コント。ラーメン屋。

何とか取引先にギリギリ間に合ってよかったー。

「すみません。先輩。ミスしてしまいまして」

大丈夫。大丈夫。間に合ったから。

それよりお昼か。外回りのついでに昼飯食べて気分変えるか！

「いいですね！」

ここのラーメン屋でいいか。

結構混んでるなー。

『こちらへどうぞ！』

『オススメはフカヒレラーメンになります』

へー。フカヒレラーメン。

『お決まりの頃、おうかがいします』

え！フカヒレラーメン。一万円！

高！ランチの値段じゃないよ！

メニュー決まった？

「これでいいかな」

「すいませーん！」

「えーとフカヒレラーメン一つ」

「先輩は何にします？」

え！フカヒレラーメン頼むの！？

めっちゃ高くないの！？大丈夫なの？

「気分変えたほうがいいって言ったじゃないですかー！」

「先輩はフカヒレラーメンですか？」

えーと。そうだなー。

『他にトリュフラーメンもおすすめですよ』

トリュフラーメン一万円！

高！ランチの値段じゃないよ！

「でも他のお客さん、どっちかしか頼んでませんよ」

そうなの。

でも高いよ。

醤油ラーメンで。

『500円の醤油ラーメンですね』

値段言わなくていいからー。

そしてお客さんの圧が凄いからー。

『フカヒレラーメンと500円の醤油ラーメン一丁』

まだ言ってるー。

「先輩。500円の醤油ラーメンでいいんですか？」

君も言わないでー。醤油ラーメンでいいから。

「少し分けましょうか」

いいよー。気を使わなくていいよー。

あ、しまった！電子マネーしか持ってきてない。

『お待たせしました！』

あのー。すみません。ここって電子マネー使えますか？

『すみません。使えません』

そうですか。

伸びる前に食べようか！

な！

ところで。

500円ある？

「え！ないんですか？」

いや、あるにはあるよ。電子マネーで。

500円の電子マネーと交換しない？

「すみません。電子マネー使ってなくて」

そうなの。