいますか、当時ひきこもりから脱出して整骨院で働いて専門学校にまで通うようになっていた自分が大人になっていく、感じの世界観を広げてくれたような導き手のような音楽でした。まあそこからまだまだ紆余曲折あるし、経済的な成功とはまだまだ程遠いし、成功者の聴く音楽「ジャズ」という勝手なイメージからは疎外しかされてない人生ですが、いつかこの高みに到達出来たらという夢をまだ見させてくれるから、精神の張り合いをその静かながら奥の方にとんでもない完成度と生命力を秘めたジャズが暗闇の光であり続けている感じですかね。洋楽や邦楽は過去の自分を照らすけど、ジャズはこれから大人の階段を遅ればせながら登っていく未来を照らす音楽という感じでもあります。
Autumn Leaves / Bill Evans (1959年)
「枯葉」の邦題でも有名なスタンダードナンバーで「クールジャズコレクション」の第2巻のCD2曲目に収録されております。この曲もジャズを聴く前から知っていた曲で、まだまだ背伸び感はありましたが、まああの当時にこの世界観に似合う精神性はなかったけど、幻想の中で「成功した大人」のイメージに浸って、惨めさを忘れていたマッチ売りの少女的な心境もまだまだあったというか、やっぱりややこしい人間でしたね。だからジャズだけを聴き続けるっていうことには早々と挫折はした感じです。まあ背丈が足りないのに無理したらアカンってことですね。それでもジャズは音楽の幅は広げてくれたからそこには感謝しております。
Grandfather's Waltz / Bill Evans & Stan Getz (1964年)
「イパネマの娘」で有名なブラジル音楽、ボサノヴァ巨匠スタンゲッツとの共演が異色な組み合わせとも言われた曲で、「クールジャズコレクション」第2巻の4曲目に収録されております。ビルエヴァンスのピアノから静かに入り「かわいい小品かな」と思わせてあとからスタンゲッツテナーサックスが張り合いを持たせる聴きごたえのある曲で、最初聞いた時はスルーしておりましたが改めてUSBに録音する時とか「いい曲だな」と思って録音リストに入れた思い出があります。どの音楽も一回聞いただけでは分からない名曲っていうのはありますね。するめのように一生楽しめるから音楽は最高です。
Violets For Your Furs / John Coltrane (1957年)
「クールジャズコレクション」の第3弾ジョンコルトレーンの回の5曲目ラストに入っている曲で1曲目の「セイ・イット」と並んでとんでもないバラードの名曲だなとジャズ初心者はぶったまげた記憶があります。マイルスデイヴィスと並ぶジャズの「静けさ」の持つ魅力を最大限に生かして表現しきったジャズメンだと個人的には思ったりします。ここまで精神を高められた音楽を聴いてしまったらちょっと、うーん、言語化は難しいですが、生きているうちに聞いておくべき音楽の一端には触れたから「もういいか」みたいな、そんな危うい錯覚をも起こしてしまう、魔力が宿っているみたいな感じです。この頃はもうそこまで情緒不安定とかではなかったのですが、その名残みたいなのはまだお尻に残っていたからまだ「死の世界」が美しいものの向こうに透けて見えていたのかもしれません。
Days Of Wine And Roses / Oscar Peterson (1964年)
「クールジャズコレクション」の第4弾、オスカーピーターソンの回の1曲目に入っていて、ビルエヴァンスとはまた違った「陽気な」「元気の出る」ジャズピアノってのが新鮮でした。邦題は「酒とバラの日々」でスタンダードナンバー化もしていていろいろなところでボーカルだったり流れていて、明るい雰囲気の曲でそれまでの内省的なバラードとは違っていて、でもこういうのも好きになったりして。やっぱりジャズもその表現者の個性が精神性が色濃くそのピアノやらサックスやらから出て来るんやな、奥が深いなと興味深く聴き入っておりました。オスカーピーターソンはそんな社交的な音楽をジャズを通して、不思議と元気が出て来るサウンドを響かせているように思え、この4枚目もお気に入りのアルバムになってました。当時勤めていた整骨院にもBGMで流してもらって店の雰囲気とかに合ってましたね、ジャズは。
