クジラ牛乳

短編小説を投稿します。

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最近の記事

ポンコツハケンとスーパーハッカー⑨

 どうやら及川 逸郎に何か起こったようだ。 スマホが示す 彼の位置情報は、普段 彼が行かないような地区を示している。   僕は 引き続き あの商材 会社を調べていた。そうしてあることがわかった。 どうやらあの会社はビットコインが1万円ぐらいの時から投資していたようで、今やその価値は千倍以上に膨らんでいた。 ざっと計算しただけで 百億円以上の資産を所有している。  しかし、どうやら 北朝鮮のハッカーにハッキングされてほとんど 奪われてしまったようだ。  あの会社からの接触

    • ポンコツハケンとスーパーハッカー⑧

       昨日あの少年がまた私を訪ねてきた。 そしてここ 2、3日は気をつけろ、とか 意味不明なことを言って去っていった。 彼は自分でハッキングが得意だとか言ってたな、それで私のことを調べて 知っているのだろう。 まあ、それはどうでもいいことだ、もう彼と関わることはないだろう。  そんなことよりも、明日から3日間 仕事がない。 今月は半分しか シフトが入っていない。 生活が不安だ。  そんなことを考えながら歩いていると、何だか 黒ずくめの怪しい男数人に囲まれていた。  「及川一

      • ジャンキーとホリックとそれ以外の者

         世の中には3種類の人間が存在する。それはつまり、ジャンキーとホリックとそれ以外の者だ。  ジャンキーは重度の依存症、世間のルールから逸脱し、治療を必要とする人をいう。依存する対象は様々ある。アルコール、ドラッグなど、脳に直接作用して人をジャンキーにする物は多く存在する。ギャンブルは自分の脳内から出た物質で依存症になる。最初は楽しくて仕方ないのだろうが、離脱症状でもがき苦しむ。  ホリックは軽度の依存状態だが、やがてジャンキーになる可能性は多分にある。恋愛とか、推し活とかは多

        • ポンコツハケンとスーパーハッカー①

           10年以上派遣で働いている。  大学を出て就職したが、残業の多さと人間関係でメンタルをやられてしまい、2年で退職した。数ヶ月は仕事をせずにいたが、流石にこのままでは生活できないと思い、派遣会社に登録した。仕事を選ばなかったので、派遣先はすぐに決まった。  最初の派遣先は倉庫だった。仕事は商品が入ったダンボールを積み替えるだけだった。単純な仕事だったが、体力は必要だった。なまった体にはきつかったが、心地よい疲れを感じた。しかしその心地よさも長くは続かなかった。毎日とにかく疲

          ポンコツハケンとスーパーハッカー⑦

           及川 逸郎に会った 数日後、僕は彼が2つのトラブルを解決してることを確認した。 彼にしてはいつになく 迅速な対応だな、及川は基本 真面目なやつだから 、具体的な課題に対しては動きが早い。 能力だって決して低くはない。 大学 だって出ている。 文章が読めて、その意味をおそらく半分以上解っている。 むしろ優秀と言っていいくらいだ。 それなのにこんな 詰まった生き方をしているのは、人生に対する意欲の欠如のせいでもあるが、社会の不条理なところにも原因があると思う。 日本は失敗が許さ

          ポンコツハケンとスーパーハッカー⑦

          春は花粉

          春は花粉 晴れて風の吹く日はサイアク ティッシュが手離せない 目を取り出して洗いたいくらい 昔植えた杉が 今花粉を出しまくっている 何でもいいからそんな木は早く切っちゃって! 夏は酷暑 エアコンなしでは過ごせない 昼に出歩いたら、熱中症で死んでしまう それでも生徒に炎天下で運動させたりしてる それって殺人罪にはならないの? 秋はマトモ 4つの中では一番穏やかに過ごせるわ でも日暮れの頃には不安になるわね 食べ物美味しくて、肥えるはサイテイ! 冬

