鉄仙斎

専門は中国史。乃木坂、ゲーム、ガンダム好き。モフモフしたぬいぐるみ大好き。書籍紹介とか歴史系(特に中国関係)多め。フォローはご自由にどうぞ。

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マガジン

  • 孟子見参!

    四書五経のひとつ『孟子』。孟子の言行録の意訳と、解説「見参余録」で雄弁の士として鳴る彼の思想に触れてみてください。

  • 歴史本の山を崩せ

    歴史本に関するレビューです

  • 中国と書物の記

    中国の出版文化史。中国史ビギナーでも読めるように努めます。脱線多め。

  • 漢文の海で釣りをして

    古今の漢籍が泳ぐ歴史の海に釣り糸を垂らし、釣れた漢文を我流な解釈で書き連ねたものです

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【自己紹介】

《名前(鉄仙)の由来》「鉄仙」は号です。大学院当初、研究テーマに鉄を考えていた時期があり、仙人という渾名と合わせて「鉄仙」。また、「精神の高貴さ、たくらみ」の花言葉を持つクレマチスにも肖って。 《出身地》※尾州 生まれてより現在まで 《年齢》第69代横綱・白鵬と同じ 《学位・資格》※修士(文学)…中国古代史 ※漢検準1級 ※ITパスポート 《性格・性質》※頑固 ※人見知り ※割とテキトー ※合理主義者 ※リベラル・コミュニタリアン ※尽くされるより尽くしたい ※主君と

    • 【孟子見参#004】再び恵王、教えを乞う(梁恵王編④)

      現代語訳  恵王と孟子が話をしている。 「先生、何か教えてください」  すると孟子が王に尋ねる。 「人を殺すのに、棍棒を使うのと剣を使う。これは何か違いはあるでしょうか?」  王が答える。 「いや、人を殺すという点でどちらも違いはない」  続けて孟子が尋ねる。 「それでは人を剣で殺すのと、政治が悪くて人を死に至らしめること。両社に違いはあるでしょうか?」  王は答える。 「いや、それも人を殺すという点ではどちらも違いはない」  孟子は続けます。 「いま、王の食事には旨そう

      • 【孟子見参#003】孟子の政策提言(梁恵王編③)

        意訳  恵王が孟子に問う。 「自分はこの国のために心を尽くしている。河内地方が凶作となれば、そこの民が飢えないように凶作ではない河東地方へ移住させたり、他の地方から食料を移動させてやったりしている。逆に河東地方が凶作になれば同じような手段を講じて民が飢えないようにしている。近隣の他国の政治と比べてみても、自分ほど政治に心を砕いている者は見当たらない。それなのに隣国の民が我が国に移ってくるようなことはない。一体どういうことなのだろうか」  孟子が答えて言う。 「王は戦争がお

        • 【歴史本の山を崩せ#047】『岡田啓介回顧録』

          ≪教科書では語り尽くせぬ、海軍の大狸の足跡≫ 大日本帝国の海軍大将で総理大臣も務めた岡田啓介の回顧録です。 戦後、83歳になった岡田に対して新聞記者たちが聞き取り、編集した新聞連載をベースとしています。 軍人の回顧には戦場で華々しい活躍を果たした武勇伝がしばしば語られますが、大将にまで上り詰めた岡田にはそういった類のエピソードを誇らしく語ることはありません。 これは戦場の軍人として無能であったからではなく、それ以上に岡田の本領はロンドン海軍軍縮問題のときに発揮された抜群の

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        記事

          【歴史本の山を崩せ#046】『木戸幸一』川口稔

          《戦前戦中の日本政治史に宮中サイドの視点を加えた通史》 戦中期の宮中で政治的にもっとも重要なポジションにあった木戸幸一。 維新の元勲である木戸孝允を大伯父に持つエリート。 彼の『木戸幸一日記』はこの時代の最重要史料のひとつであり、研究者の間ではよく知られているのですが、専門家でもなければあまり知名度は高くない人物でしょう。 内大臣として昭和天皇の側近として仕え、元老・西園寺公望に代わってキングメーカーの役割を果たし泥沼の日中戦争から、対米開戦へと向かう日本のリーダーを選ぶと

