「逃げられる社会から逃げられない社会へ」


ヒト(人類)の祖先がチンパンジー・ボノボの祖先と別れたのは600万~700万年前。現生人類(ホモ・サピエンス)がアフリカに登場したのが10万~20万年前。アフリカを出てグレートジャーニーを始めたのが5~6万年前。 で、定住生活を始めたのは、たった1万年前。。。

つまりヒトのデフォルトは圧倒的に遊動生活であったのだ。何百万年も旅を続けてきて、ごく最近(といっても1万年前ですが)、何故か、旅をやめたのだった(=定住革命)。

それは、自ら積極的能動的に「生き方の基本戦略を大きく変えた」のではなく、よほどのやむを得ない事情(例えば気候変動とか)で、消極的受動的に変えざるを得なかったとみるべきだろう。何故ならば、遊動生活は環境破壊も疫病も成員間の確執もなく、これほど素敵な生き方はないのだから! 人は遊動を続けるために何万年も努力し、万策尽きて定住を始めたのだろう。

定住が成員に対して(反復強迫的に)強いる、儀礼、禁忌や掟の体系(=交換様式Aの体系)は、それ自体ストレスフルなものだが、しかしそれ以上の極大ストレス(例えば戦争とかジェノサイドとか)を防ぐためには、どうしても必要な戦略であった。
つまり、戦略的に行われたのは定住ではなく、それに伴って始まった儀礼、禁忌、掟(=交換様式A)のほうであった、のではないか?

それにしても、「逃げられる社会から逃げられない社会へ」というのは至言だな。。 これほど定住革命をズバリ言い当てた言葉はないと思う。
1万年後の今なお、私たちが支配されているのは、「もう一度"逃げられる社会"に戻りたい」という衝迫(=交換様式D)というわけだな。。

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