食べ過ぎて胃もたれの後に感じるべきは「罪悪感」ではない!
1.わかっているのに止められない・・・
食事の際についつい食べ過ぎてしまうということってあるのではないでしょうか。
食べ過ぎてしまうと「胃もたれ」という不快感を感じます。
「胃もたれ」とは胃の中で食べものが消化しきれずに残留している状態を意味しています。
従って、「胃もたれ」を感じるということが、自分の消化吸収能力のキャパシティを超えて食べてしまっているということになります。
私達は食べ過ぎて「胃もたれ」を感じた時、続いて「罪悪感」を感じることが多いのではないでしょうか?
なぜならばその経験は多くの場合、1度や2度ではないからです。わかっているのに何度も繰り返してしまっているからです。
食べ過ぎたら「胃もたれ」になるのはわかっている、
けれどついつい美味しいものを食べたら食べ過ぎてしまい、気がつけば「胃もたれ」になってしまっている……
確かに、「罪悪感」を感じるのも無理もない流れです。
しかし、こうした「罪悪感」を感じることは望ましいことではありません。
なぜならば「自己否定感」へとつながり、さらには繰り返されることでボディブローのように響き、全身に負の影響をもたらし不健康になっていってしまうからです。
2.なぜ食べ過ぎて胃もたれることを繰り返してしまうのか?
食べ過ぎて「胃もたれ」を感じてしまった時に行うべきは「罪悪感」を感じることではありません。
「今食べた量は自分の消化吸収能力を超えてしまっていた」という客観的な事実確認を行い、
次に食べる時にはその量よりも少ない量に変えるか、もしくは食べるもの自体を変更するという行動変容に活かすというフィードバックです。
とはいえ、わかっていてもその美味しさにつられて、同じ過ちを繰り返してしまう……その気持ち、痛いほどよくわかります。
ですが、そのようにわかっているのに同じように食べ過ぎて「胃もたれ」を感じるという行動を繰り返してしまうことの要因として一つ知っておいてもらいたい事実があります。
それは「炭水化物や脂質は胃酸で消化されにくい」という事実です。
もっと言えば、脂肪の塊を丸ごと食べるような場面はそうはないでしょうから、多くの場合、胃の中でなかなか消化されずに滞留しているのは実質的に「炭水化物」主体の食品だということです。
それもそのはず胃酸の主成分ペプシンはタンパク質の分解酵素です。炭水化物は唾液のアミラーゼで分解できますが、口の中で分解しきれなければ胃の中ではなかなか分解しきることができません。
ですので胃で消化されない炭水化物や脂質は、その先の十二指腸で胆汁や膵液と出会わない限りは消化吸収できないということになります。
汚い話ですが、皆さん嘔吐した時の吐瀉物(としゃぶつ)を見たことがありますか?
吐瀉物は言わば「胃の中でなかなか消化吸収されなかった食べもの」であるわけですが、その内容は麺だったり、米粒だったり、炭水化物主体の食品であることがほとんどです。
まさか吐いたものの中にステーキが塊として出てくるのを見ることはまずないのではないでしょうか。
その事実が「炭水化物は胃で滞留しやすい」ということを物語っています。
つまり「胃もたれ」を感じる場合は、「炭水化物」が関わっている可能性が濃厚だということです。
その上で、炭水化物が消化されてできるブドウ糖が吸収されると血糖値が上昇するのですが、
その血糖上昇によって脳の神経細胞が反応してドーパミンという物質の分泌を刺激されます。
すると大きな多幸感を感じるようになり満たされるのですが、同時にこの物質は中毒を作る要因だとも考えられています。
甘いものを食べるとやみつきになってしまうのはそのためです。
「胃での難消化性」「中毒性」、この2点において「炭水化物」主体の食品は「わかっているのに食べ過ぎて胃もたれを繰り返す」という現象をもたらすことに深く関わっていると言えるでしょう。
だから食べ過ぎたあとの胃もたれで「罪悪感」にさいなまれて仕方がないという方は、
騙されたと思ってしばらく一切の炭水化物を断ってみてほしいと思います。
そうするとびっくりするくらい「胃もたれ」がなくなります。
「胃酸が上がってくる」という「胃酸逆流」の症状もよくなります。
炭水化物を制限する食事療法が逆流性食道炎の治療にも使われているほどです。
3.理由もわからず苦しみ続けることにないように・・・
というわけで、まとめると食後の「胃もたれ」になった時に、
取るべき行動は「罪悪感」を感じることではなく、
「炭水化物主体の食品があまりにも多くなりすぎていなかったかどうかを見直すこと」であり、
必要に応じて「炭水化物主体の食品の摂取量を減らす」か、もしくは「炭水化物以外が主体の食品に置き換える」こと、
具体的にはステーキや魚料理、豆料理、卵や乳製品、野菜サラダなどの食品になるのではないかと思います。
とはいえ、時にはハメを外すのもよいとは思いますけどね。
全てわかった上でハメを外すのは個人の自由でしょう。
しかしよくないのは「理由もわからずに苦しんでしまっている」状況です。
今回の記事でそのような状況が解消されることを願っています。
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