恋慕渇仰(著:緒形拳、東京書籍、1993)
俳優・緒形拳さんの書いた本である。
緒形さんは書をしたためるのが好きだった。この本もまず役者であることと書のことから始まる。
緒形さんは役者の姿を紅葉に見るという。
緒形さんはその紅葉の木を書に表現しようとする。
「體(からだ)」という字を書いて書き抜いて。冬の骨だけの紅葉のようになっていく。役者の仕事もこうありたいという。
エッセイにはこれまで緒形さんが體で覚えたことが多く書かれている。
例えば、
といった言葉たちや、青森県大間での芝居、書のこと、歌うこと、パリでの写真撮影のこと、食べること、万里の長城への旅、アンデスへの旅……。
この本はエッセイだけでなく、ロベール・ドアノー氏による緒形さんの写真と、緒形さんがしたためた書も掲載されている。これがすばらしいのだ。特に書は體全体一所懸命使って書いているのがよくわかる。
そんな緒形拳という人の凄みが次の言葉によく表れていると思う。
最後に、この本を読んで最も感銘を受けた緒形さんの言葉の一つを書いて締めたいと思う。
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