海梨電灯(ショートショート)
「このへん暗くない?」
海辺の街。僕らは二人で、海沿いの道を歩いている。夜の散歩といったところだ。彼女は夜の暗さに強いから大丈夫らしいのだけれど、僕はどうにも目が慣れない。
「そっか、やっぱりくらいかなあ」
彼女は足元を眺めながら、独り言のように呟く。
「うん。怖くておしっこちびりそう」
「やめてよ! 何言ってるの」笑いながら、僕の腕あたりをグーでなぐる。
「どこかにあれないかな」
「あれって?」僕はなぐられた腕をさすりながら聞く。
「あれはあれだよ」
僕はふむ、といい