「空海」をめぐる3つの旅|後編(和歌山・高野山でおむすびを)
大学院で空海について学び、京都と奈良を旅してきました。空海3部作シリーズの後編となる今回は、和歌山県の高野山を旅してまいりました。
いままでの旅はこちら。
大学で空海について学んでいるときに高野山に行くことになるなんて、びっくりです。呼ばれたのかも。
またまた〜、すぐ呼ばれたとか言って。どうせなんだかんだ理由つけてじぶんから行ったんでしょ、って思われますよねぇ。
でも今回はね、ほんとうに和歌山に呼ばれたんですよ! まあ高野山にはじぶんたちから行こうって決めたんですが、少なくとも和歌山市に呼ばれたのはほんとうです。有吉佐和子文学賞で佳作をいただいて、その表彰式に呼んでいただいたんですね。
せっかくなので、夫と前日に一泊して、高野山まで足を伸ばすことにしました。
おむすび屋さん
和歌山市からレンタカーを借りて、いざ、高野山へ。途中、なんだか素敵な茅葺き屋根のお店を見つけました。
よかった、営業中でした。どうやらおむすび屋さんのようですよ。
茅葺き屋根がかわいい。
どうやらこのおむすび屋さんは、「むすび屋弥右ヱ門」といって、どうやら和歌山大学のプロジェクトのようです。じぶんたちで屋根の茅葺きをしたそうですね。楽しそう。
せっかくなのでお昼ご飯をいただきましょう。わたしはフキの佃煮むすびにしてみました。豚汁も!
わ〜、美味しそう! 海苔がつやっつやです。
このおむすびを、古民家の縁側で食べることができるのです。最高。
ご飯はふっくら甘く、しょっぱくてほろ苦いフキがアクセントとなって、ぺろりと食べてしまいました。
晴れた日に、縁側でおむすびとか最高じゃないですか? わたしも田舎でおむすび屋しようかな。
わたし:「森の中のドレス屋で、おにぎり屋さんもやろうかな」
夫:「ドレスとおにぎりはあわんやろ」
たしかに。
とっても美味しかった! ごちそうさまでした!
高野山に呼ばれた?
さあ、いよいよ高野山に到着しました!
高野山は、密教のスーパースター空海が真言宗のお寺を開いた場所です。
それにしてもちょうど大学院で「空海」について学んでいるときに高野山に行くことになるなんて、ほんとうに不思議なご縁です。わたし、ほんとスピリチュアルとかじゃないんですけど、こういうことがちょいちょいあるんですが、みなさんはどうですかね? これってよくあることなんでしょうか。
インドに行く夢を見たその日にインド行きの打診があって、ほんとにインドに行くことになったりとか。これってやっぱり…。
高野山は以前にもきたことがあったのですが、こうやって仏教美術や日本史を学んでから行くと、おもしろさが全然ちがうんです。やっぱり学びって、楽しい。そのほうが世界がうんとおもしろくなるので、お得です。
緑がきれい。
高野槙と「高野の森」
高野山ではいたるところで高野槙を販売していました。
高野槙は高野山に自生する針葉樹の一種です。真言宗を象徴する植物として、仏花やお供えなどに利用されています。独特の香りが清らかです。
セルフ販売とかあるんですね。それだけ日常的に欠かせなくて、身近な植物なのでしょう。
ところでわたしはオーストラリアの「パーフェクト・ポーション」の製品を愛用しているのですが、昨年の夏、「高野の森」というルームミストが発売されました。このルームミストに高野山の高野槙の精油が使われているそうです。
なんでもパーフェクトポーションの創業者さんが、高野山に惚れ込んで香りをつくられたのだとか。
その発売を記念して、オーストラリアから創業者が来日されてのイベントが昨年神戸で開催されていました。このイベントに、わたしもなんとなく参加していたのでした。
パーフェクトポーションのお店には、愛用しているチルアウトバームを買いに行っただけなのですが、たまたまイベントの申し込み期間で、「あと1名様なんですよ!!」と言われ、じゃあ行こうかなって。ラスト1名って、どうせそうやってみんなに言ってるんでしょ〜なんて思っていたのですが、イベント当日の参加者リストをチラ見したら、ほんとにわたしの名前が最後のひとりになってて、うわ、ほんとだったんだなって。(内心疑ってたやつ)
このセミナーで、高野槙は高野山と、韓国の一部の地域にしか自生していないということを知りました。へえ〜!
その大切な高野槙を、取りすぎるのではなく持続可能なスタイルで採取して、香りをつくられたそうです。そんな開発ストーリー聞いたら、買っちゃうよね〜。
「高野の森」は、ヒノキやコウヤマキなど、針葉樹林の森のなかにいる感じの香りです。ほんの少し、スパイシーな東洋のお香のような印象もあり、神秘的な香りでした。わたしはこのルームスプレーを、空気を浄化したり、気分を切り替えたい時なんかに使っています。ちょっとお正月みたいな感じで、気持ちがシャキッと新しくなるような香りです。限定発売っていってたけど、まだあるのかな?
まわしものではないのですが、おすすめです。
まさかこの1年後に、その高野山に呼ばれるとは不思議なものです。
奥の院へ
次に高野山の奥、空海が入定されたとされる「奥の院」へ向かいます。
この橋を越えると、別世界です。お辞儀をして進みます。いいですね、この境界線感。橋を超えたら別世界なんですね。「千と千尋の神かくし」もそうでした。
ここからは写真はありませんが、ズラ〜っと企業のお墓や供養塔が並んでいました。戦国武将や、〇〇家代々の墓、みたいな名家のお墓もあって、歴史に詳しい人なら「おおっ」と思われるんでしょうね。
大企業のお墓や供養塔が立ち並ぶなか、わたしがすごいなあと思ったのは「シロアリの供養塔」でした。シロアリ駆除メーカーが建てたようです。お墓なので「おもしろい」っていうのもあれなんですが、おもしろいですよね。
日本人の死生観がかいま見られるような、それでいてやはり清らかで心が現れるような、そんな空間でした。
単純に大きな樹がたくさんあってわたしはそれだけで癒されました。やっぱり樹木はいいなあ。
やきもち
最後にやきもちを買って、帰りました。
まとめ
高野山を旅して感じたことまとめ。
歴史や美術を学ぶと、旅が断然おもしろくなる
偶然の出来事も、「呼ばれた!」とか「最後の1名は運命なのかも!」と言いながら人生を楽しむ
空海はめちゃくちゃすごい
おむすびとドレスはあわない
空海の旅、いかがでしたでしょうか?
最後までお読みいただいて、ありがとうございました!
だれにたのまれたわけでもないのに、日本各地の布をめぐる研究の旅をしています。 いただいたサポートは、旅先のごはんやおやつ代にしてエッセイに書きます!