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お父さんとお母さん「掌の童話」 2

「めぐみちゃん、起きなさい。着きましたよ」

お母さんの声で眠たい目をこすって、自動車の窓から外を見ると、私の知らない景色だった。

自動車から外に出ると、空気が冷たくて眠気が吹き飛んだ。

数台の車が止まっている広い駐車場の続きに白くて大きな建物があって、駐車場の入り口に、病院の名前と「介護保健施設 あおぞら苑」って書いてあるでっかい看板があった。

看板を見上げると、そのままじゃん!、って思ってしまうほど青く澄み切った空が広がっていた。

あおぞら苑は広い田圃の中にぽつんと建っていたけれど、寂しいところだとは思わなかった。

なぜかって?

遠くにまだ白い雪をかぶった高い山が見えたからかもしれません。

建物の横に大きな池があって水鳥が浮かんでいたからかもしれません。

花壇があって綺麗な小さな花が咲いていたからかもしれません。

私たちの横にも車が何台かやって来て、家族やお年寄りたちが建物の中に入って行った。

お父さんは自動車から降りると、大きな背伸びと深呼吸をして建物の向かって歩いて行った。

お母さんもお父さんの後について行った。

―お母さん、ちょっと待ってよ! いつもは花が咲いていたらその名前を必ず教えてくれるのに!―

私もお父さんとお母さんに遅れないように、小走りでついて行った。

<続く>

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