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【小説編】蛸文(たこふみ)の読書記録

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2021年7月の記事一覧

【コンビニ人間】「普通」と思っている事がヤバいのかもしれない

【コンビニ人間】「普通」と思っている事がヤバいのかもしれない

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆☆

〜「普通」という不気味なもの〜「普通ってなんだよ!?」
「常識なんて関係ない!」
僕は昔、この手の事を口にする人が嫌いだった。

そんな人たちを、自分にとって都合の悪い法律やルールを曲解し、「自分はルールに縛られない」と言いながらその思想を免罪符のようにして、社会や周りの人に迷惑をかける事をなんとも思わないような人種だと思っていた。

しかしながら、それは僕

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【葉桜の季節に君を想うということ(ネタバレあり)】メインのトリックは"そこ"なんだ…(笑)と、やや消化不良

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オススメ度(最大☆5つ)
☆☆

〜叙述トリックものは好みが分かれる〜2004年に様々なミステリー賞を総なめにした本作。ネットで「どんでん返し 小説」と検索すれば必ずと言っていいほどヒットする有名な作品だが、その評価は賛否両論であるようだ。

というのも、この作品はいわゆる叙述トリック(文章上の仕掛けによって読者のミスリードを誘う手法)ものであり、この手の作品はしばしば「ずるい」とか「フェアでない

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【ファーストラヴ(ややネタバレ)】男性は自信を持って戸惑いながら読むべし

【ファーストラヴ(ややネタバレ)】男性は自信を持って戸惑いながら読むべし

オススメ度(最大☆5つ)
☆☆☆☆

〜純文学的サスペンス〜第159回直木賞を受賞し、ドラマ化映画化もされた本作。「なぜ、彼女は父を殺さなければならなかったのか」というコピーから、いかにもエンタメサスペンス小説のような様相をしているが、解説を書いた朝井リョウさん曰く、作者の島本理生さんは何度も芥川賞候補に挙げられる作家さんであり、大衆小説と純文学という区分けを敢えてするのであれば(こんな区分けも今

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