「これでもういいでしょう」
「これでもういいでしょう」
と私は介抱する手を止めた
赤く熱した溶岩の火口が
ようやくその熱い流れを止めたから
「あとは安静にして」「治りを待つだけだ」
私が口にしたこの言葉で
青冷めた手元を、見つめる瞳を、
いくつか逸らせてしまうかも知れない
温もりを失いきった表情は
まだ人の頬を欲しているかも知れない
手は無数に伸びて
この心を直接貫く
私は動き続けなければならない
この歩みを止めていけない
締めてはいない、と
この心を幾度も裏切る
手を、腕を、指先を、
頬を、目蓋を、