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さぁ、“のろし”をあげよう
vol.1387
何か新しい挑戦をしようとして
「上司から理解してもらえなかった…」
「部下が全くついてきてくれない…」
と悩むことが多いのではないでしょうか?
私も経験しまくってきました。
ところがです!
実業家の山口周さんは
「周りが理解してくれることを望んでいること自体が論理的におかしい」
と仰っているのです…
〈東洋経済オンライン / 2025年2月20日〉
ええっ、、、何で、、、?
と思う方も多いと思いますし、私も最初は同じ気持ちだったのですが、そこには納得の理由があります。
では、その理由とは何なのか?
そして、周りの協力が得られないという困難に、どう立ち向かえば良いのか?
今日は、そんなことについてお話ししたいと思います😊
賛同を得る確率は2.5%
まずは「理論的におかしい」という話について、山口さんはこのように解説しています。
「有名なジェフリー・ムーアが提唱したマーケティングにおけるライフサイクルカーブを見ると、イノベーター(革新者)は全体の2.5%、アーリーアダプター(初期採用者)は13.5%だと言われています。
言い換えれば、これまでにないコンセプトやマーケットが出てきたときに、『あっ、これは来ている!』と最初に飛びつける人は2.5%しかいないということです」。
なるほど、なるほど、イノベーター理論に基づいてお話しされているということですね。
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何か新しいことを始めるとき、真に理解できる人は2.5%しかいない可能性が高い。
確かに考えてみたら、今までになかった斬新なアイデアを思いついて、それがいとも簡単に理解されたとしたら、それは実は斬新ではなく、誰もが既に思いついているようなものかもしれません。
理解できる人が少ないからこそ「斬新」なわけです。
だから、「上司が理解してくれない」「部下がついてきてくれない」というのは当たり前であるという理屈はよく分かります。
そして、山口さんはこのように続けます。
「2.5%しか採用してくれないわけですから、味方になってくれる人を2、3人見つけようと思うと、少なくとも100人に話さないといけないということになります。
100人に知らせるためには、のろしを上げないと無理で、本を出すなり、ホワイトペーパーを書くなりして、自分のやりたいことをぶち上げるほうがいいと思います」。
身近な同僚だけではなく、ときに部署を超え、会社を超え、賛同者を募る。
それぐらいの熱意とやり方をしないと実現が難しいということでしょう。
私も色々な人を見てきましたが、結構、斬新なことを考えられる人はいる。
しかし、それが実現しないのは、この理屈を理解していないからなのかもしれませんね🤔
右肩下がりの黒板業界で売上3倍
ここで、のろしを上げて成功している経営者の方を1名ご紹介したいと思います。
黒板メーカー「サカワ」社長、坂和寿忠さんです。
〈CHANTO WEB / 2025年2月20日〉
同社は100年続く老舗企業で、坂和さんは4代目として32歳の若さで就任します。
黒板といえば、少子化もあり、業界全体としては右肩下がり。
「このままではいけない」と一念発起して開発したのが、デジタルとアナログのハイブリッド黒板アプリ「Kocri(コクリ)」です。
こちらは、スマホとプロジェクターをつなぐことで、アプリ上の素材を黒板に投影することができるアプリ。
アプリの中に図形や絵など、さまざまな素材が入っているので、それらを映し出せば、先生がいちいち黒板に書く必要がなくなります。
例えば、日本地図を手書きすると、かなり時間がかかるでしょう。
でも、アプリで素材を選択して投影すれば、先生の手間と時間が省けるというわけです。
もちろん黒板自体も使えるので、投影した地図にチョークで書き込める。
アナログとデジタルの “いいとこ取り” 黒板なのです。
この画期的な商品を開発したことで、2018年の売上高は5.3億円だったのが、2023年は18.6億円に。
5年間で、何と3倍近くとなっています。
しかし、最初から順風満帆ではなかったようで、そこには大きな苦労もあったのです。
アプリを知らずにアプリをつくる
そもそもサカワはアナログ黒板のメーカー。
アプリをつくったことはありませんでした。
つまり、坂和さんは「どうやってアプリをつくるんだ、、、?」というところからスタートしています。
しかも、このアイデアを浮かんだ際、なかなか言語化することが難しかったそうです。
…であるならば、当然社員がついてきてくれるわけもありません…
それでも、アプリを一緒に開発する会社を一生懸命に探し、ついに
「おもしろいね!一緒に開発しよう」
と賛同してくれるIT企業と出会えたとのこと。
…ただし、開発費用は2,000万円…
そこで
「営業として達成すべきノルマに加え、アプリ開発費を捻出できるだけの売上を達成するので、開発を進めさせてほしい」
と、当時サカワの役員だったご両親にプレゼン。
「そこまで言うならやってみたら」
と了承を得られ、開発に着手したそうです。
何とかカタチにし、展示会に出展し、のろしを上げたら、webニュースが取り上げてくれたそうです。
それにより自社のWebサイトがパンクしたそうですが…(汗)、その状況が社内の空気を一変させたとのこと。
坂和さんも
「それまでは(社員は)言われたことをやっているようなところがあったけど、『自分たちの手で新しいものを作っていこう』という機運に変わっていくきっかけになったと思います」。
と当時の手応えを話しています。
革命は少数派から
その後、プロジェクターの「ワイード」を開発するなど、精力的に商機を見出していきます。
ただし、それも決して順調というわけではなく、大手電機メーカーの社長さんから「売れないと思うけど」と言われるなど、なかなか辛辣な言葉を投げかけられたこともあったそうです。
しかし、現場の先生方の好意的な声が広がり、気がつけば坂和さんのハイブリッド黒板はヒット商品に。
ワイードは少しずつバージョンアップを続けていて、もうすぐ4機目の発売を迎えるそうなのですが、現在シリーズで累計1万台近くを売り上げているとのことです。
そうして同社の売上高は5年間で約3倍になっていきました。
こうして結果が出たことで、ますます社内の空気は変わっていったとのこと。
ただ、坂和さんは
「まだまだ変えていくつもりでいます」
と語っていらっしゃる様子から、まだ全社一丸の道半ばという感も伝わってきます。
つまり、それだけ賛同者を集めることというのは難しいということでしょう。
結果が出ても尚なのですから、最初の発案段階で賛同してくれる人が2.5%というのは、かなり実感のある数字だと個人的には思っています。
当社は1981年、先代社長が4人で始めた会社なのですが、最初はクライアントや後から入ってくる社員、協力会社などなど、さまざまな方面で賛同が得られなかったそうです。
しかし、創業メンバーは
「革命は少数派から」
という言葉を合言葉に、徐々に賛同の輪を広げていったそうです。
私も賛同を得られないことが多々ありますが、「革命は少数派から」という言葉を胸に、根気強く取り組んでいきたいと思います🫡
皆さんも、上手くいかないことがあっても
「周りが理解してくれることを望んでいること自体が論理的におかしい」
という山口さんの言葉を思い出して、一歩一歩前進していただければと思います😊
本日も最後まで読んでいただき、誠にありがとうございました!