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人前での挨拶は、何が出てくるか・何を受け取ってもらえるかが、分からない、ガチャガチャに似ている気がします。 〜内定式での挨拶を通じて考えたこと〜

昨日当社で内定式がありました。

45人の内定された皆さんをお迎えしてちょっとした式典・イベントを行いました。

わたしも歓迎の気持ちをお伝えするため、15分程度ご挨拶させてもらいました。

人前での挨拶は苦手です。特に近年その気持ちが強くなりました。ちなみに、「おはようございます」や「こんにちは」といった声かけの挨拶は好きです。挨拶を交わす瞬間にお互いの気持ちが通っているな、と感じられる瞬間があると、とてもありがたい気持ちになります。  と、話が逸れましたので、戻します。

苦手の理由は大きく2つです。
ひとつは、私の話が冗長になりがちなためです。特に当社の風土・雰囲気の中で相対化すると、それが一層際立ちます。(手前味噌っぽくなりますが)当社の皆さんは、簡潔明瞭で定量的な情報を出しながら切れ味鋭く非常にわかりやすい説明・スピーチをされます。一方でわたしときたら、その場にいるオーディエンスとの前提を揃えようと必死になり、ついつい情報が増え散らかってしてしまいます。

もう一つは、オーディエンスが増えると、一人ひとりが聞きたいこと・知りたいことの重なりが分からなくなってしまい、加えて、その場に要請されることと、自分が話したいこと・あるいは話せることとの繋がりが見出せず、自分の話すことが定まらず、準備が一向に進まない・当日までにうっすらした不安が頭を覆うためです。

こう書いてみると、両者に共通するのは、オーディエンスを主語にして考えがちなため、オーディエンスの個性や具体像が自分に降りてこないと、話の中心が定まらないのだな、と気づかされます。

いつも、結局最後は何かしら出てくるのですが、何が出てくるかが、本当に直前まで分かりません。冒頭のタイトルでいうと、たくさんのガチャガチャが並んでいるなかで、まずは、どのガチャガチャを選ぶか、が決められない状況にあります。

そんな状態で今回も不安なままに前日を迎えていました。

何を話そうかと、色々思案している過程で、ふと思い出したのが、わたしが中学3年生のときに参加したある高校の学校説明会での内容と状況でした。「当校の生徒は1割くらいの生徒が皆勤賞です。学業やスポーツで表彰されるのも立派ですが、それがとれなくても皆勤賞はみな目指せます。」そんな趣旨でした。当時は、皆勤賞という言葉も知りませんでしたが、なんだか自分でも目指せそうな気がして心が躍りました。結果として、その高校で3年間の皆勤賞を取とることになりました。こんな些細な経験ですが、人が発する言葉と受け取る側の意識的・無意識的な関心が、話者の想像を超えて結びつき、人の(私の)人生に影響を与えることがあるという不思議さが私の前意識の領域に置かれており、だからこそ何が出てくるか分からないけど、相手を想像すること・自分が話すことの意味と意義を考え続けることを止めないのだろうなと、思っています。

たかが内定式挨拶・されど内定式挨拶。

そんなことを考えながら、ふと、前夜に照準が定まりました。

内定を承諾してくれた45人のうち5人の学生さんは私が面接した方々だったのですが、その5人とそれぞれ共有した1時間の中でその方らしい心温まる言動が思い返されました。そのことにAppreciateしながら、その5人に、「内定承諾ありがとう」と「面白く・輝けるステージを用意してますよ」、という気持ちを届けるように話しをすることであれば、オーディエンスの期待や関心との重なりも、僕が話したいことと話せることとの繋がりも立ち現れてきました。

面接当時を思い返せば、学生さんと私との間で、二人で作り上げている時間・空間が確かにありました。それに関しては、挨拶に社交辞令も美辞麗句も入れる必要がなく、思ったこと・感じたことを、ただ言葉にすればよく、翌日の登壇シーンのゴールがイメージ出来ました。

・アルバイト先で孤立しがちな「おじさん」の話を聞いて・理解し・周囲に伝えることによって、誰一人置いていかないという意思と行動を示されたこと。それは当社の中で自然に起こっていることとも同期し、当社の良さを繋いで行ってくれるだろうと思えたこと。

・好きこそ物の上手なれ、を自然に体現しインターン先で多くのアーティストさんのマーケティング支援をしている経験を聞いて、仕事を面白がれる人が結局最強だよなあ、と気づかせてもらったこと。そして、それを周囲伝播してくれると想像できたこと。

・読書を通じて他者の経験を追体験をしていること、本を通じて障害の方の体験に想いを馳せ、それを自分に内在化させる思考が当社のこれからの多様性へ開いていくステージに必要不可欠だと思ったこと。

どのストーリーも、肩肘張らず、自然に・軽やかに話をしてもらったものでした。

私が最終的に選んだガチャガチャは、学生さんと私が交差したあの瞬間をただ思い出すだけでいい、という一番簡単なものでした。

当日の式典の冒頭の演出で、創業20周年記念のショートムービーが流れ、そこでは、「挑戦・変化・成長(マッチョな働き方)」が強調されるものだったので、自分としては、かなり焦りました。というのも、内定者にはちょっと刺激が強いようにも思え、また、私の選んだガチャガチャの趣きとのギャップが大きすぎたからです。ですが、もう始まってしまったものは仕方なく、いい意味で開き直り、多様な人・多様な考え方がある、と内定者の皆さんに感じてもらことにして、予定通りのお話しをさせてもらいました。そうです。始まってしまえば、あとは、ガチャガチャの取っ手を、ただただ回すだけした。

例に出したエピソードは特定の一人のものですが、内定の皆さんの一人ひとりにオンリーワンのストーリーがあり、それぞれが、当社という場所を通じて・アンプとなって、社会にいいインパクトを拡声してくれるものと、信じ願っていることをお話しすることにしました。

どのように伝わったか、受け取ってもらったか、は分かりませんが、参加された方の一人でも、あるいは、これを聞いていた人事の仲間の一人でも、何かしら感じたり・受け取ってもらえればうれしいな、と思っています。

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