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写実絵画に感動できるか?ーホキ美術館所蔵名品展 @福岡アジア美術館

9月7日のことだ。所用で福岡市内に行くことになったので、福岡アジア美術館でちょうど開幕した「ホキ美術館所蔵名品展」に立ち寄ることにした。

久しぶりの博多。実をいうと福岡アジア美術館は初めての訪問先だった。中洲川端駅で地下鉄を降りて直ぐの、ビルの中にある都市型美術館。アクセスがよい(#^^#)



撮影コーナーのパネル。生島浩「5:55」。
6:00までのモデルさんの帰り間際のちょっとソワソワした感じが良く出ています。ホキ美術館というとこの絵を思い浮かべるくらい代表的な作品。


美術好きなので、千葉市にある、現代作家の写実絵画専門の美術館であるホキ美術館のことはもちろん知っていた。Facebookの美術鑑賞グループ内で作品を目にしたこともあったが、その時は「うわぁ、きれい・・写真みたい」という印象しか持っていなかった。
しかし、絵画を鑑賞して「写真みたい」という感想ほどお粗末なものはないだろう(汗)
ダイジョウブか、わたくし?と一人突っ込みをしながら(笑)、実際に観ると違う感想が出てくるのかもしれない、そう期待しつつ、折角の機会なので行ってみた。

会場に足を踏み入れて思ったのは、やはり「写真」ではなく「絵画」なのである。「超絶リアリズム絵画」と銘打ってあり、もちろんそうなのだが、ちゃんと描いた人の「思い」が感じられる作品群だった。特に人物画や静物画は良かった。風景画はどうしても頭の中で写真と比較してしまいがちで…勿論良いものもあったのだが。

特に気に入ったのは次の3点だった。

①森本草介「休日」2009(下の写真、絵はがきの左側)
セピア色の室内で編み物をする女性を描いた作品。女性の横顔が何とも美しく、優しくて良い。編み物をする女性というのは西洋絵画でもよく登場するモチーフであるが、ドレス風の衣装といい、現代の作品ながら少し古い時代を想起させた。

②藤原秀一「萩と猫」2009(下の写真、絵はがきの右側)
猫好きにはたまらない作品。作者の愛猫を描いたものらしいが、可愛らしいピンク色の鼻と耳(たぶん肉球もピンクのはず!)をもつの猫のおすましポーズとバックの咲き乱れる萩の花、そしてピンクと黒の色の対比が良い。萩の花は光の当たり具合により細かく色が描き分けられており、猫のふわふわの質感も見事だった。

美術展のパンフレット。中央下の絵はがきは左が「休日」右が「萩と猫」。


③藤原秀一「砂遊び」2020(写真なし)
②と同じ作者の作品。広い砂浜の中心に遊ぶ二人の子ども。リアルに描かれた寄せては返す波に悠久の時の流れを感じる中、時間を忘れたかのように夢中で遊ぶ子どもの姿の対比が良かった。
(この作品は絵はがき等はなかったのですが、ホキ美術館公式youtubeに作者本人が解説した動画があったので、下に貼ります。「ありふれた風景の中に優しい気持ちになれる絵作り」という作者の言葉に、作品「萩と猫」にも共通する思いを感じました。)


会場ではQRコードを読み込んで好きな作品に投票ができるので、散々迷った末、やはり ①の「休日」に投票した。

絵画では元々、印象派が好きだった。
30数年前にツアーでパリに行った時はオルセー美術館を堪能したし、モネやルノワールが出ている美術展には以前は必ずといっていいほど足を運んでいたが、あまりに観すぎて少し飽きてしまった。多くの美術展に行くうちに眼が肥えてきたのか、好みも段々変わってきた。アカデミックな絵画も美しいと思うし"わからない"ならわからないなりに現代美術も観るようになった。
しかし私の鑑賞文は「好き、苦手」の感情を表す言葉が多いと、美術鑑賞グループで専門家から(悪気ではなく)笑われたことがある。確かに知識を持つのと持たないので美術鑑賞は違いが出るのはわかるが、私が絵を観る上で大事にしているのは、まず自分の感覚なのだ。
…素人のオバサンが、好きな絵を好きと言って何が悪い!
と、ここはちょっと開き直ってみたい。

私にとって、好きな絵を観ることは感性に刺激を与える大切な時間なのだ。

今回鑑賞したホキ美術館所蔵名品展。素直に感動できるものが多く、思いの外堪能させてもらった。

…さて、約束の時間が迫ってきたのでそろそろ美術館を後にしようか。福岡アジア美術館、アクセスも良く気に入ったので、また何かの時にリピートしたいと思う。


*「超絶リアリズム絵画 ホキ美術館所蔵名品展」は10月13日㈰まで、福岡アジア美術館で開催。公式サイトは以下。


*福岡アジア美術館のHPは以下。


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