小さくあり続けること
『本を贈る』の中で矢萩さんが紹介していたインドの出版社「タラブックス」の本を今読んでいる。いい、いい、自分の中からも物作りの熱が、愛が湧き出てくる。
便利でなんでもある資本主義社会にいい加減つかれてきて、あとどれくらい新しいものを生み出したらいいの?と感じる日もある中で、タラブックスが大事にしている「小さくあり続けること」という考えがとても心に残る。
無理して長時間働かない、本当にいいものを自分たちの手で出来る範囲で作る、儲けのために多く作りすぎないなど、ゆったりとした時間の流れや質を大事にする働き方は、見本にしたいかぎり。
そしてそんなタラブックスが作る絵本は、手作り製本のものが多く、それならばと生で見たくて、というか欲しくて探したものの、日本ではそう多く出回っていないらしい。
どれだけ人気が出ても、急いで多く作りすぎないからこそなのだけど。
そうなってくると、なおさらに欲しくなるのはしょうがないことで、探し回っていたら、たまたまここ数日の間に『夜の木』の10版が日本で発売されていたらしく、でも一足遅くネット予約はどこを見てもSOLDOUT………
あきらめかけていたら、Black bird booksさんで店頭販売のみまだ在庫があった…!!!
月曜日にしか買いにいけないので、間に合ってくれ〜〜とひたすらに祈っている。
そして夜は、『プルーストを読む生活』を読みながら、本を読む楽しさってなんだろうと考えている。
紙の手触りや物質的に重い、軽いとか、めくるときの質感、雰囲気に合う付箋の色を選ぶのも楽しいし、文字が隙間なく詰まっている本はたくさん読ませてくるな……と興奮し、余白がたくさんあると、言葉がくつろいでいて、やすらぐ。
そういう、本の内容とは別の部分にもたくさん喜びを感じていて、それにもちろん内容があってさいこうの形になるのだけど、「本を読む」という行為そのもの、はたまたその周辺の行為にまでも喜びを感じていることに改めて気づく。
そんなことを読みながら考えていると、思考はだんだんと違う方向へ行き、思わず読むのを中断してこのように書き、開いて読んで、思っては書いて、と気ままに読んでいる。
柿内さんはきっとそんな読み方をゆるしてくれるだろうし、むしろ脱線していることに喜んでさえくれるのではないかと思いながら、よし、わたしも柿内さんを真似して『プルーストを読む生活』を読んでいる間は出来るだけ気持ちを脱線していこうと決める。
と、Twitterに書いたら、ご本人からいいねを押されて、少々恥ずかしいような嬉しいような、押し付けがましいこと書いてしまったなとか、あれやこれや考えつつ、でもまあ脱線読みの真似っこを公認されたわけなので、実践していこうと思う。
さあ、寝ますか。