【不動産投資 最強の教科書】やるなら本気の覚悟がいる
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆
〜株式投資とは全く違うノウハウ〜
僕は株式投資をやっている。
資産形成のために数年ほど前から初めていて、それなりに資産を増やして軌道に乗ってきている。
とはいえ、早期リタイアを目標としているわけではなく、今の職場にそこまで不満はないし、サラリーマンをやることにそこまで苦になっているわけではないので、株式投資も「収入を増やしたい」「給与以外の収入の口を作りたい」という気持ちで始めた。
さて、そんな僕が次の投資先としてぼんやり考えていたのが不動産投資だ。
ちなみに、僕は不動産投資に関しては全くの無知である。
そんな僕が本書を読んで、不動産投資について感じたことは「同じ投資でも、株とは全く考え方やノウハウが違うな」ということだ。
〜1人では出来ない不動産投資〜
僕が株式投資を気に入っているのは、
・今やスマホ一つで売買出来る手軽さ
・ほったらかしに出来るので、かける時間が少ない
・最悪の損失は(信用取引などをしなければ)元本がゼロになるだけ(借金にはならない)
・1人で出来る
という点だ。
ありがたいことにネットの証券会社が増えたおかげで、スマホ一つで資産を動かして、何週間かに一回チェックするだけで、お金は勝手に動いてくれる。やり方さえ間違えなければ、大負けしても借金を背負うことはない。
そして、何より僕にとって1番のメリットが、ネットの証券会社を利用することで、投資に関して他人と関わることはなく1人で出来ることだ。
スマホ一つで株式投資が出来るなんて、なんていい時代に生まれたんだろう、と大袈裟な事を言ってしまうくらいに「対面しての人との駆け引き」が苦手な僕である。
さて、では不動産投資についてはどうか。
当然、大きなお金が動くので借金を背負うリスクは考えていないわけはないのだが、著者が本書の中で何度も何度も書いているのが「不動産投資は『金融機関ありき』のビジネスである」という事だ。なんなら、融資を受けるための戦略について1番ページを割いているぐらいだ。最初は根気強く幾つもの金融機関にアプローチし、次回の融資も視野に入れて交渉していくプロセスは正直読んでいて頭が痛かった。
また、不動産業者とのやりとりもなかなか難しい。いくら良い物件があったとしても、物件を手に入れられるのは1人だけであり、良い物件は多くの人が買いたがり競争することになる。
不動産業者から「買う客」だと思われるための戦略はかなり高度だと感じた。
「いい物件を買って家賃収入を得る」ぐらいの認識しかなかった不動産投資に対する印象がこの本で大きく変わった。株式投資のように、慣れれば片手間で出来るようなものではなく、対人で戦略的に資金を動かしていく「ビジネス」なのだ。
少なくとも「とりあえずやってみるか」という覚悟では手を出せる世界ではなかった、ということを理解した。
無知なまま騙されることだってあるし、失敗すれば最悪億単位の借金を背負うことだってある世界なのだ。
他の不動産投資の書籍をいくつか読んでみて、本当に自分の目標や気質に合うものなのかどうか、よく考えてみたいと思う。
〜金融機関や不動産業者との裏話〜
不動産投資に手を出さない、にしても知らなかったことが色々とあったので、得るものは多かった。
金融機関の営業マンがどのような基準で融資の是非を判断するのか、金融機関側は融資する相手のどこを見ており何を評価しているのか。
不動産業者はどのような相手と取引したいのか。そして、どのような取引をしたがっているのか。
自分があまり関わったことのない世界が非常に興味深かった。
また、本書を読むと、街の景色が変わって見えるのが面白い。
ボロボロのアパートは、なぜいつまでもその場所にあるのか。
更地になった土地には、なぜ更地にしなければいけない理由があったのか。
空いた土地にどんどんマンションやアパートが建つエリアは、どんな人が住むことになるのか。
街の変化や様子に、不動産投資家たちの思惑が絡んでいるかもしれないと想像すると、近所を散歩するのもなんだか面白くなってくる(笑)