大人も読める絵本 「僕はここにいるよ」 第2話
「春君、ばあばがきたよ。ばあばね、今日はね、春君の好きだった恐竜チョコ持って来たんよ。
いっぱいたべね~」
「あらた、なつみさんの様子はどうね?」
「受け入れることが出来なくて、今はまだ・・・」
「ちゃんと、そばについていてやるんよ!いいかあらた」
「わかってるよ。父さん」
「ママ。見てこれ!」
「わあ、上手だね!これは何の恐竜?」
「これはね、プテラノドン!!ママ、プレゼント!」
「本当!!ありがとね、春」
「・・・春・・・・・」
「なつみ、春のために二人が来てくれたよ」
「・・・・・・・・・」
「なつみさん、あんたのせいじゃなかよ」
「・・・・・・・・・」
「あらた、なつみさんと少し外に出てきたらどうや」
「そうだな、なつみ少し外に出ようか」
「・・・・・・・・・」
しばらくすると、二人は車に乗り込み走り出していきました。
「春のことは、お前のせいじゃないよ」
とあらたが言いましたが、なつみは何も話しません。
しかし、車が恐竜博物館の前を通りかかった時です、
「声が聞こえる・・・・」
となつみが言いました。
「ねえ、あそこに行って。春の声が聞こえた気がしたの」
「わかった」
あらたは車を駐車場に止めました。
「春・・・・・」
「ここに春がいるのか?」
二人は博物館を少し眺めた後、入り口に向かって歩き 始めました。
ガチャ
なつみはドアを開け、中を見渡します。
そこには、春と来ていたいつもの景色が広がっていました。
「春?いるの?どこなの?」
「なつみ、春のルートを通ろうか」
春にはおなじみのルートがあり、二人はそこを通ることにしました。
歩いている内に二人は目の前に春がいる時を想像し、
胸が苦しくなりました。
しばらく歩いていると、春の大好きな翼竜である
プテラノドンが見えてきました。
「やっぱり、かっこいいなこいつは」
お父さんがプテラノドンの模型に見とれていると急に
ヒュウー-----------
扉が勢いよく開き、すさまじい風が博物館の中に入ってきました。
「なんだ、急に!!手を離すなよ、なつみ」
すさまじい風で博物館中が包まれている中、館内に突然甲高い声が響き渡ります。
「なんだ、この声は?」
そういって、あらたが振り向くと
なんと、プテラノドンの模型が動き出したのです。
プテラノドンは首をゆっくりと横に振ると、上の方を
見上げました。
すると、風も一気に上の方に移動していき上昇気流が
出来上がります。
「急に風が上の方向に?」
その風に乗ってプテラノドンは飛び上がり、館内に再び甲高い声が響き渡ります。
「すごいな、これは。今までこんなのはここに無かったぞ!これは春にも、見せてやりたかった」
プテラノドンは天井すれすれのところを風に乗りながら、旋回を続けています。
ただ楽しんでいるのもつかの間、今度は二人に向かってプテラノドンが向かってくるではありませんか。
「あぶない、なつみ!逃げるぞ」
二人は急いで別のエリアに逃げていきます。
二人がたどり着いたのは、春が2番目に好きな
ケツァルコアトルスの模型があるエリアでした。
「まさか、こいつも動いたりしないよな」
「あなた、少し休ませて」
「ああ、そうだな。それにしてもさっきのは
何だった・・・・」
ドシン
「まさか・・・・・」
背景担当:糸こんにゃく https://www.instagram.com/bisque047/?hl=ja
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