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外国人に「余震(よしん)」をどうやって伝えるか〜やさしい日本語〜
やさしい日本語とは
文法・言葉のレベルや文章の長さに配慮し、わかりやすくした日本語のことです。
1995年の阪神・淡路大震災の際、地震発生時の緊急速報や避難指示を理解できずに多くの外国人が被災しました。
それをきっかけに、外国人にも迅速に正しい情報を伝えるための手段として、やさしい日本語の取り組みは始まりました。
こんな感じで、ルビが振られている、日本語が少しは話すことのできる、外国人、日本人であってもお年寄り・小さな子ども・障害のある人にもわかりやすい日本語があります。
これを、「やさしい日本語」と呼びます。
法務省の「やさしい日本語の手引き」には、「やさしい日本語」変換のための基本ルールが記載されています。
1. 一文を短くして、文の構造を簡単にする。
2. 難しい言葉を避け、簡単な言葉を使う。
3. 災害時によく使われる日本語や、知っておいた方がよいと思われる言葉は、そのまま使う。その言葉の後にかっこ書き( )で意味を補足する。
4. 外来語(カタカナ語)はなるべく使わない。使うときは注意する。
5. 擬態語や擬音語は避ける。
6. 動詞を名詞化したものはわかりにくいので、できるだけ動詞文にする。
7. 曖昧な表現は避ける。
8. 二重否定の表現は避ける。
9. 文末表現はなるべく統一する。
10. ローマ字は使わない。
11. 時間や年月日を外国人にも伝わる表記にする。
12. 漢字の使用量に注意する。全ての漢字にふりがなをふる。
13. 文は、文節ごとに「分かち書き(余白を空けて区切る)にして、言葉のまとまりを認識しやすくする。
14. 絵、写真、図表などを使って分かりやすくする。
こんな感じでルールが作られています。
「余震(よしん)」をどうやって伝えるか?
「やさしい日本語の表記」では
先ほどの
「3. 災害時によく使われる日本語や、知っておいた方がよいと思われる言葉は、そのまま使う。その言葉の後にかっこ書き( )で意味を補足する。」
に注目します。
同文書には、次のように説明されています。
外国人にとっも難しいと思われる言葉でも、災害時によく使われる言葉や、日本で生活する上で覚えておいたほうがよい言葉は、そのまま使ってください。そして、その言葉の後に〈 〉を使い、意味を補足します。
例: 余震〈後から 来る 地震〉に 気をつけて ください。
きちんと、「余震(よしん)」という言葉は、外国人にはわかりにくいことが既に把握されており、
その上で、敢えて「余震」の言葉を使うことが推奨されています。
私は大学生のときに留学生にインタビューした
なぜ、唐突に「やさしい日本語」の話が始まったか、理由を書いておく必要があります。
まず、みなさんご存知のように、日向灘を震源とする地震が発生、
実際に津波も観測され、1週間は「南海トラフ臨時情報 呼びかけ」が続きました。
これにより、防災意識が高まったのも事実です。
ついでに、とあるテレビ局による報道も目にしました。
それは、フランスからの観光客が、母国では地震が少ないので馴染みがなくどうしたらいいのかわからない、
また別のフランスからの観光客は、地震が起きたときに取るべき行動を子どもに伝えた、
という趣旨の報道。
そしたら、私の中の記憶が呼び覚ましました。
大学1年生、初めての調べ物の必修科目で、言語学専門の先生のもとで、テーマを「やさしい日本語」を選んだこと。
親しみを込めて「やさにほ」と呼んでいたのも懐かしいです。
そして、緊張して、実際に自校への留学生にインタビューしたのも懐かしいなぁ。
インタビュー内容は、当時母校が作ってあった、留学生対象の災害ガイドラインはわかりやすいのか/理解できているのか、について、質問票に回答してもらいました。
当時のインタビュー結果はグループの他の子が持っている(いた)ので、詳しくは書けませんが、
鮮明に覚えていることが2点、あります。
①ひらがなばかりでもわかりにくい、漢字だけでは読めない
→だから、「やさしい日本語」では“ルビをふる”というルールになっていることが再確認できました。
②「余震(よしん)」の意味がわからない、イメージできない
→目から鱗でした。
コミュ力高い、グループの他の子が詳しく対面で聞き取り調査をしてくれましたが、「もう一回来るかもしれない」というニュアンスを把握できているのかどうか、結局わからず終いでした。(たしか、ヨーロッパ圏とインドネシアの方が協力してくれました)
「余震(よしん)がYOSHINになる日はくるのか
「やさしい日本語」の勉強をかじった身としては、もどかしい気持ちがあります。
法務省の「やさしい日本語の手引き」で、外国人に地震関連用語を定着させたい、という長期目標的な狙いがスケスケに見えます。
一方で、インタビュー結果から、現実、実用となると、まだまだ壁がある、というのが手ごたえです。
ましてや、緊急時、つまり平時に使わない言葉を、
日本人からしたら即座に伝えるという側面、
外国人からしたら即座に頭の中から単語を思い出すという側面、
両面において、難しいと思います。
だから、「やさしい日本語」も防災のひとつ、日頃から「災害」という単元を作って学習する必要性があると感じます。
もっと言えば、「THUNAMI(津波)」や「BENTO(弁当)」、「KAWAII(かわいい)」が外国人の辞書に載るようになったように、
「YOSHIN(余震)」も単なる音の響きだけでなく概念も世界中に広まったらいいなぁと、
久しぶりに考えさせられました。
もし、地震発生時に周りに外国人の方がいたら、私たちも対応できる準備をしておく必要があります。
防災は奥が深いです。
あ、「被災(ひさい)」も難しかったです。
たななこんぶ