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【間違えやすい日本語実例集】正しい日本語を学び面白さを知る
オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆
〜noteやる人は全員読むべし(笑)〜
突然だが、以下の文書の誤りを正していただきたい。
①
報道の加熱ぶりが事態を歪めなかったか、検証が必要とされる。
②
大幅議席減で崖っ淵の与党
③
平均体重以下の乳児は、すべからく発育不良と見なされた。
いずれも、本書の中で紹介される「間違えやすい日本語」である。
(正解は記事の最後に)
講談社の校閲部の熟練者達による文章の誤字誤植を解説とともに紹介している本書。
このnoteやブログだけでなく、仕事でも文章を書くことの多い僕にとって非常にタメになる一冊だった。
この本を読むまで完全に勘違いをしていた言葉もたくさん見つかった。
このnoteにアカウントを持つ人は全員読むべきだ!と言っても過言ではないだろう。
この一冊で文章を書くのが怖くなってしまう可能性もあるが…(笑)
〜ことばの奥深さをよく知る校閲者たち〜
本書は主に間違えやすい日本語の表記・表現を教える"日本語実践講座"であるが、その一方で「ことばの面白さ」を知る一冊でもある。
校閲、と聞けば「文章の中の誤った言葉や表現を辞書の通りに修正していくお堅い作業」と考えてしまいがちだが、そうではない。むしろ、日本語に対してすごく柔軟に接している。
例えば、編者の1人は「そもそも日本語に正書法なんてものはない。だから、どう書こうと間違いじゃない」と語っている。
「あなた」を「貴方」と書こうが「アナタ」と書こうが、その表記がひとつの本の中で統一されていなかろうが、それを間違いとは言えない、ということだ。多様な表現の中に様々なニュアンスが含まれて、それを使い分けることができる。それが日本語の豊かさであり、柔軟性であり、面白さなのである。
また、時代によって使われ方が変化する言葉にも柔軟に対応している。例えば、「忖度」という言葉はもともと推察・推量とほぼ同義だったのだが、今では「おもねり」「へつらい」というニュアンスで使われることが多い。
本来の意味とは違っていたとしても、その意味が市民権を得てしまえば、そちらに合わせることも検討する。
「ことばは生き物だ」ということを誰よりも実感しているのは校閲に携わる人たちなのではないかと思う。
編者の1人によると、「出版人として、明らかな文法上の誤りでなければ、著者や読者の意思・意図を尊重するのが基本スタンス」なのだそうだ。校閲という作業の奥深さを知ることもできる。
〜辞書として使うのも良し〜
本書の良いところは、巻末に索引があることだ。
本文の中で紹介された実例を引きやすくしてくれている。
一通り読んだ後、自分で文章を書く時に「あれ、そういえばあの本にこの言葉について書いてたな」と思い出せば、この本を開いて解説を読めば良い。
文章を真剣に書く人にとっては強い味方になる一冊になること間違いなし、である。
冒頭の問題の答え
①
×「加熱」
○「過熱」
②
×「崖っ淵」
○「崖っ縁」
③
×「すべからく」
○「すべて」
「すべからく」とは「ぜひとも」「当然」の意で、「すべからく〜すべし」というように使われる。例文は「すべからく」を「すべて」の意で用いられたケース。