「不確実性」は未来への希望
column vol.1219
突然ですが、質問です〜
ご自身の未来について「予想通りの人生」の方が良いですか?
それとも「予想外の人生」の方が良いですか?
つまり、「確実性」と「不確実性」、どちらを求めているかということです。
「不確実性」はワクワクの種
恐らく、良いか悪いかは置いておいて「確実性(予想できている)」の方が安心なのではないでしょうか?
働く世代でいえば、多くの方が老後までのキャリアや資産運用について計画を立てていらっしゃるでしょう。
また、確実性重視という傾向は、先日ご紹介した日経MJの「2024年上期(1月〜6月)のヒット商品番付」で東の横綱に選ばれた新NISAでも、手堅いインデックス投資に人気が集まっていることからも見えてきます。
私も当然、確実性を高めたいと思っています。
それでアレコレと考えを巡らせるわけですが、
一方で最近は「不確実性も人生には必要かも」と思うようになっています。
結局、人生のターニングポイントを思い返すと、大抵は予想外の出来事であることが多いからです。
そのことについて語る前に、そもそもにはなりますが、未来が「約束されていない」からがんばれるという節もあります。
そして、そもそも「不確実性」自体がワクワク感を創出するという説もあるのです。
その説を唱えている方とは、B・F・スキナーさんです。
スキナーさんは、『レビュー・オブ・ゼネラルサイコロジー』誌が「20世紀でもっとも影響力のある心理学者」と呼んだ心理学の偉人。
1930年に「スキナー箱」というシンプルな実験装置を発明しました。
この箱は、中のレバーを押すとエサが出てくる仕組みとなっています。
そして、ハトからラットまで、さまざまな動物の行動を観察すると、どの動物もエサが出る仕組みをマスターすると、自ら進んでレバーを押すようになります。
その上で、今度はレバーを押してもエサが「出る」時と「出ない」時という形でランダムにエサが出るようにする。
すると、どうなるでしょうか?
正解は、より「熱心」になった。
つまり不確実性を加えた方が、どの動物もモチベーションが上がるのです。
この特徴は人間にも当てはまると言われています。
不確実性は売上をも上げる
シカゴ大学の心理学者である沈璐希さんも、この結論について実験で証明しています。
被験者87人を集めてタスクに挑戦してもらうというものなのですが
と、2つの条件を設定いたします。
すると、報酬が確実だった(A)グループのタスク達成率が43%だったのに対し、不確実だった(B)グループの達成率は70%に。
大きな差が生まれました。
つまり、不確実な条件を与えられた(B)グループの方が、モチベーションを掻き立てられたというわけです。
「どっちが出るだろう」と思うワクワク感が、金額とは別の価値をもたらしていたということです。
実際、プロモーション事例として、イギリスのコーヒーチェーン「プレタ・マンジェ」は、このアプローチで売上アップに成功しています。
コーヒーを1杯買うごとにスタンプを貯めて無料の1杯と引き換えるプログラムはよくありますが、
同店ではそうではなく、店員がランダムにコーヒーをサービスしています。
つまり、サービスを受けるか受けないかは時の運ということです。
実は、この作戦のほうが、購入回数に応じたアプローチよりも、お客さんに満足を与えているとのこと。
「不確実性=喜びの増幅」ということを表していますね。
人生のターニングポイントの起点
でも、「予想外の悪いことは起きないで欲しい」ですよね?
私も、それはそう思うのが本音です。
やっぱり、嫌なことが起きないで欲しい…
でも、起きてしまうのが人生です…(涙)
だからこそ、起きてしまった時のマインドセットとして
ということを思い出すようにしています。
例えば、このnoteもそうです。
2020年、想像もしなかったようなコロナの悪夢が襲い、途方にくれていたその夏に投稿を開始。
7月20日に酒の力を借りて初投稿しました。
結果、今もそれが続いています。
そして、記事を書いてきたことで、講演の仕事が舞い込むなど、その後の仕事に大きな影響を与えています。
気がつけば、4年前には想像もしていなかった状況がつくれているわけです。
コロナがなければ間違いなくnoteは始めていないですし、そう考えると、今の自分はコロナのおかげともとれる。
そして、よくよく人生を思い返すと、大抵は予想外の悪い事態が起きた後に何かを始め好転させていると感じるのです。
しつこいですが、予想外に悪いことは起きて欲しくないですし、なるべくなら計画通りに物事を進めていきたいと思っています。
一方で、一人の人間が想像し、計画できることは、世の不確実性の中では微々たるもの。
だからこそ、いかに「不確実性」に対してポジティブに向き合い、好転できるだけの心を日々磨いていくことが肝要だと思うのです。
何よりそうしたマインドセットを手にできれば、この予想不能のVUCA時代はチャンスに溢れている社会であると捉えられる。
そして、人生の幕を下ろす時に、「あのVUCA時代、結果、結構いろいろなことに挑戦して面白かったなぁ〜」と振り返られたら最高ですね。
皆さんも、ぜひぜひ不確実性を仲間に引き込んでいただければと思います😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!