          【歴史本の山を崩せ#046】『木戸幸一』川口稔

          【孟子見参#002】民とともに楽しむ(梁恵王篇②)

          意訳  梁の恵王が宮殿の庭の大きな池のそばで、庭に遊ぶ鳥や鹿を眺めながら 孟子に尋ねた。 「賢者もこのように動物たちが遊ぶ広大な庭を眺める贅沢を楽しむものだろうか」  孟子は答える。 「むしろ賢者であるからこそ真に楽しむことができるのです。賢者でなければどんなに贅沢なものを揃えたところで楽しむことはできません。  『詩経』にこんなことが書かれています。  かつて周の文王(孔子が特に理想的な聖人君子として憧れた王)が、宮殿を作ろうとした。設計図を引いて準備をはじめると、文王

          【孟子見参#002】民とともに楽しむ(梁恵王篇②)

          【孟子見参#001】利益よりも大事なもの(梁恵王篇①)

          意訳  孟子が梁の恵王と会見した。恵王は問う。 「あなた様は千里の道も遠しとなさらず、わざわざお越しになられた。きっと我が国にとって利益となるような方策をお授けいただけることでしょうね」  孟子は答える。 「王よ、なぜ利益ばかりを求められるのか? 一番大事なのは仁義ですぞ。王が自分の国の利益ばかりを考えていれば、大臣は自分の家の利益ばかりを考えるようになり、庶民は自分たちの身の利益ばかりを考えるようになる。上から下まで自分の利益ばかりを考えるようになってしまったら国は危う

          【孟子見参#001】利益よりも大事なもの(梁恵王篇①)

          【歴史本の山を崩せ#045】『日本のいちばん長い日』星野之宣

          ≪終戦ドキュメンタリーのコミカライズ≫ これまで2回、実写映画化。 終戦ドキュメンタリーの定番、半藤一利の『日本のいちばん長い日』が上下二巻構成でまさかのコミカライズ。 しかも筆を執ったマンガ家は「宗像教授」シリーズの星野之宣という「昭和」の巨匠コンビによるコミックです。 星野之宣が描く半藤一利と聞けば、それだけでゾワゾワするひともいるでしょう。 大筋は半藤の原作に即していますが、ところどころ「漫画家の感想」として星野の「仮説」が前面に押し出されているところがあります。

          【歴史本の山を崩せ#045】『日本のいちばん長い日』星野之宣

          【歴史本の山を崩せ#044】『東条英機』一ノ瀬俊也

          ≪戦前日本最大のヒールから学ぶべきことは≫ 歴史上にはヒール(悪役)というイメージが強い人物がいます。 戦前日本でいえば東条英機がその代表格でしょう。 その知名度に比して一般向けの評伝があまりないなかの新書です。 その性格は執念深く、視野が狭いところがあるが、真面目一徹で自分に課せられた役割に対しては愚直なまでに忠実。 平和な時代であれば教科書に名前を残すことはなかったかもしれませんが、官吏として非常に有能な人物であったことは間違いないでしょう。 東條に対する批判に「思想

          【歴史本の山を崩せ#044】『東条英機』一ノ瀬俊也

          【歴史本の山を崩せ#043】増補『文明史の中の明治憲法』瀧井一博

          ≪「憲法」とは何か。明治憲法のイメージが変わる≫ 明治日本は押し寄せる西洋文明の波に遭遇し、その文化・文明を積極的に摂取しようと努めました。 これまでの日本には存在しなかった概念が和訳され、現在まで使われています。 「憲法」と訳されたconstitutionもそのひとつです。 一般的に「憲法」といったときは例えば日本国憲法や合衆国憲法など法典化されたもの…すなわち憲法典を指すことが多いですが、これはconstitutionの狭義の意味です。 広義の意味として「国のありかた」

          【歴史本の山を崩せ#043】増補『文明史の中の明治憲法』瀧井一博

          【歴史本の山を崩せ#042】『原敬』清水唯一朗

          ≪平民宰相の足跡をたどる評伝≫ 本書の著者が明治以降、大衆的な人気がある政治家として挙げられているのが西郷隆盛、大隈重信、犬養毅、尾崎行雄、浜口雄幸ら。 ところが、彼らの事績を見てみると浜口(海軍軍縮)以外は政治的な実績を遺せていないという。 確かに言われてみればその通りです。 一方で、大日本帝国ではじめて爵位を持たない総理大臣となった原敬は、平民宰相と持て囃されたものの、先に挙げた犬養や尾崎と比べると人気はいまひとつだったといいます。 現実主義者で実務能力に長けた原には

