機能不全家族、毒親、複雑性PTSDからくる生きづらさ関連の本たち 第二弾
生きづらさ関連の本第二弾になります。
しばらく前に読んだ本を読み返すのが本当に大変でした。
読書ノートつけよう…と決意。
身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
トラウマに関するとても有名な本です。トラウマ治療の第一人者のヴァン・デア・コーク博士のもので、トラウマに有効なさまざまな治療法に触れられています。トラウマは体に記憶される、と言うトラウマ治療のソマティックアプローチの先駆けのような一冊です。
これもかなり昔に読みました。当時はまさか自分にトラウマがあるなんて思いもせず、興味深く拝読したのですが、実は私はこの本は複雑性PTSD当事者の方にはそこまでお勧めしていません。
単回性トラウマの内容が多いですし、読んでいてフラッシュバックに襲われたり、実験体として見られているようで気分が悪くなってしまったという話も聞きます。
トラウマ患者を扱う医師の視点から書かれたものなので、当事者には前回の記事でお勧めした複雑性PTSD当事者であるピート・ウォーカーさんの本をお勧めしています。
しかし面白いことに、そちらのピート・ウォーカーさんの本が好きではない、という人はこちらの本を気にいる傾向があり、こちらの本が苦手という人はピート・ウォーカーさんの本を気にいるという傾向があるようです。
なのでピート・ウォーカーさんの本が合わなかった、と言う方はこちらを読んでみるといいかもしれません。
身体が「ノー」と言うとき
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
トラウマ専門家のガボール・マテの本です。
強皮症、慢性関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症等の自己免疫疾患をはじめ、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー病、がん等の病気と、トラウマやストレスとの関係について書かれています。喘息、アトピー性皮膚炎にも触れられていますね。
自分に何かしらあるのはわかっているけど、別に治療しなくてもいいや、と思っている人も、これを読んだらうーんと思ってしまうかも。
もう少し詳しいレビューはこちらの記事の方に書いています。
フォーカシング
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
私もよくやっているフォーカシングの創始者であるユージン・T・ジェンドリンさんのフォーカシングについての本です。
ステップバイステップでフォーカシングを学べます。
10年以上前にフォーカシングを学んだ際には外国語のものを読んだのですが、ちょっと前に日本語版を買ってみました。
結構古い本で、翻訳に癖がありますが、そこをクリアできると内容としてはやはり変わらずに良いものがあります。
私もトラウマ治療としては内的家族システム療法などを実践しているのですが、それでもやっぱりフォーカシングでしか得られないものがあるな…と定期的に思っているので、興味がある方は是非。
似ている部分も多いのですが、私の場合は何かあることはわかっても、認知レベルではそれがどこからきているのか全くわかっていないことが多く(非常に幼い時に複雑性PTSDを発症した人には多いのかもしれません)、直接体にアクセスできるフォーカシングには助けられました。
「悪い私」はいない 内的家族システムモデル(IFS)による全体性の回復
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
こちらの本はトラウマ治療法である内的家族システム療法の実践に役立つものになります。IFSの入門書として最適ですが、いくつかのエクササイズは結構初心者には難しいです。
ただ読んで学ぶというよりは、読みながら本に載っているエクササイズをやっていくことが重要になりますので、一気に読まずにテキストブックのような使い方をお勧めします。
日本語版のオーディオブックはないのですが、エクササイズ用の音声のURLがこちらのサイトにありますので是非お試しあれ。
最初は本を読みながらやるよりやりやすいと思います。
その生きづらさ、発達性トラウマ?: ポリヴェーガル理論で考える解放のヒント
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
複雑性PTSDをポリヴェーガル理論の視点から考えた本です。
最初の方に不適切療育の例が出てくるのですが、情緒的ネグレクト的な例も多く、今までトラウマなんて自分とは無関係だと思っていた方にも『もしかして?』と思いやすい内容になっています。
