【やさしい西洋美術史】 現代美術はいつから?その前は何?
太陽です。「現代美術っていつからなんだろう?その前は何?」「現代美術のはじめの作品てどんなの?」と思ったあなたの疑問にお答えします。
Q 現代美術っていつから?はじめの作品てどんなの?
A 1917年(マルセル・デュシャンという芸術家が「泉」を発表した時が始まり)*諸説あります
Q 現代美術の前は何?
A 近代美術(18世紀末/1750年代〜19世紀/1900年代)
です。
下記で作品について、また近代美術と何が違うのかを書きます。
*マルセル・デュシャン『泉』1917年
現代美術っていつから?はじめの作品てどんなの?
1917年
マルセル・デュシャンという芸術家が「泉」を発表した時が1917年です。この作品の何がびっくりされたのかというと、
・芸術家がなにも作っていないこと
・既製品(レディ・メイドといいます)にサイン(R.Muttという架空のサイン)をして作品だと言い切ったこと。
・その製品は男性用小便器だったこと。
さらに出品された展覧会は、無審査で誰でも参加できる展覧会(ニューヨーク、アンデパンダン展)でしたが、展示してもらえなかったこと。など、これまでの美の概念や仕組みを揺るがす作品だったからです。
作品は作家によって作られるものである常識から、作られたものを作品とする概念は、今までになかったことでした。
また、なにをもってして美術と言えるのか?を問う時、美術館に展示されるものが作品である。とするならば、架空のサインをした男性用小便器も美術品になる。という美術の仕組みを揺るがしてもいます。
皮肉が効いてて、賢くて革新的な作品でした。
*マルセル・デュシャン
さて私たちが生きる21世紀の今の美術は、この現代美術の最先端にいます。既製品を作品にすること(たとえば車や家具やタブレット、パソコン)は今はいたって普通の表現です。
当時はすごくびっくりされて批判も多かったです。新しい作品はいつも最初は理解されず批判され、叩かれるもの。歴史を知ると、自分も思い切った表現をやりたい、小さくまとまらずに生きたい、と思えてきますね。
*ポール・セザンヌ『リンゴとオレンジのある静物』1895-1900年
現代美術の前はなに?現代美術とどうちがうの?
近代美術(18世紀末/1750年代〜19世紀/1900年代)
近代美術(18世紀末/1750年代〜19世紀/1900年代)は、いろいろな主義がありますが、見えているものを客観的に描くことでした。
現代美術(20世紀〜)はその影響を受けつつ、人の内面や、概念など見えないものを形にする違いがあり、どちらもその時代、社会を表現しています。
美術史は、その時代時代がぱきっと境界線が引かれて、はい、ここから近代ね、ここから現代ねとくっきり分かれているわけではありません。前の時代の影響を受けつつ、緩やかに少しずつ変化していきます。
それを名付けて区切っています。なので前後の時代の作品でも、これは近代美術なのでは?これは現代美術なのでは?と思うものもあります。
このように様式が区切られ、変わっていく美術史の根底にあるのは、その時代その時代の社会です。美術はその時の社会を表現しています。世の中が変わると美術も変わる。ということが、私が美術史を学び始めて発見した美術の根底にあるものでした。
奥深い美術の世界、面白いですね。
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*全ての画像はウィキペディアから。また記事内の年代や解説は諸説あります。
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