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さよならのあとで(詩:ヘンリー・スコット・ホランド、絵:高橋和枝) 読書感想文
さよならのあとで(詩:ヘンリー・スコット・ホランド、絵:高橋和枝、夏葉社、2012)
この本は英国教会の神学者、哲学者のヘンリー・スコット・ホランドが書いた42行の詩を翻訳したものです。
実は自分、先日3月11日に祖母を亡くしまして、そこである方からこの本をお薦めいただき読んでみました。
まず冒頭を抜粋してみると、
死はなんでもないものです。
わたしはただ
となりの部屋にそっと移っただけ。
私は今でも私のまま
あなたは今でもあなたのまま。
私とあなたは
かつて私たちが
そうであった関係のままで
これからもありつづけます。
冒頭のこの箇所からして元気づけられます。
ここで思ったのは、死とはどうしても悲しいものだけどどうして故人との関係まで変わってしまうことがあるかという事実です。
読んでいくとわかっていくことは、愛する人が死んだからといってどうか自分の人生を変えてしまわないで、狂わせないでという願いです。これまでどおり行けばいい。
そして死んだ人のことを忘れなければいいのです。
自分の中に生かし続ければいい。
〜〜〜
私はしばしあなたを待っています。
どこかとても近いところで。
あの角を曲がったところで。
すべてはよしです。
この箇所からは、宮沢賢治の詩、『小岩井農場』のパート九を連想しました。
(前略)
もうけつしてさびしくはない
なんべんさびしくないと云つたとこで
またさびしくなるのはきまつてゐる
けれどもここはこれでいいのだ
すべてさびしさと悲傷とを焚いて
ひとは透明な軌道をすすむ
ラリツクス ラリツクス いよいよ青く
雲はますます縮れてひかり
わたくしはかつきりみちをまがる
私は宮沢賢治の研究者ではないし、今回のこの本の詩を書いたヘンリー・スコット・ホランドの研究者でもないわけで、だからどうして海を超えて、ちょっとだけ同じ年代を生きた二人が(ヘンリー・スコット・ホランドは1847年生まれ1918年没、宮沢賢治は1896年生まれ1933年没。)似たようなことを書いたのか、つまり共鳴したのかはわかりませんが、ただの偶然ではない気がなんとなくします。