          【歴史本の山を崩せ#042】『原敬』清水唯一朗

          【歴史本の山を崩せ#041】『元老』伊藤之雄

          ≪大日本帝国を動かした真の権力者たち≫ 昭和初期頃までの日本で総理大臣が辞職するたびに天皇に次の総理大臣候補を推薦する元老。 天皇が彼らの推薦を拒否することがなかったため事実上、総理大臣という政府のリーダーを決めるという絶大な権能を持っていた存在です。 それだけの政治権力を持ちながらも、その資格や運用、権限について明確な成文法がない。 驚くべきことに法的根拠を持たないオフィシャルではないという極めて異質な存在です。 しかし、彼らは確かに存在し、大日本帝国を動かしていった。

          【歴史本の山を崩せ#041】『元老』伊藤之雄

          【歴史本の山を崩せ#040】『聖断』半藤一利

          ≪終戦を成し遂げた鬼貫太郎の歴史ドキュメンタリー≫ 主人公は鈴木貫太郎。 鈴木は海軍軍人として日清・日露戦争に参加、「鬼貫太郎」として勇名を馳せました。 『老子』を愛読し、政治に関わることを嫌いながら、天皇に対する忠誠は至誠そのもの。 侍従長として昭和天皇に仕え絶大な信頼を得る。 その後、内閣総理大臣としてアジア太平洋戦争終結の大役を果たした人物です。 学校の教科書で知っているだけだと、茫洋とした村夫子のような風貌と降伏した総理大臣としての弱弱しいという印象を持っているかも

          【歴史本の山を崩せ#040】『聖断』半藤一利

          【歴史本の山を崩せ#039】『未完のファシズム』片山杜秀

          ≪「持たざる国」はファシズムにもなれなかった≫ 第一次世界大戦以降、国家間の戦争は総力戦体制と変化しました。 資源、労働力といったリソースの寡多が勝敗を決する決定的な要因となる。 大戦後、大国のひとつに数えられるようになっても、島国・日本はそういったリソースを「持たざる国」でした。 「持たざる国」が「持てる国」と対峙していくにはどうしたらよいのか? そのひとつの解として現れたのが、日本民族の不屈の精神があれば大国相手であろうとも倒すことが出来るという、神がかり的な精神至上主

          【歴史本の山を崩せ#039】『未完のファシズム』片山杜秀

          【歴史本の山を崩せ#038】『日本のいちばん長い日 決定版』半藤一利

          ≪終戦ドキュメンタリーの定番書≫ オリジナル版の初版は1965年。 当初は営業上の理由からジャーナリスト・大宅壮一の名義で出されたもの。 後に名義を本来の半藤一利に戻し、補訂・改訂を施した決定版が、現在、文春文庫に入っているものです。 この本を原案として1967年と2015年に映画化もされました。 時は太平洋戦争最末期。 聖断によって降伏が決定された1945年8月14日正午から、玉音放送がなされれる翌15日の正午までの24時間を1時間ごとに区切って描いたドキュメンタリーで

          【歴史本の山を崩せ#038】『日本のいちばん長い日 決定版』半藤一利

          【歴史本の山を崩せ#037】『関ケ原合戦と石田三成』矢部健太郎

          ≪秀吉が目指した支配秩序がもたらした合戦≫ 敗者の立場から日本史を読み直そうという吉川弘文館のシリーズの1冊。 もう10年以上前にはじまり、すでに完結したシリーズです。 「関ケ原もの」は秀吉の死後から語り起こされることが多いですが、本書は秀吉絶頂期から筆を起こします。 秀吉が支配秩序として重視したのが「家格」。 個人に対して与えられる「官位」ではなく、家に対して加えられる「家格」によって豊臣宗家の地位を確固たるものにする。 豊臣宗家を武家として唯一、摂政・関白に任官できる

          【歴史本の山を崩せ#037】『関ケ原合戦と石田三成』矢部健太郎