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書評『機嫌のデザイン』•他人に期待しない生き方

自分の機嫌は自分で取れ
不機嫌は撒き散らすな

よく聞く言葉だ

吾輩はそれがうまく出来ない
残念な大人である

機嫌のデザイン

著者はプロダクトデザイナーの方で
デザイナーらしい独特の感性を感じられる
『やわらかく、考える。』に似ていて
いわゆるサラリーマンの気質とは少し違うので
広く汎用的に使えるビジネス書とは
また違う味わいのある本だ

他人に期待しない

かなり独特で面白かった考えが

機嫌をよく保つには、周りに期待しない。
景色としての自分を美しく保つ。

機嫌のデザイン

不機嫌とはどこからくるのだろうか
何かへの期待ではないのか

例えば、買い物をした時
店員さんが感じが悪かったら
不機嫌になってしまうかもしれない

それはきっと店員ならニコニコしててほしいとかそんな期待があるのかもしれない

他人への期待はどこからくるのか

吾輩の場合は、
そこそこ高い店に行ったら
機嫌良くサービスしてくれることを期待する
店員さんにはいい感じの笑顔で対応してほしいけれど
時々ぶっきらぼうな人合うこともある
だけど、どうしても
支払った対価に対して期待してしまう

だけど、その店が高い理由は
原価がものすごく高い商品なのかもしれなくて
人件費は実は最低賃金なのかもしれない

最低賃金の人に高い接客を求めるか
と言えば、吾輩は求めない

そのように見えない背景の事情に対して
どこか勝手に期待してしまっているのである

上司への期待

皆それぞれ理想の上司のイメージや
あるいはご自身が上司の立場ならば
こうありたい、こうあるべき
など期待があるかもしれない

でも期待は強すぎると対立になりかねないので
期待はそこそこに
ただあるがままの上司を風景のように見ていた方がいい

街路樹がそこにあるように
それぞれの役職はそれぞれの意味背景があってそこにあるだけなのだから

そうは言っても
他人は風景だなんて割り切れないかもしれない

理想の部下

立場を逆転して、もしも自分が上司だとして
どんな部下が理想だろうか

素直な人?
反抗的でもとにかく結果を持ってくる人?

色々な理想があるとして
今自分はその理想的な、模範的な部下として振る舞えているのだろうか

上司の期待に応えられているのだろうか
エスパーでないので、それは分からない
聞いてみたところで本当かも分からない

期待することによる成長効果を一旦無視してみる

ピグマリオン効果とは
教師が生徒に期待を持つと
その生徒の成績が伸びるというものだ

ゴーレム効果とはその逆で
期待をしないと、悪くなる

『7つの習慣』では
レンズを外し、パラダイムシフトを起こし
その人本来の才能を信じることが大切だ
と第1章で解いている

期待は、期待はずれなことが起きれば
失望したとの表現になるだろう
期待するにせよ、しないにせよ
失望したにせよ、賞賛に値するにせよ
どうであれそれは伝わるとされている

相手に「できる」「できない」などラベル付けすれば、相手はそのように振る舞うと
『はじめての課長の教科書』や
『自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書』には書いてあった

期待することが、期待はずれによって
自分の不機嫌を招くのだとすれば
他人に期待を抱かないことによって
機嫌を保つことができるのではないのか

組織マネジメントと自分マネジメント

採用力を強化したり離職率を下げるためには
繰り返し、上司のビジョンを伝えることが大切だとの説があるが

本書はそんなことは全く書いてない

朝会社にきて、挨拶をして
不機嫌そうなら話しかけない
嫌だと思ったらその場を離れる
など、実にシンプルなことが書いてある

組織としてのマネジメントと
自分そのものをマネジメントすることは
全く相反することなのかもしれない

愛されるために媚びる必要がない
とまで本書は言っている

働く人ならば、愛されるとまで言わないものの、そんなに周囲に嫌われてないほうが仕事はしやすいと思う
嫌われてたら仕事の協力も得られにくいだろう

でも、媚びる必要もない
自分のままでいいし
陰口を叩かれてもそれでいい

組織の中でのマネジメント理論と
個人としての自分が心平穏にいられる
自分マネジメントは
真逆の理論が潜んでるかもしれない
と思えるような内容であった

ビジネスならば、All Winやgive&giveを目指せ
という本ばかりなのに
本書はそんなことがない

陰口を言われる人になる

これはなかなかビジネスのシーンで言われてることと真逆なことが書いてある

ビジネスをする上で評判は大切だ
評判が悪化したら足元を掬われて
いったい何をされるかわかったもんじゃない

人に悪く思われるのはそんなに気分のいいものじゃない(めちゃくちゃ気分の悪い人もいるだろう)

だから何だっていうんだろう
業務上、直接関わりのある人に
あからさまに嫌われるとそれは仕事がやりずらいが
ほぼ業務上関わらない人に陰口を叩かれていたからってそれはいったい何なんだろうか

でもそれは、自分勝手であれとか
周りの気持ちを全く無視して良い
とのことではない

自分自身も他人も風景ならば
その風景が美しいように機嫌を保つのだ

景色が美しいのは気持ちが良い

他人に期待しないではなく期待値を下げる

ビジネスをしてる上で自分勝手には生きられない
成果を出さなければいけないから

ほとんどの場合すべて自分一人で完結する仕事は難しい
何かの部分で誰かと協力しあって仕事をしてる

だからまったく他人に期待しないのも難しい
仕事は約束の期限を守ってくれることを期待するし、クオリティも担保されてることを期待する

上司から評価をもらうには期待値調整をしないといけない

「期待」の言葉を無視して仕事をすることができない
そうしてしまうと序盤に話した
他人に期待しないことで機嫌を保つのは難しくなってしまう

本書に付け足すとするならば
全く他人に期待せず仕事することはできないので、期待値をなるべく下げて仕事をすること

人は誰でも何かに対して◯◯であるべき
との思想を持ってる

遅刻はしないべき、とか
挨拶はするべき、など

でもその期待を下げるのだ
遅刻しないでくれたら良かったなとか
挨拶をしてくれて嬉しいなとか

日々の自分の中にある
他人への当たり前の期待を下げる

すると機嫌良く過ごすことができる

あなたを不機嫌にしている価値観(スキーマ)を塗り替えよう

自分を掘り下げて掘り下げて
常に当たり前に持つ他人への期待
自分にとっては何なのか

それが分かれば、少しずつ
ほんの少しずつ
不機嫌な日は減るはずだ

参考書籍一覧

機嫌のデザイン

やわらかく、考える。

7つの習慣

はじめての課長の教科書

自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書

自分でできるスキーマ療法ワークブック Book 1 生きづらさを理解し、こころの回復力を取り戻そう

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