複雑性PTSDの本としては、私個人はピート・ウォーカーさんの本をまずお勧めしているのですが、そちらの本よりも例が日本的になっているので、『虐待は受けていないからPTSDではないと思うんだけど…』と考えている方にはこちらに紹介されている例の方が『そういえばこんなことあった』となりやすいかもしれません。
非常に多くの関連したコンセプトが紹介されているので、この本を読んで気になるものがあればそのコンセプト専門の本を探してみるのも良いと思います。
「親がしんどい」を解きほぐす
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
親を毒親と呼ぶほどでもなく、感謝もしているけど、『親がしんどい』。
そんな生きづらさを持つ人にピンポイントで刺さる本ではないかと思います。
とても読みやすく、毎章の終わりにポイントがまとめられています。
縁を切りたいわけではないのだけれど、しんどい。そんな時の距離の置き方、親との関係の考え方などが具体的かつ丁寧に書かれています。
子どもへの性加害 性的グルーミングとは何か
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ❌
こちらの本は、性的虐待の被害者の方よりも加害者や予備軍の人に勧めたい一冊になります。筆者さんが加害者の回復プログラムを運営されている方ということもあり、加害者のインタビューなど載っていますのでトリガーには十分ご注意ください。
しかし一人の加害者が回復することで結果何百人もの被害者を守ることができるのが性的虐待の現状でもあり、この本のように子供への性加害の加害者であっても加害への依存から『回復できる』という道を示してくれているものは大変重要だと思います。
性的虐待も多くの場合加害者の幼少期のトラウマから発生しており、適切な団体につながることができれば必ず助けは得られます。
番外編:悲しいことに(まだ)邦訳がない英語で読める本
Running on Empty: Overcome Your Childhood Emotional Neglect
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ⭕️
こちらの本ももう10年以上前に読み非常に感銘を受けました。
最近複雑性PTSDの集まりで読み返し、いくつかの例が少し今の時代にはそぐわないものになってはいましたが(先生の言うことには疑問を抱かずに従ういなさい、と子供に教えるなど)、それでもやはり刺さります。
情緒的ネグレクトが丁寧に説明されており、機能不全家族で育った人は多くが『これって普通じゃないの?』『これが愛だと思っていた』とショックを受けます。
かなりメンタルにくる本でもありますので、ゆっくりと読むことをお勧めします。
当時は複雑性PTSDという長期的なストレスにより発症するPTSDがあまり知られていなかったため、本の後半で解決法として提示されているものは毎日セルフケアをする系の『それができたら苦労はしていない』ものが多く、根本的な治療に関しては最近のアップデートされた本を読むことをお勧めします。
そんなわけで私からのこの本のおすすめは4章までになります。
Groomed: Shining a Light on the Unheard Narrative of Childhood Sexual Assault
おすすめ度 ⭐️⭐️⭐️⭐️
ジャンル 心理学
読みやすさ ⭐️⭐️⭐️
役立ち度 ⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
面白さ ⭐️⭐️
Kindleアンリミテッド ⭕️
グルーミングは社会問題にもなっていますし、日本でも性的同意年齢が上がると共にグルーミングを使い子供をコントロールし、子供自身に被害を隠させようとする試みが増えてきているのではと思います。
私自身グルーミングとは一体なんのことを指すのかいまいち不明な点があり、何冊かグルーミングに関する本を読み漁っていたときにこの本に出会いました。
被害者が子供でなければグルーミングではないのか?
元々子供が大人に恋慕を抱いていた場合はグルーミングではないのか?
何がグルーミングなのか、ということを筆者のグルーミングを受けた実体験を通して説明してくれるこの本は、すべての保護者、そしてある程度の年齢になったら子供にも自衛のために読んでほしいと思いました。邦訳がないのが悔やまれます…。
グルーミングは性的なものに限らず、大人も被害に遭い、かつ生きづらさを抱える人間はターゲットにされやすいですので、一読の価値ありです。