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【小説編】蛸文(たこふみ)の読書記録

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僕の読書記録・小説編です。
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#ホラー小説

【さかさ星】細かすぎて伝わらない小説

【さかさ星】細かすぎて伝わらない小説

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆

〜貴志祐介最新作〜貴志祐介さんは「黒い家」「青の炎」「悪の教典」などの代表作で知られるホラー・ミステリー作家で、僕が学生時代にどハマりした作家である。

当時刊行されていた作品は全て読んでおり、作品数だけで言えば1番多くの作品を読んでいる作家さんである。
しばらく貴志祐介さんの作品には触れていなかったのだが、この度11年ぶりのホラー新作が刊行されたと知り、すぐに書

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【丘の屋敷】想像の先にある幻想的な恐怖

【丘の屋敷】想像の先にある幻想的な恐怖

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜想像力こそが恐怖の源〜スティーブン・キングが「過去百年の怪奇小説の中で最も素晴らしい」と絶賛した古典的名作である本書。

たしかにこの本は怖い。
しかし、その怖さは読む人によって異なるだろう。

怪奇現象の起こる屋敷にやってきた6人の男女が恐ろしい体験をする、という古典的なプロットなのだが、物語全体を通してかなりの余白がある。

過去に屋敷には何が起こったの

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【Ank : a mirroring ape】最高級のB級パニック小説

【Ank : a mirroring ape】最高級のB級パニック小説

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜物語の熱量がすごい〜以前読んだ「テスカトリポカ」があまりにも面白すぎて、気になる小説家の1人になった佐藤究さんの作品である。

「テスカトリポカ」もそうだったが、佐藤究さんの作品はその熱量に圧倒されてしまう。
物語の重厚さもしかり、力強い文体も非常に読み応えがある。巻末の参考文献をみれば分かる通り、一つの作品を作るために沢山の資料を読み込み物語に昇華している

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【ぼぎわんが、来る】読ませる小説としては秀逸

【ぼぎわんが、来る】読ませる小説としては秀逸

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜これぞ角川ホラー〜本作は2015年の日本ホラー小説大賞(現在は横溝正史ミステリ&ホラー大賞)を受賞した作品で、「来る」というタイトルで映画化もされている。

「来る」は、エンターテイメントに特化したホラー映画、といった印象だったが小説である原作は、得体の知れない何かに襲われる恐怖が見事に表現されていて、その面白さのあまり一気に読んでしまった。

「火喰鳥を、

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【火喰鳥を、喰う】ホラーにもミステリにも振り切れていない消化不良の大賞

【火喰鳥を、喰う】ホラーにもミステリにも振り切れていない消化不良の大賞

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆

〜令和初のミステリ&ホラー大賞受賞作品〜僕はもともと「日本ホラー小説大賞」のファンだった。「黒い家」や「パラサイト・イヴ」など、学生の頃に大賞受賞作品はいくつか読んだことがあるが、どれも恐ろしく怖くて面白かった覚えがある。年によっては、受賞作なし、という年もあるこの賞の敷居の高さもあり、非常に信頼している賞だった。

ところが、2019年から「横溝正史ミステリ大賞

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【隣の家の少女】読んだ事を後悔する傑作ホラー小説

【隣の家の少女】読んだ事を後悔する傑作ホラー小説

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆

〜スティーブン・キングが絶賛したホラー小説〜ホラー小説の巨匠・スティーブン・キングが絶賛した事でも有名な本作。
ホラー小説界においては、非常に有名な作品である。ホラー小説としての評価は高く、傑作として今でも語り継がれている。

その一方で、刊行当時はその内容から「こんなもの児童ポルノ小説だ!」という批判を受けていたり、巷の書評を見ても「胸糞悪い小説」「読んだ事を

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