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後編: 妻に北欧MBA卒業後の就活について聞いてみたら本田圭佑みたいな熱い言葉で締めくくられた。

記載日: 2024年1月18日

タフと言われているデンマークでの就活をまさに今戦う妻にインタビューした前回記事は妻の仲間から様々反応がありました。今回は後編として前回の続きを書いています。64社履歴書送付後、初インタビューの結果は…残念ながら初戦敗退と昨日判明。しかし、それは敗戦ではなく次へのステップ。
さて、今回はどのような熱い言葉が聞けるのか?🧐

前半はこちら!


簡単な妻のプロフィール

  • 夫と同じ日本の外資系IT企業に新卒入社。営業として5年程勤務。

  • サスティナブル系にキャリアシフトするため、コペンハーゲンビジネススクール(CBS)のMBAへ2022年9月に入学。

  • 2023年9月に卒業。10月から就活を本格的に始め、現在約3ヶ月が経つ。※MBAとは、基本的に社会人経験を必須とする経営学修士。
    ※なぜデンマーク?については以下自己紹介記事を参照ください。

以下Youtubeもやっているので、ぜひご覧ください!
日本人夫婦の北欧移住のリアル | Marie & Takashi

夫: ちなみに就活において今の自分の競合は
どんな経歴の人たちだと思ってるの🧐?

: 最初は正直、自分と同じMBAを取得した人たちが、自分の肩書きだけ見ると競合になるのかな〜なんて思ってた。でもデンマークの就活市場の特性を知っていくうちに、日本とは大きく違う点の一つとして、日本でよく聞く短期学生インターンシップとは違う、年単位の長期ステューデントジョブが盛んであることを知って。
話を聞いていくうちに、学生であっても、ある程度の責任を持った仕事を経験していることがわかったし、
だからこそエントリーレベルの職種だとしても、応募者は学生時代に数年、ステューデントジョブを通じて社会人経験を積んでる人がほとんどで。
もちろん、営業としてプロ意識を持って取り組んできた(つもりの)自分の5年間に誇りを持ってるけど、一方で履歴書上の職歴は、大学院卒の学生たちとあんまり変わらないじゃんって!笑
それは多分MBAのメンバーとだけ一緒にいても気がつけなかったなぁ。

: 友達に進めてもらって、とある会社(SAP)の学生プログラムに何回か参加したときに、他大学のマスターレベルの生徒たちとたくさん話す機会があって。それでその子たちが、自分の想像以上に、ステューデントジョブを通じていろいろ任されてる実体験を聞いて、
私の5年間という職歴を考えると、この子たちが実は競合になるんじゃないかってだんだん気がつき始めたかな。
(実際、初戦敗退インタビューも、この子たちに負けてしまった模様。。)

※スチューデントジョブは、インターンではなく、長期の学生向けの仕事。大手企業はもちろんスタートアップも含めてデンマークでは採用に積極的。

: 学生相手に初戦敗退か…😱

: 最初は自分の5年間を上手く活かせないのが悔しい気持ちにもなったし、せっかくMBA取ったのになぁって葛藤もあったけど、
その現実をよく理解した今は、たとえエントリーレベルのポジションだとしても、自分の将来やりたいことに少しでも近づけるなら、積極的に受けようって吹っ切れた。

夫: デンマークにおいてMBAの認知が
アメリカやイギリスに比べて
低いってのもあると思うけどね。笑

夫: 今まで64社履歴書送ったって言ってたけど
ざっくり分けるとどんな企業へ?

: 最初の10 社くらいまではサスティナビリティスペシャリストっていう企業のサステナビリティレポートを監査するポジションを受けてて、
背景には、デンマークでは、今年からより厳しい制約のあるサステナビリティレポートを提出する必要がでてきたから、就活市場でも関連するポジションが需要が大きいのが目に見えてたから、まずはそこを攻めてみたの。
今振り返ると、やっぱそれって従来の監査の仕事の派生だから、そもそも監査や企業レポートを書いた経験がない私はお呼びでないよなと。笑
エントリーレベルであっても、ステューデントジョブでしっかり経験している子が受かってるし、当たり前だよね。笑

: だから10社ぐらい出してみたけど、あまりにも自分がアピールできることがないなって思ってやめた。

: 実はもともとデンマークに来る前から、そういう仕事の需要があるって事はなんとなく知ってて、
MBAをとったらちょっと近づけるんじゃないかって、希望的観測で思ってたんだけど、
実際1年ジェネラリストのMBAやっただけでは、スペシャリストの仕事に必要な知識は賄えないよなって思い知りました。笑

:  監査となると4大コンサルとかだしなぁ
それはトリプルジャンプどころじゃないな笑

夫:スペシャリストは一旦諦めて、その次は? 

: そこから自分の営業の経験を活かして、サスティナビリティに関われる仕事を探そうって思って、次に焦点を置いたのはマーケティング関連の仕事。
デンマークでは、昨今のサステナビリティへの関心の高まりから、マーケティングという観点では特にグリーンウォッシングのリスクを考慮したマーケティングの必要性が高まってることを知って、関連する仕事もよく目にしてたから、よし次はここを探ってみようと。
セールスからマーケティングにキャリアチェンジはまだある路線かなと思ったし、私の3カ月のインターンシップもサステナブルマーケティングに関連する会社だったしね。

