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Harvard Business Review 25年1月号③:AIがチームに加わるとパフォーマンスが落ちる!?

読書ノート183日目📚
前回に続いて、今回もハーバードビジネスレビュー2025年1月号「経営課題としてのテクノロジー」から以下の5つを順に紹介していきます。

私たちは技術の進歩をどう捉え、どのような社会を構築すべきか
 マイケル・オズボーン オックスフォード大学 教授
生成AIとの協働を実現する3つのスキル
 H. ジェームズ・ウィルソン
 アクセンチュア グローバル・マネジング・ディレクター
AIがチームに加わるとパフォーマンスが落ちる
 ブルース・コグー コロンビア・ビジネススクール 教授
経営の多角化を成功へと導く5つの論点
 バラット N. アナンド ハーバード・ビジネス・スクール 教授
退職してからの人生をどう生きるか
 テレサ M. アマビール ハーバード・ビジネス・スクール 名誉教授

3回目の今日は
AIがチームに加わるとパフォーマンスが落ちるについてです。

今回もChatGPTに搭載されている「GPTs」を活用して、落合陽一先生の論文の読み方フォーマットで要約&解説をしてくれる「論文要約くん」を利用しています。

論文要約:「AIがチームに加わるとパフォーマンスが落ちる」

著者: ブルース・コグー (Bruce Kogut)
  (コロンビア・ビジネススクール 教授)
翻訳: 矢羽野 薫
掲載: Harvard Business Review (2024年5-6月号), DHBR (2025年1月号)


1. どんなもの?
AIをチームに導入すると、パフォーマンスが向上するのか?
それとも低下するのか?
この研究では、AIがチームの生産性に与える影響を検証した。特に、協力が求められる環境でAIをチームメンバーとして加えた場合、人間のパフォーマンスがどのように変化するのかを調査している。


2. 先行研究と比べてどこがすごい?
これまでの研究は、AIが個人や企業の生産性に与える影響に焦点を当てていた。しかし、本研究は 「チーム」 という単位でAI導入の影響を分析している点が新しい。また、単なるデータ入力などの作業ではなく、リアルタイムで連携が求められる ゲーム環境(スーパーマリオパーティのミニゲーム「Dash and Dine」) を実験に使用し、AIと人間の協働のダイナミクスを観察している点も特徴的。


3. 技術や手法のキモはどこ?
実験方法: 
2人1組の 110チーム が「Dash and Dine」を12ラウンドプレー。
最初の6ラウンドは全員が人間。
後半の6ラウンドでは、一部のチームのメンバー1人を インテリジェントエージェント(AI) に置き換えた。
各ラウンドで集めた食品の数を比較。

結果:
AIを加えたチームは、人間だけのチームより 平均で3個少ない 食品しか集められなかった。
AIは個人としての成績は優秀(人間より17%高いパフォーマンス)だが、チームのパフォーマンスは 8%低下
ただし、AI導入後の数ラウンドで差は縮小し、最終的にはほぼ同等のパフォーマンスに。


4. どうやって有効だと検証した?
調査:
実験中盤と終盤にアンケートを実施し、チームメンバーの心理的変化を測定。
スピルオーバー効果:
AIを導入したチームだけでなく、同じ部屋でプレーしていた 人間だけのチーム も一時的にパフォーマンスが低下したことを確認。
チームの適応:
最終的には差が縮まるが、一時的な混乱が生じることが明らかに。


5. 議論はある?
AIは個々では優秀でも、チームとしての協力が難しい?

AIは 効率的に作業をこなす ものの、コミュニケーションや協力の観点では 人間との相性が悪い 可能性がある。
AIがチーム内の 社交性を低下 させ、メンバーの モチベーションや信頼を損なう ことがパフォーマンス低下の一因。

AI導入の影響を最小限にする方法は?
熟練したプレーヤー とAIを組ませることで、チームのパフォーマンス低下を抑えられる。
スキルの低いプレーヤーは、AIとの協働に適応するのが難しいため、最初は スキルの高いメンバー から導入すると良い。


6. 次に読むべき論文は?
AIと人間の協働に関する研究

"The Impact of AI on Human Collaboration" by Brynjolfsson et al.
AIと人間が協力する際の心理的・行動的影響を分析した論文。
組織におけるAI導入のベストプラクティス
"AI in the Workplace: Challenges and Solutions" by Davenport & Ronanki
企業がAIを導入する際の成功事例と失敗事例をまとめた研究。
ゲーム環境でのAI研究
"AI in Multiplayer Games: Cooperation or Competition?" by OpenAI
AIがゲーム環境でどのように人間と協力または競争するかを分析。


まとめ
AIは個々の作業では人間より優秀だが、チームに加わると一時的にパフォーマンスが低下する。
AIの導入により、チームの 社交性、モチベーション、信頼 が損なわれる可能性がある。
熟練したプレーヤー と組ませることで、AI導入の悪影響を軽減できる。
AI導入の際には、人間の適応プロセスを考慮することが重要。
この研究は、企業や組織がAIを導入する際に どのように人間と共存させるべきか を考える上で、非常に示唆に富んだものだ。

今回の内容は、「AIがチームに加わるとパフォーマンスが落ちる!?」についての内容でした。

パフォーマンスを測るための検証に使ったのは、ゲームソフトの「Dash and Dine」ということで、順序通りにタスクを処理し、時にチームワークも必要とするタイムアタック形式でスコアを競い合うゲームです。

「オーバークック」のスーパーマリオ版といった感じのゲームですね。
短時間でのスピード勝負!なので判断力や段取りの良さが決め手となりそうです。


この論文によると、AIは個人戦では人間よりもスコアが17%良いものの、チームに加わると、チーム全体のスコアは8%低下してしまったとのこと。

ただし、
・回数をこなすことで、AI混在チームのスコアは
 人間だけのチームのスコアとほぼ同等まで近づいたこと
・熟練した人間とAIの組み合わせであれば、
 スコア低下を抑えることができていたこと

などが追加で検証されていました。

結論としては、人間とAIのチームプレーは今のところ(&今回のゲームスコアを競い合う場合)は相性が良くなさそうといった結果でした。


そうは言っても、実際の仕事に置き換えてみようとすると…
パフォーマンスの種類も様々あり、スピードや正確性よりも戦略や方向性を定めることが重要な場面や、クリエイティブな創造性が重要な場面もあるので、今回のケースはあくまでチームプレーでゲームスコアを競い合う場合。と限定的な分析結果にはなりますが、興味深い結果でした!


個人的には、AIと人間の混成チームが人間だけのチームを上回るパフォーマンスを出し始めるとしたら、どのような時だろう?というのが気になります

おそらくですが、熟練したプレーヤーがAIの行動パターンのクセを見抜いて先回りして行動をし始めたら、人間だけのチームを上回るスコアを残せるのかもしれないですね。

AIは人間と違って疲れないので、長期戦ならAIの方がより一層有利ですし。


余談ですが、YouTubeの動画などでオーバークックでハイスコア?を出しているチームのプレーの様子を見ていると、お互いに声を掛け合って次に何をするかの役割分担を頻繁に確認したり、意思疎通をしていました。

(偶然に見つけた動画でしたが、つい見入ってしまいました…!)

相手がAIだと、そういった役割分担のために声を掛け合うことができなかったり相手に指示を出すことができないので、一瞬の迷いがスコアに影響するこのようなゲームでは難しさがあるのかもしれないですね。

ということで今日はこの辺で!
それではまたー!😉✨

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