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ショートショート④カット前夜
「どうやら俺のちんちんは明日切られるらしい」
「ええ!大変じゃない、それは」
ユキの家は俺の家から走って1分くらいのところにあって、夜にこうして彼女の家の前でダベるのが俺たちの日課になっている。
ユキは元々足が悪い。一緒に住んでいる親からも付き添いなしで外に出ちゃいけないとキツく言われているらしく、家に行くのはいつも俺。別にいいんだけどね。俺、男だし。
「でもなんで切るの?」
「俺の場合
ショートショート①「ヴィレッジ」
爆発しそうな吐息を懸命に抑えつつ俺は今日出会ったばかりの女をベッドに押し倒した。この女、どうやらなかなか溜まってる。
飢えた理性がぶつかりあった時というのはシャワーも浴びないものだ。俺は女の上の服を乱暴に脱がし、盛り上がってきたところで攻守交代し今度は女が俺の服を脱がし始める。
「ちょっとストップ」
シャワーや前戯よりも大切なことを今のうちに言っておく必要があった。俺はベルトを外し、自らズボ
ショートショート②「民意」
この島の様子がおかしいことは明らかだった。
荒波に抗い、海獣たちをなぎ倒し、やっとの思いでこの島に漂着した船乗りの旅人エドワードは、愛車ならぬ“愛船”ドラゴンロック号を岸に停泊させ、人気のないこの島を最初は不審に思ったが歩き進めていくうちについに人混みにぶつかった。
道中には魚屋や絵画販売店、薬屋などを見かけたが店員を含め人っこ一人見当たらなかったのは、みんなここに集まっていたからだろうか。
ショートショート③リセットボタン
「女は良い。リセットボタンを持ってるのだから。恋愛を語る時にはいつもそんなことを思う。
一方男はそんなリーサルウェポンを持ち合わせておらず、いわゆる『過去の女』に未練がましい。僕は今年32になるが、過去に好きになった女性は全員はっきり覚えている。
『離れていった女は追うな』と、誰もがいう。追うことに意味などないからだ。その通りだと思う。それでもこっそりSNSで近況を覗き見したりしてしまうのが男
ショートショート⑦キンタマレジデンス〜前編
その物件はまさしくとっておきだった。一人暮らし歴15年、今まで経験した引越しは4回という中山銀次だが、今回の新居は彼の経験則には当てはまらない特殊なものだった。
不動産屋を訪れた日から2週間後にはもう中山銀次はそのマンションに入居していた。
・16階建の15階に位置する角部屋。日中は陽が差してとても気持ちがいい。
・2LDK。
・築2年。部屋の中はもちろん、マンションのエントランスやエレベーター
ショートショート⑧キンタマレジデンス〜後編
前編から3年後
やっと見つけた……。ここが「キンタマレジデンスⅠ」か。
中山銀次が3年かけてやっと見つけ出したその場所は、マンションではなく大きなお屋敷のような場所だった。
前編のあらすじ
中山銀次が住むマンション「キンタマレジデンスⅡ」は好条件好立地に関わらず破格の安さを誇っている。その理由は「自分の睾丸を一つ、契約時に引き渡す」ということが条件にあるからだ。
自分たちの玉は何に使われている