落ちこぼれシニアのリベンジ読書~『怒りについて』セネカ著 兼利琢也訳~
難しかった。
アマゾンの読者欄などでは高い評価が多かったが、哲学的な表現も多く、古代ローマ時代の知識の乏しい読書初級者の自分には理解できなかったところが多かった。
それでも、ひとつ言えることは、卑劣な行為には怒ることはあっても、「失敗や過ちに対して怒るべきではない」「病人や高齢者に対して温かい目で見守ること」ということだ。
「賢者は誤っている人に怒らない」。
セネカは他の著書でもそうだが、こうした印象に残るセンテンスが多い。ある意味、それがひとつのキーワードなのかもしれない。結局は、キーワード拾い読書になってしまった。
とはいうものの、感じ入るところは数々あった。
例えば、哲学者セクティウスの言葉を借りて、「ある人々にとって、怒っているとき、鏡を見たことが役立った」とある。
鏡に映し出された怒っているときの自分の姿。想像しただけでもぞっとする。きっと醜い表情をしているのだろう。簡単にイメージできる。
その他にも、怒りの前提として「身の丈」であること。実力以上のことを望まないこと。
日々怒りを感じながら家内を介護している自分にとって、それぞれに胸に刺さる言葉である。
と同時に、同じような環境にある方にも伝えたいと思う。
総じて、この本は怒りを客観的に捉えられている。
第一に怒らないこと、第二に怒りをやめること、第三に他人の怒りを癒すこと。
こうした強いメッセージは、まさにセネカの著作の特徴であると思う。
これらは究極の「怒り」に対する考え方であるとは思うが、第一にどのようにしたらわれわれは怒りに陥らずに済むか。次にどのようにしたら自分を怒りから解放できるか。最後に、どのようにしたら怒っている人を抑えてなだめ、正気へ引き戻せるか。
この本には、こうした内容が多く散りばめられているのだろうが、知力の壁か。
自分にとってはここまでが限界。またいつかチャレンジしたいと思う。
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