セールスがマーケティングになるために: ① 視座を上げよう
皆さんこんにちは、Tak@外資流マーケティングです。
中小企業ならセールスがマーケティングをすべき、という内容のnoteを以前にまとめていますが、どうしたら営業がマーケティングをできるようになるのでしょう。
■マーケティングになるには、視座を上げよう
営業最前線では、営業同士、代理店同士で顧客の取り合いになることは日常茶飯事ですが、その際に、会社全体にとって最適解を選択することが意外とできていないものです。
担当営業や販売代理店の声が大きい方が商売を取ってしまい、自社にとって最適解だったかと聞かれると、実は、よく分からないということはありませんでしょうか。
わたしの経験では、現場営業判断で多くの場合、会社全体にとっての最適解を選択出来ていないことが多いと実感しています。しかし、これが出来ると組織は格段にレベルアップしていきます。だからこそ、営業にマーケティング視点が必要だと考えています。
自社の戦略として、流通コストが低い販売代理店A社での商売を伸ばすことが会社全体にとっての最適解にも関わらず、販売代理店Bの営業マンの声が強いだけの理由で、流通コストの高い代理店Bの商売が伸びているとしたらどうでしょう。
このようなケースを含め、営業がマーケティング視点を持って、俯瞰的に物事を見ることが出来れば、会社にとっての最適解を選択できるようになるケースが多くあります。
そのポイントになるのが、視座を上げることです。
マーケティングは近視眼ではなく大局的に捉え、短期的だけでなく長期的にも捉えます。また会社全体の最適も考えることができなくてはなりませんが、それらは視座が高いからこそできることになります。
そのような視点を手に入れるためには、セールスパーソンの『人称レベル』を上げることが重要になります。1人称で物事を捉えて判断するのではなく、2人称、3人称と認証レベルを上げて視野を広げていくことがポイントになります。
■人称レベルを上げていくこととは何か
1人称では、自分ごとを中心に考えます。営業としては自分の売上しか考えていないということになります。
2人称では、相手のことも考えるようになります。自分の売上だけではなく、相手の売り上げについての配慮ができるようになります。この時点では当事者で解決は難しいところです。
3人称では、第三者ならどう判断するかを考えるようになります。例えばグループリーダーがこの状況を見て冷静に判断するとしたらどうなるかを考えます。例えば、売上だけではなく、利益の観点でフェアに判断するような視点を持つことになります。更に、レベルの高い3人称としては、課長、部長、社長の視点だったらどうかを考えます。例えば、会社としては、利益に加えて、クロージングまでのスピード、支払い条件、事業成長性を考慮するなど、リーダーレベルの視点を超えた判断基準が見えてくるはずです。
こうなると個人の売上だけではない、幅広い視野が必要になります。自分のことを高い視座から俯瞰的に眺める能力が必要になりますので、慣れが必要です。また、社内では、会社の方針を深く理解するためのコミュニケーションが重要なポイントとなります。
更に、幅広い第三者を考慮するならば、サプライチェーン部長から見てどうか、技術サポート部長の視点から見てどうかなど、より一層、幅広い視点と高い視座から物事を捉えることが出来ると良いでしょう。三人称としてのレベルが高くなってきます。
4人称になると、社内だけではなく社外からの視点が取り入れられるようになってきます。自社製品が位置するマーケット視点から見て当社の業界ポジションやブランディングがどのような状況にあり、今後、どうあるべきかということについて、俯瞰的に自社を捉えるような見方が出来るようになってきます。業界知識も高く、競合分析など自分のなかでも整理できている状況となります。その上で、単に1つの新規顧客開拓ではなく、どのようなビジネスを構築していくべきなのか、チャネルマネジメントはどうあるべきなのかということを考えて、判断することが出来るようになっている状態だと思います。
5人称では、自社製品が位置するマーケットを超えて更に幅広い意味での業界のなかでの自社の位置づけについて捉えた視点を持つことになります。例えば、株式上場企業であれば、株主から見てどうかということも見ていくと自社のIR情報についても知る必要が出てきますのでファイナンスの知識も必要になってくるでしょう。
■線や面で捉え、森を見て、数手先を見て1手を打てるかどうか
営業担当だと冒頭の説明の通り、目先の受注が取れるかどうかだけの判断になってきますので、短期的な売上で判断しがちです。
1件の顧客への販売をフォーカスしてしまうと、点だけを見ている状態です。人称レベルを上げていくことによって、点は、どのような線になり、面になるかを考えることができるようになってきます。
言い換えると、木を見て、森を見るという視点です。将棋であれば、どのように積み将棋を行うかというパターンを頭のなかで想定し、次の1手を考えることが出来るようなイメージです。
マーケティングツールやマーケティング知識も大切ですが、そもそも物事を見る視点が低ければ使いこなすことができません。視座を上げげることさえできれば、マーケティング視点を持つことに繋がり、マーケティング戦略にも生きてくると思います。
そして、すべてのセールスパーソンの人称レベルが1段階ずつ上がっていくと組織は格段に強くなっていくことでしょう。
お読みいただきありがとうございました!