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【読書感想】伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』
2019/04/21 再読。
伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』
映画は年に1回観ているけど、小説はかなり久しぶりに読んだ。
読み終わって、自分も年を取ったなあと、しみじみと感じた。初めてアヒルと鴨のコインロッカーを読んだ時は、正義感過多の琴美や時間の止まった河崎に共感しまくったが、中年になった今は、正義も復讐もどうでもいい、若者には生きて欲しいという勝手な願いしかなかった。
小説を読んでいる時くらい現実から離れたいし離させてくれる小説もあるけれど、アヒルと鴨のコインロッカーは、現実への感覚がどんどん研ぎ澄まされていく気がした。
ここ数日、たくさんの人が撥ねられたり轢かれたりする交通事故が立て続けに起きている。若い人が何人も亡くなった。
若くなきゃ死んでもいいと言うわけじゃないけれど、それでもやっぱ若者の人生が突然理不尽に奪われるのは辛すぎる。
もう琴美や河崎に共感はできなくなってしまったけれど、若い頃、この本に出逢えてよかったと思う。小説の中の人物達は年を取らないけれど、生きている私は確実に老いていっている。年齢によって本の感想が違ってくるのも面白いんじゃないかな。