All Of Me / Oscar Peterson (1959年)
往年のアメリカの大物歌手、フランクシナトラが歌って大ヒットさせた曲らしいです。僕自身原曲は聞いたことないのであれなんですけど、このオスカーピーターソンのジャズピアノの何とも言えない、昼下がりの美しい、豊かな情感をたたえた調べが本当に心地よく響いてきて、一気にオスカーピーターソンのファンになったりしました。と言ってもこの「クールジャズコレクション」でしか聞いていないですが。本当にこのシリーズは買って大正解でした。ジャズはもうこれと続くシリーズ「ブルーノートジャズコレクション」で十分かなと思うくらいに。
Satin Doll / Oscar Peterson (1964年)
これも「クールジャズコレクション」第4弾オスカーピーターソンの4曲目に収録されている名曲で、一発で気に入った曲でもあります。豊かな店内のバイブスに満ちた、どこまでも明るい昼下がりと、心ある人たちの古き良き交流を思わせる、そんな一曲ですね。と個人的な印象を書き連ねましたが、解説文には「”サテンドール”というあだ名のある、胸の大きく開いた絹のドレスの艶やかな女が、長い煙管(きせる)をくわえながら、カウンターの向こうからちょいと流し目をよこしている」とあり、ちょっと違いましたね笑。まあでも音楽は個人個人の感性に基づいて想像力を膨らませられるのがいいところだと思います。いいライブ映像があったのでそれでどうぞ。
Fly Me To The Moon / Oscar Peterson (1964年)
これはジャズを聴く前から「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングテーマで流れていたので知っておりました。まあエヴァンゲリオンのバージョンはもう少しスローなテンポでそっちの方がイメージにはあっていたかなとは思うのですが、これはこれで聴いていくといいなと思うようになりました。エヴァンゲリオンは第一世代で1997年の深夜の再放送を機に18歳とかでドハマりしてしまった感じですね。あの当時は自分探し系が流行っていてマンマとその流れに乗ってそのまま、ああ引きこもりにまで至って、ってエヴァンゲリオンのせいにしても仕方ないですが笑。それ以外にも物理のディラックの海とか死海文書とかいろいろこれでもかっていうくらい知的好奇心を刺激させる世界観で、やっぱりとんでもないアニメ作品やったなあって思ったりします。ある海外の社会学者とかは「史上最高のアニメ」とまでこのエヴァンゲリオンを評していましたし。そんな深遠なテーマのラストにまたこのジャズのスタンダードを持ってくるあたりがセンス抜群やったなあって思ったりします。
だんだん寒くなってきましたが、まだギリギリ秋かなと思ったりするので何とか秋の内にこの「JAZZ」の記事出せて良かったです。やっぱりジャズは秋の夜長ってイメージかなと思ったりするので。このコレクション買って以降、そこまでジャズを聴いたりはしていないのですが、持っている安心感は高級ソファみたいな感じもして、いろいろ音楽聴くけど「ジャズもある」って思えると、どこか吊り上げられるって感じがして非日常の一番高いところへいつでもエレベーション、みたいな感じですか。よく分からないこと書いている気もしますが笑。いい音楽はやっぱり幅広く聞いていきたいなって思ったりするので、このコレクションと小学生の時に母親に買ってもらったクラシック全集は死ぬまで手元に置いておくと思います。どっちも人生で言うほどは聞いてはいないのですが、持っている安心感ってやつですか。年明けたらクラシックとかも始めたいと思います。受けるかどうかは不安ですけど笑。あと年内は「昔作ったMD、カセットテープ」シリーズでクリスマス洋楽のイメージの集めたものを出来たらと考えております。今回は以上です。ではまた何かの10選で。