【知らなきゃ損!】知るほどに面白いインナーマッスルの世界へ招待します(導入編)
理学療法士にとってインナーマッスルは日常だ。
患者さんにインナーマッスル訓練を指導しない日はない。
突発的な事故や外傷でなければ、
ほどんどの患者さんで、インナーマッスルが機能していないことが多い。
そして皆、インナーマッスルのことを知らない。
インナーマッスルを知らないと?
・日常生活動作や運動のパフォーマンスが低下する。
・関節の怪我をしやすくなる。
・怪我で医療費がかかり、経済的負担となる。
インナーマッスルを知って運動に取り入れると?
・関節にかかかる負担を軽減できる。
・いつまでも好きなスポーツを楽しめる。
・買い物や旅行を楽しんだりできる。
・経済的リスクを減らせる。
こんな未来を実現できる可能性が高くなる。
これは知らなきゃ損だ!
しかし、
インナーマッスルが何なのかも知らずに
やれ「インナーマッスルを鍛えてヤセましょう」だとか「インナーマッスルを鍛えるならプランクだよね」だとか「インナーマッスルでぽっこりお腹を引き締めましょう」などと言っているメディアのなんと多いことか。
インナーマッスルとは何なのか。
解剖的にみると
「体表からその姿が見えない筋肉」
機能的にみると
「関節の安定性を図る筋肉」
というのが文献的見解だ。
これらの中でも解釈は人によって異なる場合がある。
インナーマッスルに明確な定義はないからだ。
だからインナーマッスルという言葉は、今のところ何にでも使えるバーゲンセール状態なのだ。
では、インナーマッスルさえ鍛えたら良いのか?
そのような記事も時々見かけるが、そんなことはない。
人が動くうえでインナーマッスルが機能していることが大前提ではあるものの、インナーマッスルは関節を動かす力を少ししか持ち合わせていない。その多くはアウターマッスルが担っているのだ。
アウターマッスルというのは、
大きくて体表からその姿を確認でき、強い力を発揮して主に関節を動かす役割を担う筋肉のことをいう。
これらを食事に例えるなら、
インナーマッスルは一振りのお塩で、
アウターマッスルは白ごはんだ。
一振りのお塩は、自己主張こそ少ないが料理を引き立てるために欠かせない。
白ごはんは、食事の中心であり塩の力がなくとも美味しく成立する。
しかし、ご飯んのお供はいつだって塩味だ。
これが、インナーマッスルとアウターマッスルの関係だ。
「どういうことだろう?」
具体的には肩関節が説明しやすい。
(ここから、少しむずかしいかも)
下図の左が肩関節、右がインナーマッスルに覆われた肩関節だ。
図のように、肩関節には肩峰(けんぽう)という屋根があって上腕骨との間にすき間を作る。バンザイする時、通常ならすき間の中で上腕骨がクルっとまわって腕が挙がる。この動きは、インナーマッスルとアウターマッスルの共同作業で実現する。その時に使われる、アウターマッスルの代表が下図の三角筋だ。
では、もしもインナーマッスルが働かずアウターマッスルだけでバンザイしようとすると、どうなるのか。下図の左側がその時の動きだ。アウターマッスルは、矢印➀の方向に直線的に腕を挙げる事しかできないので、上腕骨がクルっと回らないまま肩関節の屋根にぶち当たる。これでは腕を挙げられないだけでなく、肩をケガしてしまう。
インナーマッスルがちゃんと働くと、上図の右側のようになる。
インナーマッスルが矢印②の力で上腕骨を内側に引き付けて肩関節を安定させ、腕を動かすための支点を作る。そこにアウターマッスルの矢印➀の力が加わり、矢印③の回転力が生まれる。
だから、上腕骨がクルっと回転しながら挙がってバンザイできる。
(※本来は肩甲骨の動きを伴ってもっと腕が挙がる)
このように、人はインナーマッスルの働きがないとまともに動くことができないのだ。ヤセるヤセないという次元で話題にする筋肉ではない。
そもそも、インナーマッスルのような小さな筋肉を鍛えたところで、代謝量はたかが知れているし、インナーマッスルを鍛えてヤセたという研究報告を見たことがない。
インナーマッスルというのは、ダイエットのような華々しい世界には似合わない「一振りのお塩」にすぎないのだ。
しかし、
塩加減次第では、あなたの体を素敵に動かしてくれる存在となる。
実はその加減も、スゴク大事な話なのだが。。。
インナーマッスルの世界はつづく。
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