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ストレスを「筋トレ」だと思う
vol.1392
ストレスは嫌なものですよね…
辛いことがあると、そのときだけではなく、夜ふと思い出したときに、再び嫌な気持ちになる…
ストレスは避けたいものですが、慶應義塾大学名誉教授の伊藤裕さんは、必ずしも「ストレス=悪」ではないと指摘しています。
〈東洋経済オンライン / 2025年2月22日〉
むしろ、ストレスがあることで得られるメリットもあると仰っている。
…一体、それは本当なのでしょうか…?
ストレスを避けるリスク
伊藤さんは、ストレスを避けるリスクをこのように話していらっしゃいます。
「私が懸念するのは、ストレスをすべて悪いものと捉えることで、生活の中で生じる自然な負荷やプレッシャーまでも避けようとしてしまうことだ。休養を重んじるばかりに運動不足になったり、挑戦や成長を避けようとする気持ちになったりしがちだ。
(中略)
たとえば、体調不良をストレスのせいだと思い込むことで、「仕事を休めば治る」と、根本的な原因があり、すぐに治療が必要な病気を見逃してしまったり、自身の健康管理がおろそかになったりする恐れもある」。
…なるほど、ストレスを感じ、「休養する→動かない」と考えることで、逆に健康リスクが高まってしまうわけですね…
さらに、伊藤さんは
「体調不良の原因をストレスに限定することで、問題の本質を見抜けないため、根本的な解決策を見つけることができず、いつまでも状況が解決できなかったり、同じ問題を繰り返したりする可能性がある。
このように、なんでもストレスのせいにし、ストレスさえなくなれば……と考えることで、さまざまな別の問題が生じる懸念があるのだ」
と指摘されています。
確かにそれは納得するところで、私は「仕事の悩みは仕事でしか解決できない」と考えています。
「嫌なことは忘れてパーッと遊ぼう!」
と誘われて遊びに行っても、時折、仕事の悩みを思い出してしまう…
病気も根本原因を治療しないとダメなように、ストレスも根本原因を解決しないとモヤモヤが晴れない…
そして、さらにショッキングな研究結果があります。
アメリカで行った約3万人を対象にした調査によると、「ストレスが健康に悪い」と考えていた人たちは、他のグループに比べて死亡リスクが高かったとのこと。
この調査で分かったことは、ストレスそのものよりも、ストレスを「悪いもの」と捉えることが、健康に悪影響を与えてしまう可能性があるということなのです。
適度なストレスは必要?
「ストレス=悪い」というのは必ずしも言えないという話を聞いて、思い出すエピソードがあります。
私の妻は、一念発起し、昨年9月に会社を辞め、今は自分の目指すものに打ち込んでいるのですが、今年に入ってから、ホラー映画やちょっと暗めのドラマを観ることが増えている。
それまでは、あまり観ていなかったジャンルだけに、その理由を聞くと、こんな言葉が返ってきました。
「最近、ストレスが減ったからかなぁ??」
ストレスが減ったから、ホラー映画を観る機会が増えた?
彼女の答えに対して不思議に思っていたら、解決のヒントになるような話に出会いました。
精神科医の春日武彦さんによると、ホラーにはある効能があるようです。
「日常のありがたさの再認識は、恐怖が持つ“効能”の一つ」
〈AERA.dot / 2025年2月24日〉
ごくありふれた毎日でも、怖い映画を観ることで、その毎日が貴重なものだと思うようになる。
もしかしたら、これまでよりかはストレスのない日々に、妻が「この生活で大丈夫なのかな?」と無意識に思っていたとしたら、春日さんのお話しは納得できます。
あと、面白いと思ったのが、ホラーには「緊張と緩和」があるということ。
恐怖による緊張感が緩和する瞬間に「楽しさ」に変わる。
緊張と緩和といえば、お笑いも同じです。
つまり、ホラーにはお笑いと似たような効果があるかもしれません。
日々のストレスをホラーで解消する人も多いようですが、その理由もよく分かりますね😊
ストレスが楽しさも生む
恐怖で心理的ストレスを受け、安堵することで楽しさが生まれる。
これは、ほかのストレス解消法にも当てハマるような気がしています。
私の知人でアウトドアが大好きな人がいて、プライベートは厳しい雪山を登ったり、1週間無人島でキャンプ生活をしている。
かなりストイックな休日ですが、聞くと、それは「辛いことばかり」と言う。
では、「なぜ心身にストレスがかかるような休日を過ごすのか?」と聞くと、「達成感」がたまらないからとのこと。
そういう私も30代の頃はマラソンに熱を上げていました。
よくレースに出るたびに「何でお金払ってフルマラソン走っているの?(辛い体験をしているの?)」と聞かれることがありましたが、やはり達成感を味わいたかったことが理由です。
毎日、プライベートな時間を削ってnoteを書いているのも「緊張(ストレス)と緩和(達成感)」なのかもしれません(笑)
〜と考えると、まさに仕事は緊張と緩和の結晶なのではないでしょうか。
辛いことを乗り越えるからこそ、仕事は楽しい。
逆に、楽な仕事が楽しいかというと、そうではないのかもしれません🤔
いずれにせよ、仕事のストレスを筋トレのように捉えると良いのかなと感じています。
上手くいかなくて辛いと思うときは、筋肉が育つために負荷をかけているような感覚で、脳が育つための時間だと思う。
筋トレが筋肉痛を伴うように、ビジネスの成長にも痛みは伴うと考える。
少なくともストレスをどう捉えるかで死亡率が異なるならば、なるべく良い方向に捉える方が長生きにも、成長にもつなげることができるわけです。
そう思いながら、今後もストレスに向き合っていきたいと思います🫡
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!