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特別支援教育における進路の話🐾

以前、特別支援に基本について記事にしました。

今回は、特別支援学校卒業後の進路について、お話します。

 文部科学省が令和2年度に発表した特別支援学校卒業後の進路状況によると、6割程度の生徒が社会福祉施設等への入所や通所を利用しています。
 また、学校基本統計によると、社会福祉施設利用者の半数以上が、就労系支援事業所(就労継続支援A型・B型、就労移行支援事業所)が就職先となっており、このことから、特別支援学校卒業後から就労が始まる生徒がほとんどであることがわかります。

 障がいのない生徒よりも、障がいのある生徒の方が、社会参加の時期が早いといえます。故に、学校においては、将来就きたい職業のイメージを含めた人生設計や社会的自立のための知識や技能を学ぶ機会を系統的、計画的に設ける必要があります。

 2025年には後期高齢者が2200万人を数え、国民の4人に1人が75歳以上という超高齢化社会が到来します。
超高齢化社会が抱える問題の一つに、老障介護があります。年老いた親が障害を抱える子どもを介護することですが、いずれ家庭での介護には限界が訪れます。

 行政の制度や申請は非常に複雑で、当事者の力のみで福祉サービスの利用までたどり着くことは難しいのが現実です。
 また、自傷や他傷、強度行動障害等のパニックがある場合、入所を断られるケースも少なくありません。

 障がい児の保護者は、自身が存命している間に、障がいのある我が子の生活力を向上させ、生活の場を確保したり、福祉や行政とのつながりを確立させたりするなど、重い責任負担を抱えています。
 情報技術の進歩によって、法律の改正や制度の創設等の情報を得る手段、家族の会やコミュニティとつながる機会は増えましたが、就労や福祉施設の利用に関わる分野においては、いまだに当事者とその家族任せになっています。

 障がいのある生徒の早期の社会参加を踏まえ、保護者も見通しをもって、関係機関との連携を深めたり、家庭における教育を洗練したりしなければなりません。
 また、多くの中学校では、第3学年で進路説明会が開催されます。しかし、普通高校のカリキュラムや入試情報を扱うため、一般的に通常学級に在籍する生徒と保護者が参加します。
 一方、特別支援学校への進学を希望する生徒と保護者を対象とした説明会はなく、特別支援学校主催の学校見学会の案内を周知するにとどまっています。通常学級と違い、進路に関する十分な情報が一律に提供されているとはいえないのが現実です。

 学習指導要領においては、知的な遅れが認められる生徒について、『自立活動』の時間を設けることが義務付けられています。
 特別支援教育に携わるにあたり、「自立」は常に念頭に置いておかねばならないキーワードです。
 今はまだ幼い子どもたちも、いずれ大人になります。親が子より先に他界することは、自然なことです。親亡き後、子どもたちが豊かな生活が送れるよう、学齢期における「自立」は非常に大切です。
 勤務校においては、買い物学習や調理実習、衣服の畳み方から洗濯やアイロンがけも指導します。自分でできることが増えると、子どもたちの自信にも繋がります


 皆さんの学校では、どのような「自立活動」に取り組んでおられるでしょうか。ぜひ、コメントでアイデアをいただけるとうれしいです。


どこかの誰かの何かの足しになりますように。

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