「オッジは知っているかい?」
■感想文『キアズマ』/著者・近藤史恵さん
『サクリファイス』シリーズの4作目。なんだかんだといっても、私は近藤さんが書くロードレースの世界が好きなんです。
今回は今までの続編でなく、新たな設定ということで、白石の活躍を無条件に期待せず、今度はどんなドラマなんだろうと、ワクワクして読み始めました。ベタというと安直ですが、奇想天外なドラマが待ち受けているわけじゃなく、
うんうんと、そうだよね
と物語が進んでいく後半までは、期待通りにスポーツに打ち込む情熱などがあって、私が読みたかったソレでした。本書を読むかどうしようか迷っている人もいると思うので、具体的には書きませんが、近藤さんがサクリファイスで作り出したロードレースの物語は、今作でグッと広がりと奥行きを感じさせます。そういう意味で、本作は近藤さんが描く自転車競技の、独立した一時代でありながら、歴史のほんの一部に過ぎないというか。続編を期待する自分を抑えられません。
初めて近藤さんのロードレース小説を読む人にとっては、レースシーンの躍動感が過去の3作品よりも比較的少ないので、描かれている、アマチュアスポーツを真剣に取り組む人間の内面世界が好みかどうかがポイントかと感じました。安心して読める、と言う意味で『サクリファイス』『エデン』が好きだった読者にはオススメできます。
私は湖畔の場面でゾクゾクしました。
私個人は、近藤さんが作り出したロードレースの世界観が好きです。本作は近藤さんの描く『サクリファイス』の世界に深みをもたらしているように感じます。
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