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  • 覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ

  • 差分和分

最近の記事

3次元極座標と図形の方程式

動機2次元極座標平面$${(r,\theta)}$$では、方程式 $$ \begin{align*} r&=\theta\\ r&=1\\ \theta&=\dfrac{\pi}{4} \end{align*} $$ が表す図形が、それぞれ螺旋や円や直線になることを勉強しました。高校数学の数IIIでやると思います。(今は数学C?) では、3次元極座標空間$${(r,\theta,\phi)}$$において、 $$ \begin{align*} r&=\theta\\ \

    • 楕円体面上におけるスカラの面積分とガウスの定理

      注意!この記事では、筆者が問題を独自に解釈し、解答を作成しているため、問題や解答の内容の正確さについて一切の責任を負いかねます。 問題閉曲面$${S:\,2x^2+3y^2+6z^2=1}$$とベクトル場$${\mathbf{F}=(2x,3y,6z)}$$を考える。このとき、以下の問に答えよ。 (1) 閉曲面$${S}$$上の点$${(x,y,z)}$$における法線ベクトル$${\mathbf{n}}$$のうち、外向きかつ$${|\mathbf{n}|=1}$$をみたす

      • 差分和分の応用と下降階乗【一橋大学2017年数学】

        一橋大学2017年数学第3問$$ P(0)=1,\,\,P(x+1)-P(x)=2x $$ をみたす整式$${P(x)}$$を求めよ。 解答差分和分を思い出すと、これは $$ \Delta P(x)=2x $$ という差分方程式を解くことに相当すると分かる。両辺を和分して、$${P(x)}$$を求める。 $$ \begin{align*} P(x)&=\sum 2x\delta x+C\\ \end{align*} $$ 和分定数$${C}$$は、$${P(0)}

        • 差分和分について⑤【練習問題】

          練習問題瞬間部分和分の練習として、次の問題を解きます。 $$ \sum_{k=1}^n k^2\cdot3^{k-1} $$ 求める和を、定和分を用いて表します。 $$ \sum_{k=1}^n k^2\cdot3^{k-1} =\sum_1^{n+1}x^2\cdot3^{x-1}\delta x $$ 区間が変化することに注意が必要です。次に、被和分関数の不定和分を瞬間部分和分で求めます。$${f(x)=3^{x-1},g(x)=x^2}$$と考えます。 $$

        3次元極座標と図形の方程式

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        • 覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ
          6本
        • 差分和分
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        記事

          差分和分について④【部分和分】

          部分和分積の和分 $${f(x),g(x)}$$について、次が成り立つ。 $$ \begin{align*} \Delta(f(x)g(x))&=f(x)\Delta g(x)+f(x+1)\Delta g(x)\\ &=g(x)\Delta f(x)+g(x+1)\Delta f(x) \end{align*} $$ これを、積の和分の公式とでも呼ぶことにします。 証明は、以下のとおり。 $$ \begin{align*} \Delta(f(x)g(x))&=f(x

          差分和分について④【部分和分】

          Z変換と最終値公式を用いて数列の和を求める【京都大学2021年数学】

          京都大学2021年数学第3問無限級数 $$ \sum_{n=0}^\infty\left(\frac{1}{2}\right)^n\cos\frac{n\pi}{6} $$ の和を求めよ。 解答$${\displaystyle a_n=\left(\frac{1}{2}\right)^n\cos\frac{n\pi}{6}}$$とおく。この数列のZ変換$${\mathcal{Z}[a_n](z)=A(z)}$$を求める。 $$ \begin{align*} \math

          Z変換と最終値公式を用いて数列の和を求める【京都大学2021年数学】

          差分和分について③【差分和分学の基本定理】

          差分和分学の基本定理関数$${f(x)}$$について、次が成り立つ。 $$ \Delta\left(\sum_a^xf(t)\delta t\right)=f(x) $$ これを和分差分学の基本定理とよぶ。証明は以下のとおり。 $$ \begin{align*} \Delta\left(\sum_a^xf(t)\delta t\right) &=\sum_a^{x+1}f(t)\delta t-\sum_a^xf(t)\delta t\\ &=\sum_{k=a}^x

