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子供は「よってたかって皆で育てる」のが基本 -双子のお遊戯会での気づき-#441

先週末、双子の娘たちの保育園でのお遊戯会に参加してきました。昨年はインフルエンザ直撃のため、出れませんでしたので、今回が初参加になりました。

「狼と七匹の子山羊」というベタベタな演劇でしたが笑、娘たちの成長を感じつつ、つくづく子育ては「よってたかって皆で育てることが大事」だなと感じました。

親ができることには限界があり、集団保育で育ててもらうことで、こうした演劇学習の機会や、友達との交流、多様な保育者の大人との触れ合いを通して、社会性や言語能力を獲得していきますし、自己効力感も育むことができます。

双子育児でどうしようもなくなり保育園に預けてから、4年間が経過し、他者に預けて本当に良かったと思っています。

今回の経験を振り返りつつ、4月からの保育園入園でドキドキしている方に、安心して預けましょう!というメッセージを送りたいと思います!


◎家庭ではできない集団教育の価値

双子の娘達はそれぞれ狼役と子山羊役に分かれて演じておりましたが、一生懸命に歌を覚えて、それぞれの役になり切って頑張っておりました。

衣装や演劇の練習、その後の楽器演奏など、豊かな経験を積ませていただき、保育園の先生方には感謝の思いでいっぱいです。

こうした経験機会は家庭だけでは提供できません。保育園や幼稚園という社会装置があって、そこに集う子供や関係するスタッフがいてこそ成立する営みです。とってもレバレッジが効いた機会になっていると思います。

発達研究の視点からも、「ごっこ遊び」や「演劇教育」の効果は指摘されており、特に自己効力感や、言語能力の向上に効果的であると言われています。

親の言葉使いに似てしまうことで、思わずブチギレて怒った言葉とか、雑な日本語(例:お前らいい加減にしろー!ふざけんなコラー!とか、ラーメン食べて、「うわ、うめっ!」とか)を子供が使っていて、反省したことが何度もありますが(これは最悪な気分になり自己嫌悪ですね・・・)、演劇で使う言葉や保育者の美しい日本語を学ぶことで、情緒の安定にも繋がり、親の世界観の枠を超えることができるのがありがたいなと感じました。

◎教育学的な視点からの保育園での演劇の効果

教育学の少し専門的な解説としては、心理学・教育学・幼児発達の分野で広く影響を及ぼしたロシアの心理学者ヴィゴツキーは「社会文化的発達理論」を提唱しました。平たく言えば、子供は大人や社会との相互の関わりによって成長すると説きました。

うーんそりゃそうだよねという話なのですが、彼の理論は、結構大事なことを言っており、以下の3点を指摘しています。

①最近接発達領域(ZPD: Zone of Proximal Development)
「できることと」と「できないこと」の間にある隙間にこそ、支援が必要な領域がある

②スキャフォールディング(Scaffolding: 足場かけ)
大人や経験豊富な人が、子どもが学ぶ際に適切なサポート(足場)を提供し、徐々に自立できるようにすることが大事

③内言(Inner Speech: 内的言語)
子どもは外部の言葉を「内言」に変換し、それを使って思考を深めるため、言葉を豊かにすることが大切

それまでは、ピアジュという大御所が「人間は自分で学んでいくんだ」と言っていたところに、「いやいや、社会や環境から影響受けて学んでいるに決まってんじゃん!」ということを言い切りました。

ヴィゴツキーの理論を踏まえると、演劇教育は、以下のような効果を持っていると言えます。

ヴィゴツキーの理論と幼児の演劇教育での応用の関係を整理するとこうなる

双子の娘たちは保育園での大人の会話をよく観察しており、いろんな大人の会話を真似して看護師さん、歯医者さんなったり、シチュエーションはぐちゃぐちゃで面白いですが、ヴィゴツキー理論的には、内的言語を豊かにしているのだと思おうと、微笑ましく見守り、サポートを求められたら手を差し伸べるようにしていきたいなと思います。

◎保育園とYouTubeでの自己効力感の形成

自己効力感の醸成に際しても保育園・幼稚園のプログラムはよくできていると思います。木下さんの配信でも触れておりましたが、自己効力感(Self-Efficacy)とは、「自分はこの課題を達成できる」という信念のことで、アルバート・バンデューラ(Albert Bandura, 1977)が提唱しました。

成功体験、代理体験、社会的説得、生理的・感情的状態という4つで構成されています。

① 成功体験(Mastery Experiences)
子供が自分の力で何かを達成する経験が最も効果的。
小さな成功を積み重ねることで、「やればできる!」という感覚が強まる。

② 代理体験(Vicarious Experiences)
周囲の人が成功する様子を見ることで、自分もできると思うようになる。
同じ年齢の子供が成功するのを見ると、より効果が高い(モデル学習)。

③ 社会的説得(Verbal Persuasion)
周囲の大人(親、教師)が子供を励ましたり、肯定的なフィードバックを与えることで、自己効力感が高まる。
「あなたならできるよ!」という言葉かけが重要。

④ 生理的・感情的状態(Physiological and Emotional States)
子供がストレスや不安を感じると自己効力感が下がる。
楽しみながら学ぶことで、「学ぶことへのポジティブな感情」を持つことが重要。

バンデューラの自己効力感の4要素


保育園での様子を見ていると、これらの要素をしっかりと開発するための設計がされているのを感じます。

特に最近は、集団教育であるからこそ、お友達がやっていたら自分もできるかもしれないという代理体験は家庭だけでは育むことが難しいため、集団学習が貢献している点だと感じています。

また、令和の子育てに不可欠なYouTubeも代理体験装置になっていると考えています。我が家では、動画で「ねるねるネール」のお菓子で遊んでいるのを観た子供たちが、実際に買いたいと言い出して買い物にいき、自分たちも体験して遊んでいました。

最近は体操動画にハマっており、動画で見た動きをベッドの上でくり返し試しています。これは完全に代理体験であり、大人の教育ではシャドーイングやロールプレイングのような効果を持っていると思います。

もちろんYouTubeで観たことを全て再現することはできませんが、世界観を広げて、自分もできるという体験を掴む上では、動画学習は効果的なので、この視点をもつと動画学習にも寛容な気持ちになれます。

◎安心してかわいい子は他人に預けよう

少し小難しい話もしましたが、ホモサピエンスは、子供を他者に預けることができるからこそ、集団生活で分業をして生き延びてくることができました。

狩りや採集に現役世代が動いて生産して、高齢者が赤ちゃんの面倒を観たり、他の子供の面倒も見てきたことで、集団を維持してきたのが人類の歴史です。

他者に子供を預けることで、親の精神状態が安定し、結果として親子関係も良好になります。逆説的ですが、親子は離れることによって絆が深まるのだと思います。

我が家は生後半年から保育園に預けており、生後1ヶ月から、家庭にファミリーサポートさんが入り込み、寄ってたかっていろんな大人に関わってもらいました。その結果、大人との関わりに対しては遠慮せず、対人の耐久性もついてきているのを感じます。

4月からの保育園入園の通知が届き始めて、新生活に向けてドキドキしている方も多いかと思いますが、最初は大変ですが、預けてよかったと思える時がきますので、どんどん他者に託していきましょう!

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