          ポンコツハケンとスーパーハッカー⑥

           「その失敗作を僕が使ってま〜す。とても快適で〜す。」 「遅くなるとママに怒られるから、今日はもう帰るね。じゃあ、またね。」  少年はそう言うと、足早に駅の方へ行ってしまった。私は仕事の疲れと突然の出来事で頭が混乱して、少年を追いかけることができなかった。 あの少年は一体何者なのだろう?  私がB社でパソコンの設定を一箇所飛ばしてしまったことを知っていた。なぜそのことを知っているんだ?  もしかしたら少年はB社の社員の子どもで、親の持ち帰った資料から、失敗したパソコ

          ポンコツハケンとスーパーハッカー⑥

          ポンコツハケンとスーパーハッカー⑤

           「オジサンが及川逸郎?」 そう言ってから「さん」くらい付けたほうが良かったかな?と思った。何しろ生きた中年のオッサンと話したことなどほとんどないのだから、多少間違っていたとしても仕方あるまい。  オジサンでいいよな、35歳だし。35歳にしては、ちょっと老けてるかな、でも健康に問題はなさそうだな。  「君、どうして名前知ってるの?」 及川逸郎は不審そうに僕を見てそう言った。しかし僕は無視して話し続けた。 「あなたのクレジットカードが不正使用されてますね。投資教材のサ

          ポンコツハケンとスーパーハッカー⑤

          ポンコツハケンとスーパーハッカー④

           学生時代は真面目に過ごしてきた、と思う。地方から東京の大学に進学したつもりだったが、1,2年の授業は隣県のキャンパスだった。隣県キャンパスと東京キャンパスの両方に通えるアパートを借りて、そのまま今も住み続けている。18歳から、かれこれ17年以上住んでいることになる。実家にいた時間とほぼ同じ年数をこのアパートで過ごしていると思うと、ちょっとやるせなかった。         大学まで出してもらって今のような状態でいることを、親には申し訳ないと思う。その気まずさと、金がないの

          ポンコツハケンとスーパーハッカー④

          ポンコツハケンとスーパーハッカー③

           あのパソコンを手にしてからというもの、僕は問題なく学校に通えるようになった。これは当たり前のことのようだが、とても重要なことだ。  僕にとって学校は苦痛以外の何物でもなかった。退屈な授業、くだらない同級生、ジコチュウな教員たち、効きの弱い空調、学校にあることすべてが、僕にとっては地獄だ。それに比べて、インターネットの世界は刺激が満ち溢れていた。  あのパソコンが手に入らなかったら、僕は遅かれ早かれ、学校には行かなくなっていただろう。小学生が学校に行かないというのは、何か

          ポンコツハケンとスーパーハッカー③

          ポンコツハケンとスーパーハッカー②

           今年から全国の小中学生にパソコンが配給されることになったらしい。配給パソコンなんて、どうせクソみたいに低スペックのタブレット型パソコンだと思っていたが、案の定そうだった。CPUは一世代前のスマホ用だし、メモリーは一桁ギガ、ストレージは32ギガしかない。せめてあのリンゴ製のタブレットだったら軽いゲーム位はできただろうに。しかしこのパソコンでは、ゲーム中にフリーズすること間違いなしだ、ゲームが立ち上がるかどうかも怪しい。  しかも、これであの重い教科書から解放されると喜んでい

          ポンコツハケンとスーパーハッカー②

          ポンコツハケンとスーパーハッカー

          あらすじ 派遣社員の 及川 逸郎と小学生天才ハッカー「僕」のそれぞれの視点でストーリーは展開していく。 及川一郎が設定でミスして ハッキング可能となったパソコンが、学校でたまたま「僕」に割当てられる。 「僕」は 及川への感謝の印として 及川の抱えるトラブルを解決したが、 そのために 及川は ある闇の組織に狙われることになる。 「僕」は、この世界は作り物なのだから戦うことを恐れるなと、及川を説得する。 戦いを経験して 、及川は人生に立ち向かう覚悟を決める。一方、「僕」はハッキ

          ポンコツハケンとスーパーハッカー