立場変われば
海外のとある国で所長をしています。
直前は東京で課長をしていて、今は小さいながらも拠点の長を任されていて、出世でもあるけれど、同時に重い責任も感じています。備忘録として、課長から拠点の長になっての心境の変化を書き留めておこうと思います。
私が課長時代の部下からこんなフィードバックをもらいました。
「管理職としてやるべきことを全て全うしようとしている。バランスが取れているが、意思決定と仕事のスピードが遅い。」
それまでも、何度も上司、同僚、部下からフィードバックをもらう機会はありましたが、おおむね、「手堅い」「安定感」「部下の育成に熱心」というような内容で、上に紹介したフィードバックにはハッとさせられました。と同時にもう過去のもののようにも感じました。
課長時代の私は、そしてたぶん担当者時代も、部下、後輩の育成はどこでも労を惜しまずやってきたつもりですが、仕事に華々しさはなく、疎漏ない仕事ぶりだったと思います。そういう性格なのかもしれませんが、ミスをして怒られる、問い詰められることがとても嫌だということも影響していると今は思います。手堅さは防衛であり、何を守っていたかというと、仕事上は組織を守っていたということなんでしょうが、奥深いところでは自分を守っていたのです。
拠点の長になって一か月経ち、前任者からの引継ぎや関係者への挨拶回りをしているうちに、私たちの仕事の重要性と期待の高さに否が応でも気づかされ、成果を出すことに意識が向いてきました。成果を出すとは社会的インパクトを出すこと、変化に取り組むことではなくて変化を生むこと。この事業環境(国の社会経済)に向き合い、クライアントに向き合い、社会的インパクトを出す。
自分を見て、自分を守っていた過去の自分は、暇というか余力があったというか、クライアントに集中せず余計なことをしていたんだなと思いました。組織を守る手堅い仕事がダメなのではなく、その動機が自分を守ることという時点で、向き合うべきクライアントに向き合わず、余計なことにエネルギーを割いていたんだなと思いました。
もう、自分を見て仕事をするのはお終いです。冒頭の部下のフィードバックはありがたくしまって、クライアントを見て、クライアントのために仕事をします。そのために組織もマネジメントする。でも、関わった人には成長してほしいから部下も育成します(たぶん自然にそうします)。