外国人に「余震(よしん)」をどうやって伝えるか〜やさしい日本語〜
やさしい日本語とは
こんな感じで、ルビが振られている、日本語が少しは話すことのできる、外国人、日本人であってもお年寄り・小さな子ども・障害のある人にもわかりやすい日本語があります。
これを、「やさしい日本語」と呼びます。
法務省の「やさしい日本語の手引き」には、「やさしい日本語」変換のための基本ルールが記載されています。
こんな感じでルールが作られています。
「余震(よしん)」をどうやって伝えるか?
「やさしい日本語の表記」では
先ほどの
「3. 災害時によく使われる日本語や、知っておいた方がよいと思われる言葉は、そのまま使う。その言葉の後にかっこ書き( )で意味を補足する。」
に注目します。
同文書には、次のように説明されています。
きちんと、「余震(よしん)」という言葉は、外国人にはわかりにくいことが既に把握されており、
その上で、敢えて「余震」の言葉を使うことが推奨されています。
私は大学生のときに留学生にインタビューした
なぜ、唐突に「やさしい日本語」の話が始まったか、理由を書いておく必要があります。
まず、みなさんご存知のように、日向灘を震源とする地震が発生、
実際に津波も観測され、1週間は「南海トラフ臨時情報 呼びかけ」が続きました。
これにより、防災意識が高まったのも事実です。
ついでに、とあるテレビ局による報道も目にしました。
それは、フランスからの観光客が、母国では地震が少ないので馴染みがなくどうしたらいいのかわからない、
また別のフランスからの観光客は、地震が起きたときに取るべき行動を子どもに伝えた、
という趣旨の報道。
そしたら、私の中の記憶が呼び覚ましました。
大学1年生、初めての調べ物の必修科目で、言語学専門の先生のもとで、テーマを「やさしい日本語」を選んだこと。
親しみを込めて「やさにほ」と呼んでいたのも懐かしいです。
そして、緊張して、実際に自校への留学生にインタビューしたのも懐かしいなぁ。
インタビュー内容は、当時母校が作ってあった、留学生対象の災害ガイドラインはわかりやすいのか/理解できているのか、について、質問票に回答してもらいました。
当時のインタビュー結果はグループの他の子が持っている(いた)ので、詳しくは書けませんが、
鮮明に覚えていることが2点、あります。
①ひらがなばかりでもわかりにくい、漢字だけでは読めない
→だから、「やさしい日本語」では“ルビをふる”というルールになっていることが再確認できました。
②「余震(よしん)」の意味がわからない、イメージできない
→目から鱗でした。
コミュ力高い、グループの他の子が詳しく対面で聞き取り調査をしてくれましたが、「もう一回来るかもしれない」というニュアンスを把握できているのかどうか、結局わからず終いでした。(たしか、ヨーロッパ圏とインドネシアの方が協力してくれました)
「余震(よしん)がYOSHINになる日はくるのか
「やさしい日本語」の勉強をかじった身としては、もどかしい気持ちがあります。
法務省の「やさしい日本語の手引き」で、外国人に地震関連用語を定着させたい、という長期目標的な狙いがスケスケに見えます。
一方で、インタビュー結果から、現実、実用となると、まだまだ壁がある、というのが手ごたえです。
ましてや、緊急時、つまり平時に使わない言葉を、
日本人からしたら即座に伝えるという側面、
外国人からしたら即座に頭の中から単語を思い出すという側面、
両面において、難しいと思います。
だから、「やさしい日本語」も防災のひとつ、日頃から「災害」という単元を作って学習する必要性があると感じます。
もっと言えば、「THUNAMI(津波)」や「BENTO(弁当)」、「KAWAII(かわいい)」が外国人の辞書に載るようになったように、
「YOSHIN(余震)」も単なる音の響きだけでなく概念も世界中に広まったらいいなぁと、
久しぶりに考えさせられました。
もし、地震発生時に周りに外国人の方がいたら、私たちも対応できる準備をしておく必要があります。
防災は奥が深いです。
あ、「被災(ひさい)」も難しかったです。
たななこんぶ
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