若者は「実感」を重視する
column vol.1143
今日は私用で下北沢に行ったのですが、この街は「ザ・若者の街」。
演劇の街でもあることから、私も芝居に打ち込んでいた大学生時代はよく訪れていました。
そして今、若者たちを眺めていると、20年以上前に若者だった私たちの世代との違いを感じています。
その1つに、今の若者がこれまでの若者よりも「実感」を重視する傾向があると思うのです。
「位置情報アプリ」を使う心理
私個人が最もジェネレーションギャップを感じるのが「位置情報アプリ」です。
〈PRESIDENT Online / 2023年8月19日〉
今年2月に「Zenly」(ゼンリー)がサービス終了になりましたが、16歳から24歳までの若者たちの間で、この位置情報アプリを11.1%の人たちが使用していました。
さらに、高校生にいたっては20%に倍増します。
つまり、5人に1人は利用していたわけです。
…私からすると、監視されているようでイヤだなぁ…と思ってしまうのですが、使用ニーズを深掘りしていくと、今の若者の心理が見えてきます。
その大きな理由の1つが、「お互い傷つかないようにしたい」という気持ちです。
相手の位置情報を把握していれば、誘って良い状況が分かるので、断られて傷つくことも、相手に断らせる(罪悪感をもたせる)ことも少なくなります。
それだけ今の若者が繊細であることが分かりますね。
そしてもう1つの理由が「仲の深さ」を実感できることです。
最近の若者同士の関係は、SNSのアカウントをフォローし合うことから始まり、LINE交換にステップアップするなど、友情のステージがあります。
そうした中で、位置情報を把握し合う関係というのは「最上級」の関係であることの証なのです。
SNSの登場により、誰とでもつながれる世の中になりました。
浅く広く付き合うことができる、だからこそ「どれだけ仲が深いのか」ということを確認したくなるのでしょう。
他にも最近、盛れないSNSの「BeReal」など、クローズドSNSの利用が増えていますが、ここでも仲の良さを実感したいという願望は見て取ることができますね。
「成長」の実感が離職を防ぐ
続いては仕事についてです。
最近は、ホワイト企業でも若者の離職率が高いと聞きます。
そして、その理由が「ゆるさ」であることもよく知られるようになりました。
つまり「成長の実感」がないと辞めてしまうということです。
実際、新規大学卒就職者の3年以内離職率は約30%。
若者からすると、厳しい職場は嫌だけれど、成長を感じられないのも困るというわけです。
〈PHP online / 2023年7月14日〉
私たちの時代は「不満型転職」が多かったですが、今はどちらかというと「不安型転職」が多い。
つまり、先行きに不安を感じると転職熱が高まるというわけです。
私個人の印象としては、今の世代は非常に真面目で成長意欲も高く、頑張れる人たちが多いと思っています。
ただ、理不尽で意味のない(意味の分からない)ことに厳しい目を向けており、感情的に批判するというよりも、静かに境界線を張っているという印象があります…
それを、上の世代の中には「マイペース」と捉えられている人もいるでしょう。
ですので、大事なのは育てる側が必ず意味を丁寧に伝えていくという意識です。
しっかりと納得してくれたら、若い人たちも非常に一生懸命に取り組んでくれる。
その上で、要所要所でどう成長しているかを伝えてあげたり、次の目標を提示してあげる。
そうすることでモチベーションは維持され、高まっていきます。
私たちの時代は、まだ終身雇用や年功序列が残っていました。
何だか意味が分からないけど、言われた通りにやっていれば、基本的には定年まで面倒を見てもらえるという前提があったのです。
今は気薄になり、副業も含めて自立(律)を求められる世の中になっている。
だからこそ、若者が意味を求めるのだと思います。
逆に、意味を伝えるにあたって、意味の伝えられないものは改善する必要のあるものですし、そこは常に見直し、仕事をアップデートしていく。
意味を求める若者に寄り添って、私も経営を考えていきたいと思っています😊
「意味」を見出し価値を「実感」する
この意味を見出し成長を実感するというのは重要で、成長を別のワードに変えても、その傾向は見られます。
例えば「価値」です。
最近、「若者が雑誌を読まなくなった」という話をよく耳にしますが、一方で読まなくなったのに「購入」している人が増えているとも聞きます。
皆さん、この若者心理を読み解けるでしょうか?
はい!
それでは、正解をお伝えしますね。
実は…
のです。
〈まいどなニュース / 2023年10月17日〉
株式会社RECCOOが運営するZ世代に特化したリサーチサービス『サークルアップ』が、「雑誌の購入動向」に関する調査をしたところ、38%の大学生が「雑誌をインテリアとして購入した経験がある」と回答。
4割弱というのは凄いですね…
ちなみに、具体的な雑誌名としては、『NYLON』『Vogue』『POPYE』『anan』『LARME』などが挙げられています。
また、「雑誌は読むモノではなく、インテリアとして置くものに変化してきていると感じる」と答えた大学生が45%に上るそうです。
このまま行くと過半数を超えそうな予感です…
これも雑誌の価値について自分なりに意味を見出している結果だと思います。
今やSNSは検索ツールとなり、雑誌を読むまでもなく情報を集めることができる時代です。
そうなると、読み物としてのメリットは感じられない…
ただ、家に飾っておけば、友達に「感性ある自分」「知性のある自分」をアピールすることはできる。
そこまでいかなくても、感性・知性を感じる雑誌を部屋に飾っておくことで、気分が良くなるというのはあるでしょう。
イミ消費という言葉も聞かれますが、こうした観点を理解することが若者心理を捉える上で重要なポイントになるような気がしています。
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます😊
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