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BCGが読む経営の論点2024⑤:経済安全保障とサプライチェーン(地政学リスクを含めた8種のリスク)

読書ノート(155日目)
昨日に引き続き、今日も
こちらの本を紹介していきます。

もはや毎年恒例とも言える
「BCGの経営の論点」シリーズ
2024年版の注目テーマ(目次)は
以下の通りです。

・2024年に注目すべき大きな潮目の変化
第1章 エネルギーシフト:日本企業は”賢い需要家”を目指せ
第2章 生成AI:日本の”勝ち筋”と導入の5つのポイント
第3章 サーキュラーエコノミー:気候変動の次は生物多様性が問われる
第4章 経済安全保障とサプライチェーン:
 リスクの見える化で意思決定の仕組みづくりを

・競争優位を築くために必要な組織の能力
第5章 事業開発力:新たな成長に向けM&Aをどう活用するか
第6章 イノベーション:進化する手法と日本企業復活へのポイント
第7章 プライシング:インフレ時代の「値付け」戦略
第8章 人材戦略:「人事」を越えた経営課題へ発想の転換を

そして今日は、第4章
経済安全保障とサプライチェーン
についてです。

第4章 経済安全保障とサプライチェーン
リスクの見える化で意思決定の仕組みづくりを

・不確実な時代にグローバル競争を勝ち抜くためには
 リスクの見える化とシナリオプランニングによる
 迅速かつ大胆な意思決定が求められる
・世界経済フォーラムがまとめた「グローバルリスク報告書2023年版」
 によると、今後2年間に起こりうる重要なリスクとして
 日本では「地政学上の対立」「自然災害と異常気象」が上位に

・いまや各国は自国の企業を守る動きをとっており、特に中国企業による
 買収を各国政府が経済安全保障などを理由に拒否している
・しかし、日本ではそのような動きが顕著には見えない
・政治・経済の不確実性が高まる、各国が投資規制をかける中、
 日本企業はビジネスを発展させるために、どのような動きをとるべきか
・中国が国産を優先する分野を知る方法
 「外商投資目録」または「科技日報」を参考に、自社の技術が中国国産化
 のリスクに直面しているかどうかを評価する

・部分ではなく全体でリスクを判断する
・まずは自社が抱えるサプライチェーンのリスクの正確な把握が先決
・さまざまなリスクは相互に複雑につながっている
 ※本書では8つのリスクとして整理されています(詳細は添付写真にて)
・たとえば、製造拠点を移転すると、地政学的なリスクは回避できても
 コストの増大や品質低下のリスクが浮上するなど

・企業からの「サプライヤーが中国に多いのでリスクがあると思っている」
 というBCGへの問いに対して
・事業全体の調達額において、どれくらいの依存度なのか
直接の調達先(Tier1)だけでなく、調達先の調達先(Tier2)までを考慮した
 上でリスクが高いのか
汎用品なのか、それとも特殊な品目で代替できないものなのか
・これらの視点での全体分析が必要

・データを基にリスクを見える化する
・すべてのデータを揃えることは難しいが、
 「今あるデータでどこまでリスクが見えるのか」
 「少し工夫をすれば見える領域はどこなのか」
 「ビジネス事由などで、どうしても見えないところは何なのか」

 を把握することが必要

・単なる守りではグローバル競争で立ち遅れる
・地政学リスクが高いとされる中国を例にとると、グローバルの全体傾向と
 しては中国への投資を縮小または撤退を進めている企業が多いなか、
 ドイツの化学大手BASFは「2030年までにBASFにとって過去最大の投資と
 なる最大100億ユーロを投じる」と、逆に中国への投資を加速させている
・BASFが中国において大きな投資判断をできる要因として
 意思決定構造とデータ基盤の整備に基づくリスクの見える化がある
・サプライチェーンは各事業部が管理しており、戦略も事業部が個別に立案
 するが、投資配分やリソース配分はコーポレートが全社最適の観点で設計
・データ基盤も事業横断で共通の仕組みを整備している
・現時点ではBASFのこの判断が正しいのかどうかは断定できないが、
 リスクの見える化ができており、迅速な判断を行っている点で
 日本企業が学ぶべきポイントは多い

・リスクの見える化の後に行うべきこと
シナリオプランニングを用いて以下2つを実施する
 ①リスクの最大、最小インパクトを把握する
 ②リスクの最大インパクトにおいての企業存続を確保した上で
  攻めるポイントを意思決定する

・シナリオプランニングでは、メインシナリオに加え複数のサブシナリオを
 想定することで、経営として「想定外」を潰していくことが必要

・複雑で予測困難なサプライチェーンの膨大なデータからリスクを見極め、
 迅速に重要な経営判断を下せる組織づくりが、グローバル競争を勝ち抜く
 カギとなる

今回のテーマは
経済安全保障とサプライチェーン
ということで、こちらも
2024年の大きな潮目の変化の1つ
とBCGでは捉えているようです。

私自身の専門分野ではないからこそ、
できるだけ簡単な言葉で
本書のポイントを要約すると…

①リスクには様々な種類がある(BCGでは8種)
②それらのリスクを一覧表にして見える化する
③シナリオプランニングでメインシナリオと
 複数のサブシナリオを作り想定外をなくす
④全社のリスクの状態を常にチェックできるよう
 データ基盤の整備も忘れずに…!
⑤他社の全体傾向としてリスク回避の中でも
 上記のことができていれば、自社だけは
 積極投資するなどと、攻めのポジションを
 取ることもできる

本書で紹介されている様々な種類のリスク

私が以前に所属していた会社を
思い出してみると、
経営企画部と一緒に
リスク管理表なるものを毎年、
各部にヒアリングして作っていました。
そして、その進捗状況を
主に四半期ごとに
また各部にヒアリングして更新する。

つまり、②リスクの見える化は
できていたものの、その後の
④リスク状態を常にチェックする体制
は四半期ごとに各部にヒアリングしていた
ので、本書でのデータ基盤をつくる
という状態までは至っていなかったな…
と考えさせられました。

話は変わりますが、
各種の経営データをダッシュボード化し
データの見える化を通じて、
「経営の質を高める」
「経営の高度化」というキーワードが
経営層との会話の中でされることが多く、
何ができたら経営の高度化ができるのだろう
と、その要件を考え始めていたところでした

今回の本書の内容を踏まえると、
毎月データを更新して見える化するための
ダッシュボードづくりは、
ステップ②と④であり、
それらを活用し意思決定をするための
シナリオプランニング視点
次の課題なのかもしれません。

昨年に読んだこの本を
見直してみようと思います。

シェルに学んだシナリオプランニングの奥義①:予測できない未来に対応するには?シナリオ作成時のルールについて|TAKA16 (note.com)

ということで、今日はこの辺で!
それではまたー!😉✨




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