見出し画像

はじめる、かわる、めぐる

今年の夏の話だ。
 
A4用紙と睨めっこしながら、
右手に太目のボールペンを持っていた
 
僕は悩みやモヤモヤが出来ると、
紙に書いて、解決しようとするのだ。

クーラーの音で集中が出来ない。


2013年のある日。
 
母親が突然ドアを開ける。いつもノックなしだ。
僕は机に広げたノートを急いで戸棚に仕舞う。
 
「あんた、いつも入ると、ごそごそするなあ。何してんの?」
「何もしてへん。」
 
悩みや考えを人に開示することが苦手だった。
 
だから小さい時から、悩みや思いついた事は、
一人でこそこそノートに忍ばせる。
 
因みに悩みを、紙に書いて解決する方法は有効とされている。
ゼロ秒思考というやつだ。


A4と睨めっこしていた僕はようやく紙に何かを書き始めた。
 
この先のキャリア。困難に立ち向かっていく意味。
これからの僕の目指す生き方。自分が楽しいと思えること。etc……

心が全く動かない日々が続いていた。
その間に周りの人はどんどん突き進んでいく。
 
何週間も掛けて、悩みと解決策を整理した。
 
山のように積み上がった紙の束を見て、悲しくなった。

実は、紙に書いて、自身の悩みを思い通り、
解決できたことは、ほぼないのだ。
 
なるようにしか、ならなかった。
悩む気持ちを落ち着かせるところが限度。
 
今回は緊急案件だった。悩む気持ちすら、抑えることが出来なかった。
 
悩みと不安で肺がパンパンになり、息を吐きたいと思った。
 
僕は友達にすら弱音を吐くことは滅多にない。
これは自慢すべきことではないが。

誰かに聞いてほしい。
 
僕がアカウントを持っていない未知の場所があった。noteだ。
 
藁に縋るように、アカウントを作成した。
 
自分の気持ちをそのまま吐き出そうとしたが、
他の作品に感化されたか、雨と重ねて、吐き出してみた。
 
これが、初めに書いた文章だ。スキをくれた人に感謝。

自分の心と真逆であるが、陽気という言葉で締めた。
悲しい気分で終わらせるのが悔しくて、未来は光っていて欲しくて。
 
僕は、書く事を、はじめた。
 
物事を「はじめる」と、「かわる」を迎える事は少なくない。
 
フェイスブックだって、学生のウサばらしの為に、始まった。
男子を評価づけする、女子学生に腹を立て、同性同士の写真を2枚並べ、
どちらがより「Hot」か、を投票していくというサイトが起源だ。
 
今や、サイトは、コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる
世界を実現することがミッションとなり、「かわる」を迎えた。
 
僕にとって書く事は、自身の負の感情を吐く為だった。
とあることを、きっかけに、「かわる」も迎えた。
 
初めて投稿した後、noteの海に暇さえあれば潜っていた。
 
そこでは、色んな形や色をした珊瑚に出会えた。
世界に1つだけの珊瑚達には物語が彫られている。
 
楽しかった話、悔しかった話、悲しかった話、
僕と同じような悩みの話、僕が経験したことのない悩みの話まで。
 
色々な珊瑚に触れてみて、勇気を貰ったり、
応援したくなったり、お互いに頑張ろうと思えたりした。

負の感情を醸し出した珊瑚からも学ぶことは多く、
また誰かが見ているよと伝えたくて、静かにさすった。
 
ただ僕は、自身の負の感情を吐き出す為だけでは、勿体無い気がしたのだ。
 
誰かが、クスッと笑えたり、面白いと思ったり、
安心出来たりする、そんな前向きな息も吐いて、珊瑚を育てたくなった。
 
これが、僕が迎えた「かわる」である。
 
最後に、書く事に関して言えば、「めぐる」もいつか体験するのだろう。
 
過去は変わらない。我々が見てきた景色や経験したことは、不変だ。

ただ、10年後の自分は見てきた景色や経験に対して、
今と同じ感情を持つのだろうか?
 
だからこそ、今の自分が感じたことを、記しておくのだ。
 
また悩みや思い出がめぐってきたときに、
より未来の自分達が楽しめるように。
 
はじめる、かわる、めぐる。
 
悩みは解決出来ていない、どこに行き着くかも分からない。

未来も偶にマリアナ海溝まで沈んだ気分になるんだろう。
 
けれど、この海に流されていようじゃないか。




↓ちょっとした紹介をさせて下さい。


最近、とらねこさんの「文豪へのいざない」という企画に参加しています。

毎週、金曜日にお題をもらって、みんなで書いてみるという企画です。
今回は「1年後のわたしへの手紙」をお題に5点満点中6点も貰えて、
困惑しています。ただ、共感してもらえたのが、嬉しかったです。

お題をもらうって、とっても面白いんですよね。
今まで、考えたことのない切り口で、
書くきっかけを貰えるので、ありがたいです。それに同じお題で他の方々の文章を拝見するのも、楽しいし、勉強になります。
こんな感じで、ビール2本を毎月我慢して、僕はただ遊んでいます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?