[1分後に意外な結末] 山里千代子の物語
山里千代子は目覚めた。
薄暗くて周りがよく見えない。 ここはどこだ?
昨日は確か親友の佐藤愛酢と彼女の部屋で宅飲みをしていた。
たわいもない恋話に花を咲かせ小一時間程度は飲みに飲んだ。
愛酢がトイレに行くと言って…
…
…
そこからの記憶がない。
とりあえず、、ここがどこか探索してみるか。
千代子は好奇心旺盛である。
昔から千代子はじっとしているのが苦手な少女だった。
常に動いていないと落ち着かないので学生時代は周囲から少し浮いていた存在だったのだ。
そんな千代子が唯一心を許す存在。それが愛酢なのだ。
それにしても愛酢はどこに行ったのだろう。
どてっ。
千代子は何かにつまずいた。
痛ったいなぁ~
ん?
ふと転んだ視線の先に映っていたのは帽子を被る自分の姿だった。
千代子は手を頭にあててみる。
気づかなかった!
千代子はお山の形のした変な帽子を被っていたのだった。
千代子は立ち上がる。
そして周りをよく見渡してみる。
暗くてよく見えなかったがここは360度鏡に囲まれている。
床、壁、天井全てが鏡だ。
そして広い。
千代子は地面に映る自分の姿をもう一度見た。
ぎょっ。
足が1本しかない!?
千代子はパニックになった。
千代子はパニックに弱い。
小学生の頃。校長室の花瓶を掃除の時間に割ってしまった彼女は頭が真っ白になった。
無我夢中で校長室を飛び出し千代子は走った。
走って。
走って。
意識を失った。
その後保病院のベッドで目覚め以後しばらく学校に通えなかった。
苦い思い出だ。
今回も千代子は頭の中がだんだんと白くなって行くのをひしひしと感じていた。
どうしよう?
なんでこんなことに?
ここはどこなの?
千代子は次々と浮き出てくる疑問に打ち負けそうになった。
そのとき!
ポンポンっ。
千代子は肩に誰かの手の感触を感じた。
とっさに振り向く。
そこには「たけのこ」の形をした変な生き物が立っている。
しかもよく見ると一匹じゃない。
後ろにざっと数えて20匹はいる。
うぎゃぁー
千代子は悲鳴をあげた。
そして千代子の意識は遠退いていき…
…
…
…
目が覚めると千代子は見覚えのある部屋のソファーにいた。
愛酢も向かいのソファーで眠っている。
千代子はふと今の時間が気になり机の上にある時計に目を向けるとそこには、
開封されたたけのこの里の箱の中に1つだけキノコの山が混ざっていた。
おわり。