          差分和分について③【差分和分学の基本定理】

          差分和分について②【和分】

          和分定和分 $${a,b\in\mathbb{Z},a < b}$$として、関数$${f(x)}$$の定和分を$${\displaystyle\sum_{k=a}^{b-1}f(k)}$$で定義し、$${\displaystyle\sum_a^bf(x)\delta x}$$とかく。 定和分のイメージ $${f(x)}$$の定和分について、幅$${\delta x=1}$$、高さ$${f(x)\,\,\,(x=a,a+1,\cdots,b-1)}$$の長方形の面積を足し

          差分和分について②【和分】

          差分和分について①【差分】

          はじめに差分と和分についてたくさんの方が解説されていますが、私も自分なりに差分和分のことを書いてみようと思います。一応ゴールというか目的は、部分和分を用いて以下のような数列の和を簡単に求められるようにすることです。 $$ \sum_{k=1}^n k^2\cdot3^{k-1} $$ もし$${k^2}$$が$${k}$$だったら、等差数列と等比数列の積の数列の和を求める方法で求められますが、そうなっていないので困ってしまいます。こういうときに威力を発揮するのが差分和分の

          差分和分について①【差分】

          複素微分 df(z)/dz

          問題$${z=x+iy\,(x,y\in\mathbb{R},z\neq0)}$$に対して、 $$ f(z)=\ln z=u(x,y)+iv(x,y)\,\,(z\neq0) $$ とおく。以下の問いに答えよ。 (1) 実関数$${u(x,y),v(x,y)}$$を求めよ。 (2) $${\displaystyle\frac{\partial u}{\partial x},\frac{\partial u}{\partial y},\frac{\partial v}{\

          複素微分 df(z)/dz

          複素数平面上の一次変換

          問題$${w=\dfrac{z-1}{z+1}\,(z\in\mathbb{C})}$$について、以下の問に答えよ。 (1) $${z=x+iy\,(x,y\in\mathbb{R})}$$とおくとき、$${w=u(x,y)+iv(x,y)}$$をみたす実関数$${u(x,y),v(x,y)}$$を求めよ。 (2) $${z}$$が以下の条件をみたしながら動くとき、$${w}$$の軌跡を複素数平面上に図示せよ。 (a) $${\text{Re}\,(z)=0}$$ (b)

          複素数平面上の一次変換

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編⑤】

          スカラ四重積$$ \begin{align*} &(a\times b)\cdot(c\times d)\\ =&(a\times b)_\lambda(c\times d)_\lambda\\ =&\varepsilon_{\lambda ij}a_ib_j\varepsilon_{\lambda kl}c_kd_l\\ =&(\delta_{ik}\delta_{jl}-\delta_{il}\delta_{jk})a_ib_jc_kd_l\\ =&\delta

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編⑤】

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編④】

          ちょっと復習ナブラ関係の公式をまとめてみます。 $$ \begin{align*} \text{div}\,\text{grad}\,\phi&=\nabla\cdot\nabla\phi=\nabla^2\phi=\Delta\phi\\ \text{rot}\,\text{grad}\,\phi&=0\\ \text{div}\,\text{rot}\, a&=0\\ \text{rot}\,\text{rot}\, a&=\text{grad}\,\text{

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編④】

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編③】

          勾配の回転$$ \begin{align*} [\nabla\times(\nabla\phi)]_\lambda=&\varepsilon_{\lambda\mu\nu}\partial_\mu(\nabla\phi)_\nu\\ =&\underline{\varepsilon_{\lambda\mu\nu}\partial_\mu\partial_\nu\phi}\\ =&-\varepsilon_{\lambda\nu\mu}\partial_\nu\parti

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編③】

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編②】

          微分演算について$${x_1x_2x_3}$$座標(直交座標)で考えることにします。$${\nabla}$$を定義します。 $$ \nabla=\left(\frac{\partial}{\partial x_1},\frac{\partial}{\partial x_2},\frac{\partial}{\partial x_3}\right)=(\partial_1,\partial_2,\partial_3) $$ 次に、各種微分演算(勾配・発散・回転)を、縮約記法

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編②】

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編①】

          証明する公式準備編で導入した考え方を用いて、実際にベクトル解析の公式を証明していきます。取り扱う公式は以下のとおりです。 $${a\cdot(b\times c)}$$(スカラ3重積) $${a\times(b\times c)}$$(ベクトル3重積) $${\nabla(\phi\psi),\,\,\text{grad}\,{\phi\psi}}$$ (スカラ積の勾配) $${\nabla\cdot(\phi a),\,\,\text{div}\,{\phi a}

          覚えない!ベクトル解析の公式シリーズ【実践編①】