*グリーンウォッシングとは、環境問題などサステナビリティに取り組んでいるように広告などマーケティングでは見せているものの、企業活動の実態が伴っていないこと。

夫: そうね、セールスからマーケティングはあるよね。

: コーヒーチャットを通じて、関連する仕事をしている先輩たちに話を聞きに行って、私にもチャンスがあるか探ってみたんだけど、
教えてもらってわかったことは、マーケティングといっても、社内コミュニケーションと社外コミュニケーションと大きく二つ役割があって、
社外コミュニケーションが、いわゆるパブリックスピーキングといった外部の関係者向けに発信する仕事だから、最低条件として、かなり高いレベルで言語力が要求されるとわかって。(ほとんどのケースで北欧語も必須。)

: 言語の壁高し😱

: 一方で、社内コミュニケーションは、グリーンウォッシングのリスクを会社全体で取り組んで避けるために、社内の関連部署と連携して、サステナビリティの重要性を社内で発信したり、社内の営業活動をよりサステナブルな方向に持っていけるように調整するような仕事で。
これからサステナビリティビジネスが加速していく上で、意義のある仕事だし、挑戦してみたいなって思ったんだけど、
これまた、その道に行ってる人と幸運にも、人の紹介を通じて何人かお会いできたんだけど、
話を聞いていくうちに、必要性が認識されつつある一方、いたらなお良いよねっていう段階だから、デンマークの大手企業でも、本社に1名採用があるかないかという現実だと教えてもらって。

: 将来自分のキャリアのどこかで、チャレンジしてみたい仕事だけど、デンマークでのファーストジョブとしては、狭き門すぎるなと判断して、一旦やめました。

夫: そうか、ではスペシャリスト→マーケティングの次は?



:それで、もう一回考え直して、事業開発の仕事は、営業の経験を活かしつつ、日々お客さまと向き合う営業よりも、もう少しバックサポート的な考え方だから、自分の性格にもMBAで学んだことにも合ってるかなぁと思って
サスティナビリティを意識した事業開発って言う仕事を探し始めた時に、
これまでのサステナビリティスペシャリストやマーケティングよりも、自分の過去の経験からやれることがありそうだなと思って今に至る。笑

: やっと辿り着いた笑

: 振り返ると、事業開発をもう少し早い段階で、視野に入れられなかったんかって、自分に対して思うけど。笑
自分で実際に応募して、相手の反応を見てうまくいかなくて、人にインタビューして、やっと失敗した理由をそういうことかって納得しないと進めないタイプだったかなと思う。笑
実際、MBAの卒業生の中で、営業から事業開発にいった先輩がいたから、今度はその人たちに話を聞きに行くようになってからは、
自分のプロフィールとやりたいことを伝えて、就活市場とのギャップがどれくらいあるか相談したら、それまでのコーヒーチャットでは、結構ギャップあるねって感じだったけど、事業開発を目指してからは、なるほどね!って言われることも増えてきたから、
よし!じゃあこの路線で履歴書大量送付のフェーズに移ろうって思えたんだよね。

: 結果、事業開発は多分64社送っているうちの40社くらいを占めるかな。

夫: なるほど、本田圭佑的に言うと
事業開発へ辿り着くまでの道のりは
正しい努力だったのかもしれないね。

夫: ところで話で出てきたコーヒーチャットとは?

: コーヒーチャットっていう、言葉どおり1時間くらい一対一でコーヒー飲みながら、お互いの話をカジュアルにしましょうっていう文化なんだけど、デンマークの就活市場を語る上では外せない特徴の一つかも。
LinkedInがデンマークはヨーロッパの国々の中でも特に盛んで。LinkedIn上で、自分の興味のあるキャリアを積んでいる人にリクエストメッセージ送って、話聞かせてもらえませんか?ってお願いするの。
返事が返ってきたり返ってこなかったり、まちまちだけど、運が良ければ話ができるし、そのまま採用につながったって話も聞いたことがある!
日本人として驚きなのはHead of XXXみたいな、エグゼクティブレベルにもリクエスト送って差し支えないし、実際に話ができた友達も何人かいる。

夫: そういえば、コーヒーチャットで
アウェーの洗礼を受けたとか?🤌

: 君の言ってる事はほんとにレベルが低いって厳しいフィードバックをもらっちゃったこともあるよ、、笑 
そんな落ち込む経験をしたこともあるけど、割とキャリアの深い話ができた会もある。

: コーヒー飲みながらリラックスした感じで
やたら厳しいこと言われるね笑

夫: 基本天気が悪くて暗い冬のデンマークでの就活はメンタル的に厳しい戦いか?🤔

: 厳しいけど、やっぱり一緒に腐らず頑張ろうねって励まし合える友達の存在は大きいかな。みんなで集まって、例えばコーヒーチャットした人からこんなアドバイスもらったよーとか、この会社は採用増やすらしいよとか情報交換したり、
就活で落ち込むことがあっても、笑い飛ばしてまぁやるっきゃないよねって励まし合える、心から信頼できる友達がいるのはすごく大きい。
あとは夫が、私がMBAを受ける時から「自分で自分のこと諦めるな!」と言い続けてくれたから、
就活だけじゃなく、MBA受験もMBA在学時も、うまくいかない状況の方が多かったけど、諦めないことが大事だなと思えた。「簡単に諦めない」がここ数年の私のモットーです。笑

: 夫熱くない?笑

: まぁ過去の私の人生振り返ると、最初っからうまく行ったことないし、まぁうまくいかない事には人生慣れてるから、別に気にしてないというか。

: 本田圭佑の2010年W杯のフリーキックのように最後の切り取られたワンシーンだけが記憶に残るけど、最初っからあんなすごいシュートを打てたわけじゃないしな!


本田圭佑のような折れないメンタリティーで、己の道を進む妻。やりたい事のためにできる苦労は幸せなことだ、と言いながら、今の所はぶれない姿勢を見せておりますが、アウェーでの就活は続きます。乞うご期待!🇩🇰🇩🇰🇩🇰