『苦手』の正体
みなさま、嫌悪感って
何でできているかご存知でしたか?
進化心理学には、嫌悪感は
『欲しい』と『ダメだ!』
という感情が同時に発生している状態で
発生する感情だという説があります。
その是非はわかりませんが
(だって台所に出るGとか、
欲しい気持ち皆無だけど
嫌悪感はMAXですよね。。)、
とにかくそういうものだと仮定してみると、
結構面白いことが見えてきます。
例えば、殺人と不倫。
罪の重さで考えると、
殺人の方が重いと考える人が多いと思いますが、
頭でそう思っていても実際は
不倫の方により嫌悪感を抱く人も
多いのではないでしょうか。
不倫に関しては、殺人よりも
もっと身近なものというか、
自分や身近な人が
被害に遭う確率が高いという面で
より反応してしまうのも
自然なことかと思いますが…
不倫って、多くの場合
逃げ+いいとこ取りなんですよね。
話したくないことは話さない。
都合が悪いことは無かったことにする。
それでいて欲しいものは全部、手に入れようとする。
これって、多くの人が
『それが許されるなら自分だって全部手に入れたいわ』
と思ってしまうようなものかもしれません。
(「欲しい」)
しかし、そんなふうに行動していたら…
いずれ家族も友人も失うし、
一人ぼっちになってしまうし、
何より自分が嫌でつらくなってしまう。
(「ダメだ」)
そう言った一面があるのかもな、
なんて考えることができます。
昆虫やネズミに関しては
衛生的に危険なので
いくらお腹が減っていて
食べたくても(欲しい)、
食べないようにする(ダメだ)という
機能があるのかもしれません。
そう言った視点で
『自分が嫌いなもの』を考えてみると
実は知らなかった自分を
知ることができるかもしれません。
そういう私は、トラウマ治療をするまで
実は『生の感情をそのまま表に出す人』が
何だか苦手なんだよな…と
モヤモヤしておりまして。
『苦しい』も『悲しい』も
頭では言っていいことだとわかっているのに、
実際にたくさんの人の前で
『私はこんなにつらいんだ』と言える人に対して
『どうして感情をそのまま出すのだろう?』
と言った感情を抱いてしまっていたんですね。
人に出すものなのに、
料理したものではなくて
畑からとってきたばかりの素材をそのまま
出されたみたいな。
(変な例えですね)
しかしある時、ワークをしていたら自分の中に、
泣き叫ぶ言葉も喋れない幼い子供のパーツと
その子供に対して
『誰もあなたの泣き言なんて聞きたくない。
誰もあなたの文句なんて聞きたくない。
人に聞いてもらいたいのなら、
人が受け止めやすいように
ポジティブな気持ちで
ラッピングしなければならないよ』
と指示を出していたパーツがいたことに
気がつきました。
そこで恒例の『ああ、そうだったんだ…』。
本当は、私の中にも
ただ泣き叫んでいる
つらくて言葉にもできないパーツがあったのに、
私は無理やりそのパーツを閉じ込めていたから
『どうしてこの人は同じように
閉じ込めていないのだろう?
ずるい!』
という気持ちになっていたんですね。
ちなみに感情をただ相手にぶつけるというのは、
相手に対して『自分の感情のケアをしてくれ』という
責任の押し付けみたいな部分もあり、
英語では『Emotional Dumping』(感情の投げ捨て)と呼ばれ、
できるだけ避けたいこととされています。
感情をシェアすることと、感情を投げ捨てること。
この違いは、前者が
『私の感情をプロセスしたいんだけど、
そばでサポートしてくれないかな』
なのに対して、後者は
『この感情を何とかして!』みたいな
自分の感情への責任の放棄を
伴うものになります。
ただ、セルフとしての私たちは
子供である自分のパーツが泣き叫んでいるのに
そのパーツに『大人になれ』と求めるのは
正に機能不全家族の親仕草なんですよね。
赤ちゃんは、基本的に自分の感情をまだ
自分でプロセスできないので
Emotional Dumping(感情の投げ捨て)しかできません。
なので親が、一つ一つその感情に
名前をつけてあげて、
感情のプロセスの仕方を教えてあげることで
自分で感情のプロセスが
できるようになっていく。
でも親がそれをせず、子供に
『大人であること』を求めた結果、
幼い私たちは『感じてはいけない感情』を
解離させることで生き延びてきた。
この泣いている赤ちゃんのパーツも、
その際に解離したままになっていました。
今まで無視してきた、泣いている子供に
本当は子供の時に与えられるはずだった
感情的ケアを与えてあげる。
『泣くな』と命令するのではなく
『つらいんだね』と抱きしめてあげる。
そうすることで、私たちの中の子供は
『つらくてもいいんだ』
『つらくても、抱きしめてもらえるんだ』
『つらいことがあっても、私は生きていけるんだ』
と安心することができるようになっていきます。
いつも読んでくださって
ありがとうございます。