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悩むから幸せになる
vol.1380
人生には悩みが付きものです。
どんな偉人も、悩みがない人はいないでしょう。
そして、悩むからこそ幸せになる。
そんな予感を後押ししてくださるのが、『新版 禅僧が教える心がラクになる生き方』の著者であり、禅僧の南直哉さんです。
南さんは、多くの悩める方々の相談を受けていますが、
「あなたの中に重苦しい気持ちがあるのなら、その思いをなくしたいと願ってもむずかしいでしょう」
と、アドバイスを送っています。
〈mi-mollet / 2025年2月2日〉
ええ…!そんな殺生な、、、
と思う方もいらっしゃると思いますが、そこには深いワケがあるのです。
“つらくても大丈夫”と思える生き方
南さんは、このように言葉を続けます。
「ただ、苦しみをなくすことはできなくても、悩みや問題を解きほぐしていくことはできます。もっと言えば、“つらくても大丈夫”と思える生き方をすることはできます」
なるほど、確かに「つらくても大丈夫」という生き方ができれば、最高です。
…しかし、それは簡単ではないでしょう…
では、どうすれば「つらくても大丈夫」というマインドになれるのか?
南さんは、それには
「何を大切にして生きたいか」
を明らかにすることと仰っています。
つまり、「自分のテーマを決めて生きる」ということ。
ここが重要で、そもそも幸せとは本来、人それぞれ違うはずです。
最近は、そうした考えは当たり前になってきましたが、それは情報、知識として認識されているだけで、本当に腹落ち、実践できているかどうかは分かりません。
…私自身も、人を羨ましいと思うこともあれば、誰かを見て、自分の生き方は間違っているのではないかと思うこともあります…
人は、それだけ周りの人と自分を見比べて、影響を受ける生き物。
それは実は、マイナスばかりではなく、社会性であるとも考えているのです。
アリストテレスは
「人間というのは、自己の自然本性の完成をめざして努力しつつ、ポリス的共同体(つまり《善く生きること》を目指す人同士の共同体)をつくることで完成に至る、という(他の動物には見られない)独特の自然本性を有する動物である」
という言葉を遺していますが、自己と社会(他人との関わり)を行ったり来たりしながら、人間は完成されていく。
そのプロセスで、羨んだり、嫉妬したり、見失ったりするのは「人間らしさ」を追究していく上で欠かせない要素とも言えるのです。
…だからこそ悩む…
だからこそ、大切なのが「世界観」なのです。
情報の99%はなくてもいい
世界観とは、「自分の生き方」。
南さんは、それを
この世界が、自分にとってどんな場所なのか。
自分とこの世は、どんな関係があるのか。
といった問いから導く必要があると仰っています。
そして、その世界観を持つために必要なのが「教養」です。
教養は
「情報」→「知識」→「知恵」→「教養」
という流れで、磨かれていきます。
人は、より良い人生を歩むためにたくさんの情報を獲得しますが、南さんは99%の情報は「必要ない」と考えていらっしゃいます。
「世の中に今ある情報の99%はなくてもいいものです。自分にとって必要な情報はせいぜい1%程度でしょう。
抽出された1%を、『知識』と言います。その知識を、自分の問題に組み込んで使えたときに、『知恵』となります。抽出した知識を人生にどう生かせるのかがわかれば、それは知恵があるということです」。
知識とは「問題を解決する力」ですが、教養は「知識の深い理解と精神的な豊かさ」。
つまり、「人間性の向上と社会生活での文化的素養」を獲得するというわけです。
これは、昨日の読書の話に通ずる考え方と言えます。
ちなみに、池上彰さんは教養を「幸せに生きるための知識の運用力」と表現しています。
だからこそ、教養を世界観(自分の生き方)につなげていけるのです。
しっかり困ったり、悩む
そして世界観を育むために、南さんは、このように仰っています。
「人が学び始めるのは、自分の悩みや問題を見据えることができ、この状況をなんとかしたいと本気で考えたときです。そのためには、きちんと困ったり、悩んだりしなければならないのです。
悩みや苦しみをなんとかしたいと切実に思ったとき、人は情報の選別を始めます。もちろん、そこからすぐに事態が変わるわけではありません。
しかし、『情報を使いたい』『問題を解決したい』と実践を繰り返すうちに、少しずつ情報から世界観へのループが回り始めます。
そのスピードは、ゆっくりかもしれません。また、問題の見極めに失敗すれば、ときにはループの回転が滞ることもあるでしょう。
でも、ループはじわじわと回り続けます。
そしてその回転は、確実に世界観を育んでいくはずです」。
ちなみに、日本経済の父である渋沢栄一さんは、このようなアドバイスを遺していらっしゃいます。
「窮すればすなわち通ずという格言がある。人はいかに窮迫にあっても至誠と勉強にかけるところがなければ、必ず開運の道があるものである」。
人間関係だけではなく、人生は悩みがあるからこそ、人は成長しますし、自分の幸せ(世界観)の解像度が上がる。
自己嫌悪に陥る瞬間も、誰かを嫉妬する瞬間も、その1つ1つが幸せに近づく一歩であると考えれば、「つらくても大丈夫」どころか、「つらいから、もっと良くなる」という発想も生まれてくるのではないでしょうか😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!