抗肥満薬GLP-1受容体作動薬の意外な効果~腸活ラボマガジンVol.30~
はじめに
皆さん、こんにちは、やまだです。今回は、最近話題となっているGLP-1という肥満に対する薬の思いもよらない効果について紹介したいと思います。
参考になったらぜひスキ(いいね)してみてくださいね!
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、食事を摂ると腸内で作られるホルモンです。このホルモンは、食後のインスリン分泌を増やし、血糖値の調整に役立ちます。GLP-1受容体を活性化させると、血糖値の上昇や胃の排出を抑える効果があり、2型糖尿病の治療に応用されています(ref1)。GLP-1受容体は、膵臓の細胞や脳の一部に存在しています。GLP-1を投与すると、脳のGLP-1受容体が活性化され、食欲を抑えたり体重を減らす効果があることがわかりました。GLP-1薬の使用により、肥満や2型糖尿病の治療だけでなく、心臓病や腎臓病の改善など様々な効果が期待されています。これらの利益は、全身的な炎症の低下などのメカニズムによるものであり、将来の治療や薬の開発に重要な示唆を与えています。
GLP-1薬が心臓病に効く?
最初に承認されたGLP-1薬であるエキセナチドやリラグルチドは、1日1回または1日2回の投与が必要でしたが、その後には1週間に1回の投与で済むダラグルチドやエキセナチドなどの長時間作用型の薬が開発されました。GLP-1薬の主な利点は、心臓病の改善にあります。これまでの研究では、GLP-1薬が心臓の損傷を保護する効果があり、血糖コントロールや体重減少とは独立しています。GLP-1薬は、2型糖尿病や肥満の人々を対象にした試験で研究されています。長時間作用型のGLP-1薬は、非致死的な脳卒中や心筋梗塞、心臓病の死亡率を低下させる効果がありました。さらに、セマグルチドは心不全を持つ2型糖尿病の人々にも利益をもたらすことが示されました(NCT04788511、これは米国で行われている臨床試験の番号です。例えば、これであれば、https://clinicaltrials.gov/study/NCT04788511がその臨床試験に対応します)。
ここから先は
いただいたサポートは、腸活ラボの運営や調査のために大切に使わせていただきます。