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映画:noma 世界を変える料理

2024年に閉店する「世界最高のレストラン」noma

世界のベストレストラン50で第1位を5回も獲得したコペンハーゲンのレストラン「noma」。
北欧発のファインダイニング「ノルディックキュイジーヌ」を確立したnomaが、さらなる進化を目指して24年に閉店するというニュースは衝撃でした。

そのnomaが世界1位を獲得し、ある事件により転落し、再び世界一を獲得するまでを追ったドキュメンタリー映画が2016年に公開されています。
(現在はAmazonでも視聴可能)

トップシェフの葛藤や努力、成功へのストーリーは面白く、尊敬できるだけでなく、学べることもとても多かったです。

オリジナルであること

nomaが創業した当時、北欧のファインダイニング市場は存在せず、北欧食材の地産地消によるレストランは無謀だと言われていました。
また、シェフのレネ・レゼピはマケドニアからの移民出身ということで人種差別され、純粋なデンマーク人ではないということからくる批判も多かったと言います。
オープン当初は、お客さんも集まらず、全くと言っていいほどうまく行っていなかった。
そんな中でも、旅からインスピレーションを得て、「時間と場所」というコンセプトを確立し、自然と季節と土地の特徴を表現する料理は徐々に独自のポジションを生み出していきます。

このように、独自のポジションを確立するには、他者から批判されてもブレずに自分が信じるオリジナリティを追求することが重要だと感じます。
それが他者には真似できない唯一無二のブランドになって、誰とも比較されない状態を作れるのでしょう。

また、一度オリジナルな立ち位置を確立したあとにも、新しい料理を生み出す実験をし続けており、毎週土曜日はスタッフも含め、新しいメニューを開発しているとのこと。
変わらないためには変わり続けることが必要なのだと改めて痛感します。

なんだかんだ賞を取ることの大事さ

地元では人気のレストランとなったnomaも、世界1位をとるまでは世界中からそのために人が集まるレストランではありませんでした。
2010年に初めて世界1位をとったあと、「環境が全く変わった。毎日世界中から予約が殺到し、さばききれなくなった」とレネは語ります。

nomaが提供している料理の素晴らしさは、世界1位をとる前と後で変わりませんが、”世界1位”という評価を得ることで、世界中から求められるレストランとなりました。
眼の前のお客さんのために最善を尽くすということはもちろん重要ですが、なんだかんだで賞を取ること、他者からの評価を得ることが、求められる存在になるためには大事だと感じます。
よく、「人気だから人気になる」「評価されているから評価される」と言われますが、どの水準を目指すかはさておき、真理なのだと思います。

厳しさの先にあるもの

映画を見ていると、今の日本だと完全にパワハラ扱いされるようなトーンで、レネがスタッフを叱責しているシーンが多く見られます。
本人も「細かいことにイライラする、嫌な奴になっている」と葛藤していますが、それでも最高の料理・体験を提供するには、品質に妥協せず、こだわり続けること、そのためには衝突も厭わないことが重要なのでしょう。
伝え方は配慮する必要があるとはいえ、仕事をする上でも妥協せず、水準を下げないことは意識したいと感じます。
(自分を振り返ると、正直、最近はヌルくなっているなと、耳が痛い思いで映画を見ていました)

プロとしての働き方

nomaのように世界一を目指すわけではなくても、プロとして仕事をする上で学べる要素が多くある映画でした。

また、小さく有機的に協業し、新しい価値・体験を生み出すチームという意味では、レストランと私が働くブティックファームは似ているように感じます。
自らを振り返ると、30代も折返しになり、未だに旗を立て、名を立てられていないことに焦りは感じつつも、レネのようなプロフェッショナリズムに近づけるよう日々に全力を尽くしたいと思います。

ちなみにトップシェフのドキュメンタリーだと、Netflixの「シェフのテーブル」もおすすめです!




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